ビューティ

花王「ケイト」が“美容液ジュレファンデ”で攻勢 リプモン・陰影メイクに続く第3の柱に

花王のグローバルメイクブランド「ケイト(KATE)」は10月25日、“クラゲ”を着想源とした新ベースメイクライン“月夜の海月”を発売する。ファンデーション(2530円※編集部調べ、以下同)、コンシーラー(1650円)、プライマー(1980円)など全6品目24品種をラインアップする。アイメイク、リップに続く柱としてベースメイク市場でのシェア拡大を狙う。

新ラインは、「クラゲのように時間が経っても変わらない美しい不死身の“ツヤ”を実現すること」を掲げ、10年かけて開発。ファンデーションのカバー素材やパールなどを美容液ジュレで包み込み、肌表面にネットワークを形成する独自の“ジュレリンク技術”を採用した。スキンケア成分としてヒアルロン酸、ナイアシンアミド、真珠タンパクなども配合。高いカバー力を持ち、皮脂と混ざってもくすまず明るい艶のある仕上がりを維持するのが特徴だ。

主力の“ジュレリープファンデーション”(25g)は6色を用意し、レフィル(2200円)や専用パフ(660円)も販売する。“ジュレリープコンシーラー”(6g)は、ファンデーション代用やハイライト向けの4色、くま・赤みをカバーする2色、透明感や血色感を演出する3色の全9色に加え、クリアなジュレで艶を演出するクリアタイプをそろえる。“ジュレリーププライマー”(25mL)は1色で、肌に寄り添いつづける“ジュレ”で長時間テカリやくずれを防ぐ。

ミューズ起用や専用什器で販促強化

販売戦略としては、主に20〜30代をターゲットに設定。既存顧客に加え、Z世代やトレンド感度の高い層への訴求を強める。この一環として俳優の見上愛をブランドミューズに起用。見上は来年のNHK朝ドラ主演を予定しており、ブランド認知度の拡大にも期待がかかる。

海外ではアジア9の国・地域(タイ、マレーシア、香港、台湾、ミャンマー、フィリピン、韓国、中国など)で順次展開する。日本、台湾、タイでは流通企業と連携し、“月夜の海月”ライン専用の什器を導入して販促を強化する。

岩田有弘ブランドマネジャーは「日本発のブランド『ケイト』が“ジャパンメイク”の新基準を世界に発信する」とし、アジア市場でのシェア拡大を目指す。既存のベースメイクラインと合わせて、2027年までに国内ベースメイク市場で第2位の地位を確立し、ベースメイクカテゴリー全体の売り上げ規模を24年比で約3倍に伸ばす計画だ。

「ケイト」の3つの変革

「ケイト」は1997年にカネボウ化粧品から誕生し、今年27年目を迎えた。セルフメイク市場においては、アイシャドウ、アイブロウ、アイライナー、リップの4カテゴリーで国内シェア首位を獲得(花王調べ)。21年以降はメイク全体でも、3年連続で国内メイク市場売り上げNo.1(インテージSRI+調べ メイク市場2021年1月~24年12月累計売上金額)を維持している。

ブランドの次なる成長目標は日本No.1から「アジアNo.1」へ。そのために、3つの変革方針を掲げる。1つ目は製品ポートフォリオの再構築である。既存の強みであるアイメイクの“陰影メイク”、リップの“リップモンスター”に加え、新たに発表したベースメイクラインを第三の柱として確立する。

2つ目は、ジャパンカルチャーを活用したブランド展開だ。これまで「SPY×FAMILY」「呪術廻戦」「NANA」など日本のアニメ・漫画とのコラボレーションで注目を集めてきた。岩田ブランドマネジャーは「東京発の個性を武器にアジアでの認知を広げていきたい」と述べる。

3つ目は、グローバル市場のトレンドを反映した製品開発だ。世界で通用する製品づくりに注力し、多様な消費者ニーズを取り込む。

「ケイト」はこれらの戦略を通じて、30年までに売上高を1.6倍、海外売り上げ比率を2倍に引き上げる計画だ。国内での確固たる地位を基盤に、アジア市場での存在感を一段と高める方針を鮮明にしている。

ベースメイクを次なる成長エンジンに

「ケイト」は、これまでアイメイクやリップといったポイントメイクで確固たる地位を築いてきた。その一方で、ベースメイクは戦略的に抑制してきた分野であったが、ブランド20周年を迎えた17年から重点分野に位置づけ、強化に動いている。

コロナ禍ではマスク生活による化粧習慣の変化や、各社から新技術を盛り込んだ大型製品が次々と登場し、ベースメイク市場は一段と競争が激化。「ケイト」にとっても、目立ちにくい領域での挑戦が続いた。

それでも「ケイト」は着実にラインアップを拡充。23年にはブランド初のクッションファンデーション、24年には冷感処方のBBクリームや“発光”効果を持つトーンアップ下地を投入。25年に入ってからも“バーチャルスキンメイカー”(1月)や“ポアレスキーパー”(7月)を市場に送り込み、段階的にベースメイク領域を強化してきた。

今回の新ライン投入は、その延長線上にあるだけでなく、グローバル市場での認知度を高める布石としての意味合いも大きい。競合には海外勢の「メイベリン ニューヨーク(MAYBELLINE NEW YORK)」、国内大手の「マキアージュ(MAQUILLAGE)」などがひしめくが、「ケイト」は「アジア圏を代表する東京発ブランド」として“唯一無二”の存在をアプローチしていく。

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