ファッション

「フレッド」が90周年 創業一族に聞くクリエイションとビジネスが交差するモダンジュエラーの現在地

PROFILE: ヴァレリー・サミュエル / 「フレッド」アーティスティックディレクター兼副社長(左)、ヴィンセント・ライネス / 「フレッド」CEO

ヴァレリー・サミュエル / 「フレッド」アーティスティックディレクター兼副社長(左)、ヴィンセント・ライネス / 「フレッド」CEO
PROFILE: ヴァレリー副社長(左)は、フランス生まれ。パリ第二大学と米国宝石学会で学ぶ。1993年にフレッドに入社し、クリエイション&マニュファクチャリング・デシレクターとしてキャリアをスタート。97年にラリック入社後、ジュエリー&ウオッチ部門を創設し2004年インターナショナル・マーケティング・ディレクターに就任。10年からスワロフスキーのコレクションジュエリー・ウオッチ&アクセサリー担当副社長を務めた。17年から現職。ヴィンセントCEOは、フランス生まれ。米マルチメディア企業のグレイ・メディアでキャリアをスタート。広告代理店BBHの要職を経て、2001年LVMHグループ入社。ブルガリの香水・化粧品のマーケティング部門統括、アクセサリー部門のマーケティングおよび製造責任者、ワールドワイドのセールスマーケティングディレクターなどを歴任。ブルガリの英国法人のマネジングディレクターとMEA(中東・アフリカ)の責任者を経て、22年ブルガリ・ジャパンの社長兼CEOに就任。24年6月から現職 

ジュエリーメゾン「フレッド(FRED)」は今年、創業90周年を迎えた。同ブランドは、アルゼンチン出身のフレッド・サミュエルが1936年パリで創業。養殖パールや色石を使用したジュエリーの提案をはじめ、66年にヨットのケーブルから着想を得た“フォース10”ブレスレットを考案するなど独自のポジショニング確立した。95年には初のジュエラーとしてLVMHグループの傘下に入り、その楽観的なスタイルから“サンシャイン・ジュエラー”と呼ばれている。「フレッド」の中核を担うのが、創業一族のヴァレリー・サミュエル=アーティスティックディレクター兼副社長とヴィンセント・ライネス最高経営責任者(CEO)だ。“サンシャイン ジュエラー”の哲学をどのように継承しビジネスに反映しているのか、2人に話を聞いた。

起業家精神と温かい人柄が築き上げた独自のポジション

WWD:来日の目的は?

ヴァレリー・サミュエル「フレッド」アーティスティックディレクター兼副社長(以下、ヴァレリー):メゾン創業90周年および、アイコン“フォース10”誕生60周年という重要な節目を祝うと同時に新作ハイジュエリーの紹介のために来日した。

WWD:創業90周年の歩みをどのように振り返るか?

ヴァレリー:祖父であり創業者フレッドの精神は今でもブランドの核を成すものだ。彼のビジョンは前衛的で、パイオニア精神に溢れていた。その哲学や人生観は、引き継がれメゾンとしてのあらゆる表現の中に、彼のスピリットを感じることができるはずだ。

WWD:伝統と格式が重んじられる宝飾業界でアルゼンチン出身の創業者が「フレッド」を世界的ジュエラーに成長させられた理由は?

ヴァレリー: 祖父は既存の枠組みに従うことなく、自らの道を切り拓いた人物だった。温かく寛容でありながら、常に前衛的。それは、「フレッド」というブランド名に象徴されていると思う。格式が重視されるジュエリー業界において、メゾン名にファーストネームが使われることは珍しい。独自のビジョンと温かい人柄をビジネスに生かし、“サンシャイン・ジュエラー”という独自のポジションを築き上げた。

ヴィンセント・ライネス「フレッド」CEO(以下、ヴィンセント):フレッド創業者の素晴らしいところは、その起業家精神にある。ジュエリーに対する情熱はもちろん、慣習に従わない勇気と独立した考え方を持ち、人々に対する愛があった。そういった彼の起業家としての資質がラグジュアリービジネスとしての成功に導いた。彼は、1930年代にフランスで養殖真珠を扱うなど、当時としては革新的なチャレンジも行った。ジュエラーであると同時に、卓越した起業家だったのだ。

自由な精神でクリエイションとビジネスを融合

WWD:創業者から受け継いだ価値をどのようにクリエイションで表現しているか?印象に残っている祖父との思い出は?

ヴァレリー:祖父と多くの時間を共にすることができたのは、とても幸運だ。彼が生きていたら、今でもとてもモダンでトレンドをけん印するような存在だと思う。祖父から受け継いだのは、自由な精神。常に既成概念にとらわれず、自分自身を自由に表現することを教わった。それをベースに、モダンな感性を加えてクリエイションに落とし込んでいる。まだキャリアをスタートして間もない頃、中東の王族から依頼を受けたティアラの制作に携わり、祖父と共にプレゼンテーションしたことが印象に残っている。祖父の“どの角度から見ても美しく”という細部にまで完璧を追求する姿勢に感動した。

WWD:クリエイションと経営の両立をどのように実現しているか?

ヴァレリー:クリエイションにおいてはブランドのDNAに忠実であることが重要だと考える。特にブランドのクリエイションを象徴するハイジュエリーにおいて制約はなく“スカイ・イズ・ザ・リミット(空が限界)”のクリエイションを提供している。一方でビジネスにおいては、新たなアイコンを作り出すことが成功の鍵となる。未来のアイコンを生み出すためのインスピレーション源となる可能性を秘めているのがハイジュエリーだと考える。

100年後も人生の喜びに満ちたジュエリーを届けるのがメゾンの使命

WWD:“サンシャイン・ジュエラー”としてのブランドバリューとは?

ヴァレリー:大胆さと自由に溢れたクリエイション。「フレッド」が提供するジュエリーは、光と色彩、人生の喜びに満ちている。南仏リビエラの開放的でエレガントなムードや祖父が育ったアルゼンチンのカラフルで幸せな記憶がクリエイションの根底にある。ジュエリーを着ける人をハッピーにする要素に満ちていると思う。

ヴィンセント:ジュエリーブティックというと敷居が高いイメージがあるが、「フレッド」のブティックはとてもフレンドリーでカジュアル。ジュエリーを選ぶ楽しみや喜びに満ちた空気を感じてもらえるはずだ。

WWD:“モダンジュエラー”として今後どのように進化するか?

ヴァレリー:時代に適応しながらも、祖父が築いたメゾンの根本にある精神は変わらない。今から100年後も「フレッド」は「フレッド」であり続けること、それがわれわれの使命だと考える。

ヴィンセント:ブランドとは、1人の人間のようなもの。ブランドの本質である個性を尊重し続けることが大事だ。今後も“サンシャイン スピリット”を持ち続け、他と比較することなく独自の道を歩み続ける。

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