「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」は、展覧会"ルイ・ヴィトン アート デコ"をパリにあるLVドリームで開催している。同ブランドがジャズ・エイジに果たした役割に焦点を当て、ジャンヌ・ランバン(Jeanne Lanvin)の化粧ケースやビンテージの香水用ボトル、クチュリエのポール・ポワレ(Paul Poiret)のために制作したトランクなど、300点の希少なアイテムを8つの部屋に分けて展示する。
同展でフューチャーされるのは、創業者ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)の孫であり、現在の“文化的”ブランドとしての地位を確立したガストン=ルイ・ヴィトン(Gaston-Louis Vuitton)だ。ガストンは、製品デザインからウィンドウディスプレーに至るまで、1920年代の「ルイ・ヴィトン」の視覚的なアイデンティティーを指揮し、1925年の「パリ現代装飾美術・産業美術国際博覧会」では、革製品やトラベルケースを展示するエリアを統括する役割を担っていた。同展キュレーターのブール=マリン・マサール(Bleue-Marine Massard)は、「ガストンは芸術的な感覚を加え、彼の指揮のもとで、オブジェは美しく洗練されたものになった。彼はエレガンスと卓越したクラフツマンシップを吹き込み、当時最もファッショナブルで才能ある職人やメーカーと協働していた」と話す。
新ビューティラインの着想減となった展示物も
目玉となる展示品は、赤い裏地に白い幾何学的な形のブラシが並ぶ“ミラノ・ビューティートランク”だ。20年代にルグランと共同でデザインした化粧台と並んで、8月にローンチしたばかりのビューティラインの着想源となった。マサールによると、現存が確認されているのはこの1点と、同時期にカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)が購入した1点だけだという。会場では、「ランバン(LANVIN)」のフラッパードレスと一緒に展示される。
豊富な資料も展示
また、ガストン自身が収集した商品写真や広告などの資料も登場する。マサールは、「ガストンの驚くべき点は、彼が強迫的なまでに全てを記録していたということだ。彼は制作した全てを写真に収めていた。だからこそ、クリエイションの全てについて膨大で詳細かつ完全な記録を得ることができた。彼こそが『ルイ・ヴィトン』で初めてアーカイブを管理した人物だった」と語った。
実際の販売アイテムも登場
当時販売されていた製品の一例として、キャンバスとレザー製の“シャンゼリゼ・トラベルバッグ”や、ルレックス糸を織り込んだシルクの“ミノディエール”、カボション留め金の付いたモアレシルクのイブニングバッグ、アザラシ革の財布など、現代のデザインにも影響を与え続けているアイテムも紹介する。マーク・ジェイコブス(Marc Jacobs)による2005年“レ・エクストラオーディネール”コレクションのシャグリーヌ製クラッチや、ニコラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquiere)現ウィメンズ・アーティスティック・ディレクターによる“アートデコ”の精神を体現した作品なども展示する。
最後の展示室では、写真や衣装用トランク、近年の服飾作品が並び、ファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)現メンズ・クリエイティブ・ディレクターによるスーツなどを見学できる。
イベント概要
■ルイ・ヴィトン アート デコ
場所:26 Quai de la Mégisserie, Paris 1er
入場料:無料