
資生堂グループの「イプサ(IPSA)」は8月5日、主力化粧液“ME”をリニューアル発売する。初代発売から38年を経て10代目となる今回は、20代からの若年層の取り込みも意識した設計に刷新。カウンセリングサービスの高度化やデジタル施策と併せて、ブランド全体で“肌と心”の両面に寄り添う価値を訴求する。
“ME”は1987年に誕生し、現在は日本におけるブランド売上高の約25%を占める基幹アイテム。リピート率は44%と高く、親子2代で使用する顧客もいる。「イプサ」が掲げる「悩みに対処するのではなく、肌本来の力を引き出す」哲学を象徴する製品として、長年支持を集めてきた。
新“ME n“【医薬部外品】は、全8種を展開し、容量175mL、価格は各7350円(別売りの専用ディスペンサーは770円)。柔らかな肌に整えるユキノシタエキスなど独自の保湿成分を新たに配合した。美白有効成分のm-トラネキサム酸と、肌荒れ防止有効成分のグリチルリチン酸ジカリウムも配合し、透明感のある肌印象へと導く。
ボトル容器は、「シセイドウ」の化粧液“オイデルミン エッセンスローション”で導入された容器技術「リキフォーム」を採用。使用するたびに形状が変化する柔らかな質感が特徴で、使い終わった後はコンパクトに潰せる設計となっており、環境への配慮も実現している。
“心”の状態を可視化するサービスを導入
「イプサ」は1986年に誕生。スキンケア、メイクアップ、バランスケアをそろえ、日本含むアジアの5つの国と地域で展開している。小田淳社長は「『イプサ』は現在、転換期にある」とした上で、「今は誰もが揺らぎやすい時代。1人1人の個性が輝き続ける今を共に作るというミッションのもと、肌だけでなく心にも寄り添う“Fullness of skin and mind”を実現するブランドを目指す」と、今夏からブランドマーケティングを刷新する方針を示した。
その一環として、全国の店舗カウンターを7月以降順次リニューアルする。立ち寄りやすいスペースと、質の高いカウンセリングを両立させた新設計で、五感に訴える体験コンテンツも導入し、ブランド体験を深める。
カウンセリングでは、20種類以上の分析項目を持つ独自の肌測定器「イプサライザー」をアップデート。従来の肌分析に加え、顔立ちや心の状態も測定・可視化できるように進化した。得られたデータはCRMにも活用し、より高度なパーソナライズ提案を可能にする。
リアル店舗に加え、オンラインチャネルの拡充も進める。8月には公式ECサイトにAIレシピストを導入し、ユーザーの肌状態に応じて最適な商品や手入れ方法を提案する。5月には、オンライン肌測定サービス「CO-HADA Scan」に新たに「肌・こころ・からだ『美のバランス』」機能を追加した。
小田社長は、「肌が満たされれば心も満たされ、逆もまた然り。肌と心の“良循環”こそが、これからの美の基盤になる。原点に立ち返りながら、未来へと進んでいく」と、若年層との接点を拡大しながら、ブランドの成長を目指す。