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SNS時代の動画は、短く、大胆に、たくさんの画角で 「消費される動画に」

 「WWD JAPAN.com」は5月19~25日、21日発売のファッション週刊紙「WWDジャパン」時計特集内の記事「時計を売るのに!?時計がほとんど登場しない動画続々」と連動し、紙面で紹介した時計・宝飾ブランドの最新動画について、フルバージョンのムービーを含む詳報記事をアップする。

 これまで6回に分けて紹介してきた6ブランドの動画は、紋切り型のムービーから腹をくくって決別した意欲作ばかり。しかしファッション動画のプロから見れば、まだまだ問題点も数多いという。これについてスタイリスト出身でファッションを深く知り、現在は動画を中心にブランドのコンテンツ制作を手掛ける21スタジオの村瀬昌宏クリエイティブ・ディレクターに聞いた。

 村瀬クリエイティブ・ディレクターは、仮に時計ブランドの動画がSNSにアップすることで拡散され購買や認知度アップにつなげようとするものだとしたら、6本のムービーはそれぞれ「序盤の風景描写を筆頭に長すぎて、視聴者は我慢できずスワイプしてしまう」「映像美を追求する『保存される動画』にこだわるあまり、SNS時代の『消費される動画』になりきれていない」「スマホ時代にも関わらず画角が横で、携帯端末では見づらい」などの問題があると指摘する。

 そう指摘する村瀬クリエイティブ・ディレクターが1つの提案として作成したのが、リップのPRを想定したショートムービーだ。まずこの動画は、いきなり真っ赤なリップから始まることで、次の30秒でPRするものが何なのかをいきなり印象付ける。そして、以降は1人のモデルを長い間撮り続けるのではなく、頻繁にアングルやモデルを大胆に変え続け、小さなスマホの画面で見続けても構成が次から次へ大きく変わって見えるように編集する。

 登場するモデルも、ベリーショートとロングヘアの2人。それぞれの印象は大きく異なるし、レトロな1つの世界観ながら洋服の色も大きく変えた。どちらかのアップ、2ショット、またどちらかの引き、そしてもう一人のモデルの寄り......。次々に変わる動画は、あっという間にスクロールされてしまうSNSにアップしても、わずか数秒の間に複数の場面が登場するキャッチーさのおかげでクリックしたくなる。村瀬クリエイティブ・ディレクターによると、こうした手法は「シャネル(CHANEL)」が得意とするところ。たしかにツイッターで発信する「シャネル」の動画は、ほんの十数秒に数十カットの動画を組み込み続け、そこに文字や光も大胆に加えていく。

 そしてこの動画は、全く同じムービーを横位置で撮影したものだ。SNSをうまく使うのであれば、YouTube用の横、LINEやインスタグラムのストーリー用のタテ、インスタグラムへの投稿用のスクエアなど、さまざまな画角が必要と語る。1本のロングムービーを作り込むのではなく、何本ものショートムービーをどんどん作る。SNS時代のコミュニケーション動画には、こんな感覚が必要だ。