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「ヌメロ ヴェントゥーノ」初の男女合同ショー 透け透けブリーフを招待状にした理由をバックステージで直撃

 「ヌメロ ヴェントゥーノ(N°21)」は2020年春夏、ウィメンズとメンズの合同ショーでコレクションを発表した。10-11年秋冬にウィメンズウエアからスタートした同ブランドは、クリスタルやリボン、レース、サテンなどを多用したセンシュアルかつモダンなスタイルで人気を獲得。14-15年秋冬にメンズラインを始動した。これまでもウィメンズのショーに数人の男性モデルを登場させることやその逆はあったが、2つのコレクションを一緒に発表するのは、これが初めてだ。

 ショー前のバックステージで、アレッサンドロ・デラクア(Alessandro Dell’Acqua)=クリエイティブ・ディレクターは、「メンズとウィメンズで一貫したアティチュードを表現したかったので、今シーズンは一緒に見せるということが重要だった」とコメント。「共通の素材や柄を使った同じ服を、男女が異なる方法で着こなす。ジェンダーレスやジェンダーの流動性を意図しているわけではなく、それぞれのアイデンティティーを保つということがポイントだった」と続ける。

 中でも最も重要だと語るファーストルックには、ボーイッシュな雰囲気を持つ女性モデルの(Veronika Kunz)を起用。ウィメンズとメンズで同じデザインを展開するレトロな小花柄のテーラードスーツを、ハンサムに着こなした。その後もランウエイには、男女共通のアイテムが登場。重量感のあるニットに輝くクリスタルをちりばめたり、キャディーで仕立てたハイネックシャツの後ろに長いボウタイを加えたり、スポーティーなショートパンツをレザーやサテンで仕立てたり。一着の中でコントラストを描いているのが印象的だ。一方、ウィメンズのドレスは、上質な生地をたっぷりと使ったバルーンシェイプを描いたり、リボンモチーフのスパンコール刺しゅうを全面に施したりして、クチュールライクな雰囲気を演出した。

 また、着用者に着こなし方を委ねるようなディテールも多く見られた。例えば、ジャケットやシャツは脇にスリットを入れて腕を通せるように、ドレスは首元の片方から脇にかけてボタン開閉を配することでワンショルダーにアレンジできるデザインで提案。ファッションがジェンダーアイデンティーやそれぞれの個性を映し出すと考えるデラクアは、自由度の高いデザインで“着こなしにおける個性”を問いかけた。

透け透けブリーフに
込められた思いとは?

 今シーズンは、ヌードカラーのチュールで作ったメンズブリーフを招待状として使用。さらに、その下着を着た男性モデルの後ろ姿を捉えたビジュアルをミラノの街中に貼り、度肝を抜いた。その理由を尋ねると、「ただ単に挑発したかった。現代において政治的に正しいメッセージではないかもしれないが、今の社会はあらゆることに対してルールが多すぎて、寛容でなくなっているから。スキャンダルを生み出すことで、そこに異論を唱えたかった」とデラクア。そして、「今シーズンの出発点は、エロチシズム。それを招待状にも反映した」と付け加える。「解き放たれたエロチック・ムード」と題された同コレクションは、確かに肌が部分的にあらわになるデザインが目を引く。しかし、セクシャルではなくエレガントに着地させているのが、デラクアらしい。

ヘアメイクはフレッシュな印象に

 フレッシュでスポーティーなイメージを共有する男女のヘアメイクを担当したのは、ヘアスタイリストのホリー・スミス(Holli Smith)とメイクアップアーティストのローレン・パーソンズ(Lauren Parsons)だ。ヘアは、「シャワーから上がってブラッシングをしただけのようなウェットなルックをイメージ。モデルのヘアや服にマッチするヘッドバンドを使ったスポーティーなスタイルに仕上げた」とスミス。長髪から短髪まで、ストレートからカーリーまでさまざまな男女のモデルがいるので、それぞれに合わせたアプローチを用いているが、基本はオールバックのゆるくウェービーなスタイル。大半に「レベル メン」のスプレー状ジェルを使用し、ヘアクリームでツヤ感&束感を加えた。

 一方、メイクのキーワードは「フレッシュ&ゴージャス」。「キコ ミラノ(KIKO MILANO)」の保湿クリーム“ハイドラ プロ グロウ”とマット仕上げのジェルクリーム“セボ バランス クリーム”で肌を整えた後、チークと顎にハイライトを加えた。ウィメンズのポイントは、そこに花びらのような色を取り入れていること。まぶたにはアイシャドウの代わりに“3D ハイドラ リップグロス”をブラシでのせ、オレンジブロッサムやピオニーの色合いを表現。リップはダスティーなイングリッシュローズをイメージして、2色のカラーバームをミックスして仕上げた。

JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。