ファッション

「ナンバーナイン」から考える新しい時代の“ニュービンテージ”

 「WWDジャパン」2000号が11月6日に発売された。1979年の創刊から現在に至るまで、39年分のファッションニュース、時代を象徴するコレクションなど過去を振り返りつつ、現代を象徴するデザイナーや経営者たちのインタビューを掲載し、ファッションの未来を探る特大版だ。そこで「WWD JAPAN.com」では2000号の制作に携わったスタッフのコラムを不定期連載でお届け。未来をこの号の編集を通して見つめた、老(?)若男女幅広いスタッフたちの気付きや意見に、何かくみ取っていただけるヒントがあれば幸いだ。

 「WWDジャパン」2000号は“ルーツ&フューチャー”をテーマに、39年分の名言とその時代の象徴的コレクションを10年ごとにピックアップした「名言集」と「エポックメイキング・コレクション」を掲載しています。国内外のデザイナーや経営者らファッションに関わる多くの人を取材し、世界中のコレクションを追い続けてきた弊紙ならではの貴重なアーカイブは、それだけで読み応え十分。僕からはそんな「名言」と「エポックメイキング・コレクション」を紹介します。

 2000号の巻頭コラム「現在進行形だけがファッションだ」(P.3)に弊紙の編集長、向(むこう)は、“世界とつながるファッション業界のリーダーたちは常に現在進行形で、変わることを楽しむ”と書いており、そこにはカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)の“お気に入りは常に次のコレクション。過去は決して振り返らない”という名言が引用されています。これは2002年にカールが「シャネル(CHANEL)」のデザイナーとして残した言葉。伝統を重んじる「シャネル」を34年以上けん引する彼の強い言葉は、モードとは常に次のシーズンを予想する未来のことだと語っているようです。

 掲載した多くが、川久保玲や三宅一生、渡辺淳弥、エディ・スリマン(Hedi Slimane)、トム・フォード(Tom Ford)、アナ・ウィンター(Anna Wintour)といった偉大な功績を残した、または今なお活躍している人の言葉です。それらの言葉には力と説得力があり、常に未来を見据えています。2000号では、読者の方がたにも彼らの言葉に大いに刺激を受けていただけるはずです。

 一方で、過去の象徴的なコレクションを振り返る「エポックメイキング・コレクション」も見どころです。00年代前半は「アンダーカバー(UNDERCOVER)」や「ナンバーナイン(NUMBER NINE)」がパリコレデビューを飾った頃ですが、両ブランドの懐かしいコレクションも掲載しています。宮下貴裕デザイナーが手掛けた「ナンバーナイン」は当初から、裏地が総刺しゅうだったり、ベントの裏に音符マークを入れたり、パイピングがシルクだったり、あるいは生地にまで芳香加工を施している時もありました。神は細部に宿ると言いますが、ロゴやグラフィックのわかりやすさがトレンドの今とは違い、当時は僕を含め、細部までとことんこだわったアイテムに魅了された男子も多かったことと思います。

 そんな中、最近ある新しいオンラインショップのモデルに14歳の中学生インフルエンサー、YOSHI君が起用されているのを見ました。そのオンラインショップとは、「ナンバーナイン」や「アンダーカバー」などのアーカイブを扱うEMPTY R_ _M ARCHIVES。いわゆる古着を扱う店で、僕が影響を受けてきたモノが今では貴重なビンテージとして扱われています。僕のルーツは、新しい時代のために“ニュービンテージ”と化し、14歳のファッショニスタが華麗に着こなしていました。色あせない強さのあるコレクションは、いつの時代も新しいスタイルとして受け継がれると思った瞬間です。2000号では、そんな皆さんの“ルーツとフューチャー”を感じることができるかもしれません。


最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

業界に贈るZ世代の声 ファッション系サークル所属の 大学生がサステナブルを語る

「WWDJAPAN」9月20日号は、ファッション系のサークルに所属する大学生とタッグを組んで、Z世代のファッションやサステナビリティに関する意識に迫りました。青山学院大学、慶應義塾大学、上智大学、早稲田大学から生まれた団体の活動内容や業界への思い、お気に入りのアイテムなどを紹介します。ファッションが好きだからこそ洋服の大量廃棄問題や環境への負荷について、学生目線で「できることはないか」と考える学生…

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