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「新潟伊勢丹」にみる地方百貨店の勝ち筋

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新潟県唯一の百貨店、新潟伊勢丹の取り組みが成果を上げている。春以降、東京や大阪など大都市の百貨店は免税売上高の急ブレーキによって売上高が前年実績を下回る中、同店はプラス成長で推移する。インバウンド(訪日客)の恩恵が少なく、大都市ほど富裕層の厚みがない地方百貨店が生き残る術とは何か。(この記事は「WWDJAPAN」2025年6月16日号からの抜粋です)

5月の売上高速報が発表された6月1日、運営会社である新潟三越伊勢丹の社内は沸き立った。4月の前年同月比0.4%増に続いて5月は3.9%増。三越伊勢丹ホールディングス(HD)の地方店の中で唯一のプラス成長で、予算も上回ったためだ。昨年4月に就任した櫻井俊晴社長は「売り上げ増は現場の士気が上がる。今後に弾みをつけたい」と話す。

櫻井社長が進めた改革の柱の一つが、三越伊勢丹HDが掲げる「個客業」への転換だった。新潟の実情に合わせたCRM(顧客関係管理)によって仕事の流れを変えた。

マッチング「ここまでやるか」

「御社での購買実績こそ少ないものの、このお客さまは高いポテンシャルをお持ちです」――。CRMマネージャー田中美幸氏は、新潟伊勢丹に出店する高級ブランドの店長に説明していた。定期的に開く「ショップ店長対話会」は、売り場を構える取引先の店長と、田中氏のようなCRM担当およびバイヤーが情報を共有する場だ。外商会員やカード会員の上顧客の定性・定量の細かいデータを分析し、購買につなげるための策をとことん突き詰める。

例えば「A」というブランドでの購買実績が年1回・10万円程度だったある顧客が、実は新潟伊勢丹全体では年間1000万円を使う大口顧客だったとする。この顧客にどのように訴えれば「A」の魅力が伝わり、熱心なファンになってもらえるか作戦を練るのだ。田中氏は「取引先は自社の上顧客については把握している。本当に知りたいのは、未知のお客さまのこと。ブランドとの接点が薄い、あるいは接点がほとんどないけれど、高いポテンシャルを持つ伊勢丹の顧客とのマッチングが重要になる」という。

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