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連載 ファッションラバーもハマる女の「サ道」

ファッションラバーもハマる女の「サ道」 Vol.1 ワタシがサウナにハマった理由

 空前のサウナブームに沸く日本列島。いまや、おじさんだけでなく若者にもサウナ文化が定着し、女性サウナーの存在もチラホラ。その背景には、タナカカツキによる伝説の漫画「サ道」のドラマ化や、同じく漫画の「湯遊ワンダーランド」「極上!サウナめし」などが大きく影響しているのだとか。ビジネスマンからファッションラバーまで、慌ただしい日常に癒やしを求め、サウナに集まる人たち。人はいったいどんなきっかけでサウナにハマり、何を得るのだろうか。

 “ととのう”。この言葉を聞くだけで、ピンときた人はすでに立派なサウナーです。わたしがサウナに通うようになったのは、ティーン向けファッション誌の編集を担当していた頃。かれこれ15年前にさかのぼります。毎日撮影続きで終電どころか、会社泊も日常茶飯事のなかで、唯一ひとりになれる場所がサウナだったのです。そもそも当時のわたしは、人見知り&オタク気質で、仕事以外のプライベートでは家で音楽を聴いたり、漫画を読んだり……。もはや誰かと行動を共にする行為は、限りなく“行事”に近い感覚。つまり他人と一緒にいることは、スイッチが「ON」の状態というわけです。

 もちろん、スーパー銭湯も大嫌いでした。人前で裸になるのが、気恥ずかしかったのでしょうね。ところが校了を終えたある日、代休をとって近所をブラブラしていると、ノザワランド(現在休業中)という昭和チックな銭湯を環七沿いに発見。興味本意で中に入ってみると、そこには薬湯、ジェットバス、電気風呂、露天風呂、サウナ、水風呂、まるで遊園地のような光景が目の前に広がりました。サウナ室で身も心も裸になってコミニケーションを図るおばちゃん達は、全員知らない人。服を着ていないので、その人たちの仕事や生活スタイルの先入観がまったく入ってこないのです。そのとき、ふっと頭にこんなことがよぎりました。

 「こんな身近に “開放的な空間=自由”があったんだ」と。それからというもの、週1でその銭湯に通うようになりました。サウナという箱に入れば一人の世界に浸れる。でも人の存在だって、ちょっぴり感じるから寂しくない。なんの利害関係もなく、恥もプライドもかき捨て、会話を必要としない裸の付き合いができるのだと。

 と同時に、大量の汗とともに煩悩をも消し去ってくれることを実感。たとえば仕事でミスをおかしてしまったとき、話の通じない上司とのやりとりにイライラしたとき、コンビニで買ったアイスを冷凍庫に入れ忘れて溶けてしまったとき……。そんな日常のモヤモヤを一気に流してくれる心地良さに自由を感じたのです。過去を振り返っても仕方ないじゃないか、また明日から気持ちを入れ替えて頑張ればいい!携帯にも邪魔されず、心と頭のスイッチを「OFF」にするからこそ、斬新な企画やアイデアが浮かぶことも。もはやサウナは、わたしにとってインスピレーションを掻き立てる場所、といっても過言でないくらい「サ活」が生活の一部になっていったのです。

【今日のサウナ用語集】

アウフグース
発祥はドイツ。熱くなったサウナストーンにアロマ水をかけて、サウナルーム全体に蒸気を発生させた後、スタッフがタオルで一人一人に熱風化した蒸気を仰ぐスタイル(一人5スイング程度)。大うちわであおぐ施設もあり、厄除けとしても効果があるのだとか。

ロウリュ
フィンランドで長く愛される入浴法。サウナストーンにアロマ水をかけて蒸気を発生させるが、アウフグースが90℃前後なのに対し、ロウリュウは70℃~80℃と低めの温度設定が多い印象。初心者はまずはロウリュからスタートするのがベター。こちらもアウフグース同様、スタッフがアッツアツの熱風を送ってくれる。

尾竹めぐみ:ファッション・エディター、ライター。大学卒業後、ボストンへ留学。帰国後はファッション誌「オーリーガールズ」編集部で、ストリートスナップを担当。2005年からリットーミュージックが発行するファッション&クラブカルチャー誌「ルイール」で、海外アーティストの取材やセレブゴシップ特集に力を入れる。12年、INFASパブリケーションズに入社し、季刊誌「WWD マガジン」、ファッション週刊紙「WWD ジャパン」で経験を積む。現在、フリーランスとしてファッションウェブ媒体を中心にエディトリアルからライティングまでを手掛ける。趣味はネットフリックスと日本全国のスーパー銭湯めぐり

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