
最近、数年ぶりに「富士山に登りたい」という衝動に駆られています。前職の時代に5回ほど登頂しているのですが、正直、登っている最中は息も絶え絶えで、「二度と登るものか」と毎回心に誓いました。それなのに、不思議とまた足が向いてしまうのです。
山道の途中で出会う豊かな自然や、山頂からの御来光、そこで喉に流し込む缶ビールの味はもちろん格別です。しかし、いま改めて振り返ると、僕にとっての富士山の本当の魅力は別のところにありました。電波は通じず、突然の雨や突風に見舞われ、ガスに遮られて視界を奪われる。高山病の兆候があっても、いまさら引き返せない。だから、一歩一歩前に踏み出すしかない。そんな徹底的に「思い通りにならない場所」に身を置くことが、なんだか爽快に感じられたのです。
都会にいれば、極端な話、お金さえ払えばあらゆるサービスが手に入り、ある程度不自由のない、予定調和な暮らしを営むことができます。しかし、富士山のような大自然と対峙すると、圧倒され、絶望を覚えつつも、やがてフッと気持ちよくなる瞬間があります。自分のエゴやコントロール欲を手放し、ただ自然に身を委ねていくことの心地よさはまた格別です。
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