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H&Mジャパン新社長が成熟した日本市場で飛躍に導く

 「H&M」の日本進出(2008年)を指揮し、8年間で64店舗、売上高を46億スウェーデンクローナ(SEK、約552億円)にまで成長させてきたクリスティン・エドマン(Christine Edman)H&Mジャパン社長に代わり、ルーカス・セイファート(Lucas Seiferts)社長(42)が2月1日に就任した。1996年のH&M入社直後から頭角を現し、20代でベルギー、フランスのマーチャンダイジング(MD)責任者を歴任。本社での営業サポートやグローバルMD責任者を経て、直近の7年間はH&Mノルウェー社長を務めてきた。数字に強く、社内では“成熟市場を成長させる魔術師”としての呼び声も高く、日本でのさらなる躍進を託されての着任になった。

 1974年にスウェーデンで生まれたセイファート社長は、現在、42歳で、3児の父だ。家族とともに11歳から5年間、香港に住み、高校は米国コネチカット州の寄宿制私立高等学校チョート・ローズマリー・ホールに通った。卒業生にはジョン・F・ケネディ(John F Kennedy)元米大統領や俳優のマイケル・ダグラス(Michael Douglas)、さらには今話題のイヴァンカ・トランプ(Ivanka Trump)らがいる名門だ。その後、パリの大学を卒業し、新卒で1996年にH&Mに入社している。

 当時と今と変わったこと、変わらないものは何か。「一番大きく変わったのは、会社の規模だ。かつてはスウェーデンを拠点にしたヨーロッパブランドとしての認識が強かったが、今や64カ国に店舗を持つグローバルブランドに成長した。けれども、企業の本質やブランドとしてのパーソナリティーは何一つ変わっていない。創業時から一貫してきたファッション第一主義の価値観は変わらない。現在はそこに品質とサステイナビリティーが加わり、『ファッションとクオリティーを最良 の価格でサステイナブルに提供すること』に全力を尽くしている」とセイファート社長。

 成長の起爆剤となったエポックメイキングな出来事については、「たくさんのマイルストーンがあるが、1965年の海外初進出となるノルウェー出店が一つ。次が英国、米国、アジアへの進出だ。2008年の日本上陸は最も成功した、歴史に残る出来事だった。南米進出も大きかった」と分析する。

 社長として対峙することになる日本市場については、「市場規模が大きく多くの可能性を秘めているだけでなく、歴史的・文化的にも奥深い。これから日本のことをよく学びながら、会社を成長させていきたい」と意欲的。さらに「世界上位の経済大国であることと、1億2700万人を超える人口がいる。例えば『ユニクロ(UNIQLO)』は850店舗ある。ポテンシャルはまだまだ大きい。現在の64店舗は、理想には程遠い」と静かな中にもアグレッシブさが垣間見える。直近まで社長を務めてきたノルウェーは、日本とほぼ同じ面積ながらも、人口はわずか521万人(15年現在)と日本の20分の1程度。しかしながら、売上高は日本を大きく上回る、59億2600万SEK(約711億円)にまで成長させた人物だ。本国スウェーデンの隣国であり、最初の海外進出国ということもあるが、人口一人当たりのH&M購買額や浸透度が大きく異なることがわかる。まずは、改めてマーケティングリサーチをし、トラフィックの多い場所への出店を強化することになる。