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休みが増えると従業員はどう変わる? そして、経営者は次に何を?

 「ティティー&コー(TITTY & CO.)」を手がけるディーアンドエーは昨年4月、この事業を継承し、従業員も全員引き取った。継承したのは、高田憲男・社長。同ブランドを立ち上げ、育ててきた人物だ。

 独立し、事業を譲り受けた高田社長はまず、社内の労働環境を改善。それまで月8日だった内勤スタッフの待遇を改めて完全週休2日制を導入。それまで年間100日程度だった休みを、一気に年間130日程度まで増やした。さらには、産休・育休を取得する社員もサポート。「『若い子をどれだけ休ませず、安い給料で雇用し続けるか?』を考えがち」なガールズマーケットの中で、しかも銀行から融資を受ける、つまり自ら借金を背負った中で、事業拡大ではなく、まずは労働環境の改善のために動いた。社員が皆、「昇給よりも休みが欲しい」と話したのがきっかけだった。

 労働環境を見直すと、「社員の働き方が明らかに変わった」という。例えば、電話の応対。かつては、ともすれば高圧的に聞こえる口調だったが、今ではそのトーンが大幅に改善された。高田社長が、「電話応対がとても丁寧」なルミネを目指そうと呼びかけると、皆が「お電話、ありがとうございます。株式会社ディーアンドエーです」と話し始めるようになったという。また、会社でのあいさつも当たり前として定着し、社員はそれぞれ机の周りをキレイにするなど、オフィス環境も良くなった。「チームワークも向上した」という。高田社長は、「一人では何もできない。みんなに働いてもらえないと、会社は続かない。適正な規模感で、皆がプライベートも含めて心配事などを話し合える、家族的な会社を目指したい」と話す。その素地は整った。

 この次は、生まれ始めたチームワークを事業拡大に生かすことが目標だ。直近の課題の一つは、「僕がどうしても躊躇してしまう投資に対して、機会損失の可能性を予測して、助言してくれる人材を社内で育てること」。そしてその次は、10周年を迎え大人化を図る「ティティー&コー」のリブランディングに際して、フランチャイズも含めて18の店舗網を見直すなど右腕となる人物を育てることだ。

 同社は今、「ティティー&コー」を卒業したママ世代に向けた「ボヤージュ・ティティー&コー(VOYAGE TITTY & CO.)」のほか、さらにマチュアな女性に向けた「アプローズ&コー・ニューヨーク(APROSE & CO. NEW YORK)」などをスタート。「ティティー&コー」からは、子ども服ブランドの「ティティー&コー プティ(TITTY & CO. PETIT)」も立ち上げた。とはいえ、業界には逆風が吹いている。高田社長は、「自分がみんなを率いながら、誰も経験したことのない、厳しい今の状況に立ち向かいたい」と話す。今月、ガールズ業界ではまだまだ少ない企業サイトも立ち上げたばかりだ。