ファッション

「ジル・サンダー」2017年春夏ミラノ・メンズ・コレクション

REPORT

ミニマルに削ぎ落とされた中に垣間見える機能美

ロドルフォ・パリアルンガによる「ジル・サンダー」は、昨シーズンよりも更にミニマルに、一方でストイックというよりはむしろ、ナチュラルかつリラックスしたムードで幕を開けた。ロドルフォがメンズのベースとするユニフォーム、ワークやミリタリー、シンプルなテーラリングのスーツは、まるでポプリンのように薄くて軽く、レザーも触るまでもないくらいに極薄。比翼でシンプルに仕上げたり、ごくごく薄い生成り色やアイスグレー、ベージュで爽やかにまとめたり、軽い素材の特性を活かすディテールとカラーリングも心地よい。

 シルエットは、袖がすっぽりと隠れるほどオーバーサイズのトレンチコートや、ボックスシルエットのショートブルゾンに大振りなポケットを配したり、レザーブルゾンはスナップボタンで開閉したりなど、少しひねりを利かせた機能美が特徴だ。

 色や柄は、極めて控えめなシーズンだ。紅一点のような存在の、マンダリンオレンジを除けば、色は薄いパステル程度。ただそれを、グラデーションにしたり、同じトーンでフラワーモチーフを描いたり、単調には終わらない。ドラマには欠けたが、いずれも「ジル・サンダー」らしいクリーンで安定したコレクションだ。

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