ファッション

「ルイ・ヴィトン」、ヴァージルが手掛けた2022年春夏のスピンオフショーを開催 「ヴァージルがここにいた」

 11月30日(現地時間)、米フロリダ州マイアミで「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」2022年春夏メンズ・コレクションのスピンオフショーが開催された。28日には、メンズ・アーティスティック・デザイナーとして同ブランドを率いてきたヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)が急逝したばかりだが、「ヴァージルの遺志を尊重して想いを引き継ぐ」として、同ブランドはショーを予定通りに行った。

 マイアミ・マリン・スタジアム付近の埠頭に停泊したはしけ(平底の船舶)上で行われたショーには、ヴァージルが師と仰いだカニエ・ウェスト(Kanye West)と、キム・カーダシアン・ウェスト(Kim Kardashian West)のほか、リアーナ(Rihanna)、エイサップ・ロッキー(A$AP Rocky)、ベラ・ハディッド(Bella Hadid)、ファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)などのセレブレティーも数多く来場。ストリートウエアブランド「フィアー オブ ゴッド(FEAR OF GOD)」を手掛けるジェリー・ロレンゾ(Jerry Lorenzo)は、ニューヨークで開催されるフットウエア・ニュース・アチーブメント・アワード(Footwear News Achievement Awards)に出席する予定だったが、急遽マイアミに飛んで来たという。

 また、「ルイ・ヴィトン」を擁するLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)のベルナール・アルノー(Bernard Arnault)会長兼最高経営責任者(CEO)を筆頭に、アルノー家のメンバーも出席した。

 マイケル・バーク(Michael Burke)=ルイ・ヴィトン会長兼CEOは、「これほどつらいスピーチは今までしたことがない」と、東京でヴァージルと初めて会った時の思い出などを1500人ほどの来場者に語りかけた。当時、訪日していたカニエとヴァージルにはNIGO®「ア ベイシング エイプ®(A BATHING APE®)」創業者を通じて知り合い、以来ずっと友情を育んできたという。「そうした経緯があったので、彼が『ルイ・ヴィトン』に加わった際にはもう息子のように思っていた。彼の素晴らしい作品やビジョン、思慮深い人間性などにより、彼のレガシーはずっと生き続けるだろう」。

 マイアミらしい青空が美しい夕暮れとなった17時半に、ショーがスタート。すでに発表していた22年春夏メンズ・コレクションをメインに、10の新たなルックが披露された。登場したアイテムは、ニット製のフットボールジャージー、プリーツやフレアのスカート、ベルト付きのジャケット、スタジャン、ロングコート、スニーカー、ブーツなど。ヴァージルと親交の深かったラッパーのオフセット(Offset)、キッド・カディ(Kid Cudi)、クエイヴォ(Quavo)がモデルとしてランウエイを歩いた。

 ショーの開始前とフィナーレには、ヴァージルがショーの着想源などについて語る音声が流された。それによれば、「子どもには頭ではなくイマジネーションを使い始める瞬間がある」ことから、“子ども時代を取り戻す”ことをインスピレーションの一つにしたという。

 音声が終わると夜空がマルチカラーの華やかなライトに照らされ、いくつもの花火が打ち上げられる中、「ルイ・ヴィトン」のロゴをあしらった赤い気球が飛び立っていった。アフターパーティーが行われたエリアの中心には、レインボーカラーに彩られたヴァージルの巨大な像が立っている。最後はドローンを用いたショーが行われ、空に「ヴァージルがここにいた(Virgil was here)」の文字が描かれた。

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