アトモスの創業者・本明秀文さんの独自の目線と経験から、商売のヒントを探る連載。一度興味を示したコンテンツが、次々と似た情報を呼び寄せ、気づけばタイムラインは同じものばかり。SNSのアルゴリズムが作り出す“偏った世界”は、今や消費やビジネスの在り方にも影響を与えている。本明さんは「インターネットでは伝わらないものの価値が高まっている」と話す。味や匂い、触感といった五感に訴える体験は、画面の中だけでは完全に伝わらないからだ。五感で捉える「予兆」とは?(この記事は「WWDJAPAN」2026年3月16日号からの抜粋です)
本明秀文(以下、本明):ジムでは、筋トレの動画を参考にしながらトレーニングしている。Xで検索すると関連動画がたくさん出てくるんだけど、アルゴリズムのせいで筋トレの動画しか表示されなくなった。筋トレ動画を見続けていると、今度はプロテインの宣伝ばかり出てくるようになって、ちょっと末恐ろしいなと感じる。SNSの影響が大き過ぎて、自分の好きなものや興味があることしか出てこず、情報がどんどん偏ってしまう。スマホの中だけで世界が完結してしまうから、隣にいる人に興味を持たなくなっている。これはやばいと思う。小池ちゃん(連載の筆者)だったら、SNSには何が出てくるの?
──僕は子猿のパンチです(笑)。でも最近は、経営者が集まって同じ思想や情報を発信するオンラインサロン型のビジネスも多いですよね。アルゴリズムを利用した同時発信による拡散力で、タイムラインを占有して、トレンドのように見せるというか。
本明:そうだね。フォロワーはその人たちの影響を強く受けるから、売れるものが均質化して、結果としてみんな同じものを持つようになる。しかもそのとき売れるものは、必ずしも新しいものじゃなくて、すでに世の中で評価されているもの。だから僕は、むしろ“インターネットでは伝わらないもの”の価値が高まっていくと思っている。味とか匂いとか触感とか、そういう五感に訴えるものって、画面の中だけでは完全に伝わらないからね。これからの時代は、そういう五感に訴える商品の方が可能性があるんじゃないかな。
──確かに。
本明:飲食もそうで、その場に行かないと食べられないものの方が多いじゃない。僕もおにぎり屋をやっているから飲食はよく調べる。大阪に気になるみたらし団子屋があって、大阪駅ではいつも売り切れているから、本店までわざわざ行ってみたんだよ。実際に行くと、団子が焼ける匂いとか店の空気とか、そういうのも含めてやっぱり美味い。ただ、YouTubeでは名物のおばちゃんが焼いているんだけど、実際に行ったら全然違うバイトの子が焼いていて、なんだかイメージと違ったんだよね(笑)。
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