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国内大手で競争激化 シワ改善製品拡大で消費者の選択肢に広がり

 2019年、シワ改善市場が一気に拡大する。「ポーラ(POLA)」が17年1月に日本初のシワ改善美容液を発売して以降、同年6月に資生堂が、18年9月にコーセーが製品を投入して市場が形成されたが、花王傘下のカネボウ化粧品からも4ブランドがシワ改善美容液を発売することで、国内大手4社がそろい踏みとなる。ポーラ・オルビスグループの2ブランドからも新製品が発売され、これにより7月末時点でシワ改善製品の概要が明らかになっているのは全13ブランドに増加。価格帯、販路も幅広く、消費者の選択肢もより広がっていくことになる。

■シワ改善は各社注目・
重点ジャンル

 シワ改善美容液とは、“シワを改善する”という効果効能で厚労省の認可を受けた医薬部外品製品を指す。化粧品は薬機法(医薬品医療機器等法)により効果をうたうことができない。そのため、これまでシワ対策製品といえば“乾燥による小ジワを目立たなくする”という表現が精一杯だったが、医薬部外品として認可を受けることで“改善”という具体的な表現が可能になる点が特徴だ。

 これまでにもニキビや美白などで認可を受けている製品は多数あったが、シワ改善は製品評価ガイドラインが策定されたのは06年のこと。ポーラが独自成分で認可を受けたのが16年だ。シワ改善は発売からは3年に満たない発展途上のジャンルではあるが、各社が相次いで製品を開発・発売している点からも、化粧品業界にとって注目・重点ジャンルであることがうかがえる。

■機能から価格まで 
充実ラインアップで選択肢に幅

 消費者の視点でみても、各社がこぞって“シワ改善”製品を出すことで市場での認知が拡大し、選択肢が広がっていることは間違いない。後発となったカネボウ化粧品は一気に市場での存在感を示すべく、3週間でブランドの世界観や機能性、販売チャネルが異なる「KANEBO」「リサージ(LISSAGE)」「トワニー(TWANY)」「デュウ(DEW)」の4ブランドから立て続けに発売するが、自分の肌に合ったシワ改善効果やシワ以外へのアプローチ、価格帯など、さまざまなブランドから総合的に製品を選べる点は大きな魅力だ。

 価格帯別で見ると、1万円を超える製品を展開するのは「ポーラ」「SHISEIDO」「コスメデコルテ(DECORTE)」「クレ・ド・ポー ボーテ(CLE DE PEAU BEAUTE)」「KANEBO」の4つで、すべて百貨店系のプレステージブランドだ。そのほかは5000円から1万円の間が多く、資生堂「エリクシール(ELIXIR)」とコーセーの「ワンバイ コーセー(ONE BY KOSE)」はドラッグストアで存在感を放っているほか、化粧品専門店や通信販売などの販路も拡大しており利便性が増している。

 また、製品特徴も多様な広がりを見せている。資生堂は純粋レチノールによるシワ改善認可に加え、「SHISEIDO」では美白の有効成分を、「ベネフィーク(BENEFIQUE)」ではシミ・ソバカスに対する成分を取り入れた。「オルビス(ORBIS)」は、これまでのシワ改善美容液が口元や目元などのパーツケアアイテムであることから、全顔用として設計。また、ひとつの有効成分でシワ改善と美白の厚労省認可を取り、5000円を切る価格で展開する。「トワニー」は大島桜をはじめとしたローズフローラルの香りを加え、機能性のほかに優雅な世界観でアピールする。敏感肌向けブランド「ディセンシア(DECENCIA)」は肌に負担の少ないオイルリキッド剤型の製品を発売し、肌が弱い消費者のシワ改善ニーズに応える。

 このように市場が活性化する一方で、シワ改善美容液を利用したことがある消費者は16%にとどまっていたというポーラ・オルビスグループの調査もある。加齢による肌の悩みはシワだけではなくシミやたるみ、くすみ、毛穴の開きなど複合的なものが多く、シワ改善以外へのアプローチも重要だ。資生堂2ブランドや「オルビス」のように、シワ以外のエイジング現象に対しても“改善”の表記ができるダブル認可美容液は今後ますます増えていくだろう。

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