仙台発クラフトブランド「ワイヤードビーンズ(WIRED BEANS)」が手掛ける“生涯を添い遂げるマグ”が今年、10周年を迎えた。同プロジェクトは、47都道府県の窯元と協業し製作したマグを販売するというものだ。無印良品などでも日本各地の焼き物を販売する動きがあるが、全国の産地を網羅しているのは珍しい。同ブランドは、日本全国の手仕事や文化、伝統を支えながら、未来につなぐための挑戦としてこのプロジェクトを立ち上げた。目指すのは、継続的に“職人とお客さまの縁をつなぐ”プラットフォームだ。
10周年を機に全47都道府県を制覇
現在、23の府県・29の窯元が製作したマグを販売中。21の都道府県の窯元との制作が進行中で、年内には全47都道府県の産地全てがそろう予定だ。マグの形は1種類。実用性と普遍性のあるシンプルなデザインは、グッドデザイン賞を受賞している。敢えて同じ形にすることにより、それぞれの窯元の個性を引き出すと同時に、さまざまな産地のマグを組み合わせて楽しむこともできる。発売以来、日本各地の伝統技法と美意識を形にしたマグへの関心は高く、ギフト需要も多いようだ。
“継続性”を可能にする独自のサービス
このプロジェクトがユニークなのは、それだけではない。マグカップという日用品にジュエリーや時計のように”長く大切に使う”という継続性と価値観を反映している点だ。プロジェクト名にある“生涯を添い遂げる”が意味するのは、“生涯補償”だ。破損した製品を送付すれば新しい商品と交換してくれ、交換数の制限もない。マグの平均価格は 8000〜9000円程度。「割れるのが不安」と普段使いを躊躇する必要もなく、長年使い続けることを考えると非常に良心的な価格設定だ。消費者が“使い続ける”ことと、職人が“作り続ける”という循環システムを“生涯補償”という独自のサービスで実現している。
また、“生涯補償”で回収されたマグは、能登半島地震の被災地から回収された瓦の廃材と共に微粉末にし、信楽の土と混ぜて焼き直し“再生陶器マグ”として販売。職人が一つ一つ丁寧に焼き上げ、画一的ではない味わいのある製品として展開し、売り上げの一部を被災地に寄付するという。
周年を記念しアーティストと協業
10周年を記念し、より多くの人へこの取り組みを知ってもらう目的で4人のアーティストとコラボレーションした。第一弾はファッションデザイナーの丸山敬太がデザイン。彼らしい華やかな花柄とブルーを基調にしたさざ波のような優しい図柄になっている。丸山に続き、ファッション誌などでお馴染みのローラ・デントンや日本を拠点に活動するエイドリアン・ホーガンといったイラストレーターやハワイ在住のアーティスト、ニック・カッチャーのイラストが施されたカップが登場する。
職人の手仕事とデジタルを結びつけ、個人の暮らしと地域文化をつなぐ“生涯を添い遂げるマグ”。これらマグには、各地の職人の技術やアーティストの思いが反映されている。毎日手に取るマグを“使い続ける”と言う選択は、日々の生活をより豊かなものにしてくれそうだ。