消費財大手プロクター・アンド・ギャンブル(PROCTER & GAMBLE以下、P&G)は、アレックス・キース(Alex Keith)=ビューティ部門最高経営責任者(CEO)が2026年2月20日付で退任すると発表した。後任には、フレディ・バルーチャ(Freddy Bharucha)=グローバル パーソナルケア部門プレジデントが12月1日付で就任する。
今回の人事は、同社全体の経営陣刷新の一環。7月下旬には、ジョン・メラー(Jon Moeller)CEOが26年 1月1日付で退任し、シャイレシュ・ジェジュリカール(Shailesh Jejurikar)最高執行責任者(COO)がCEOに昇格することが発表されていた。
ブランドの刷新や買収をけん引
化学工学のバックグラウンドを持つキース氏は、20年以上にわたりビューティ業界で活躍し、直近8年間はP&Gビューティ部門のCEOを務めた。在任中は「オレイ(OLAY)」をマススキンケアの巨頭へと成長させ、「パンテーン(PANTENE)」や「ハーバルエッセンス(HERBAL ESSENCES)」などのヘアケアブランドを刷新。さらに「ネイティブ(NATIVE)」「ウェイ(OUAI)」「ミエル オーガニクス(MIELLE ORGANICS)」といった注目ブランドを買収し、スペシャルティビューティ部門を新設するなど、新領域への進出もけん引した。
キース氏は、「優れた組織力と、私と同じように美容を愛する消費者からのインスピレーションに支えられ、これほどの規模のグローバルビジネスを率いられたことは、この上ない光栄だった」とコメント。「フレディとは長年共に仕事をし、彼を今日のリーダーに育てられたことをうれしく思う。彼ならP&Gのビューティ部門をさらに成長させられると確信している」と述べた。
グローバル経験豊富な新CEO
新CEOとなるバルーチャ氏もビューティ業界で20年以上の経験を持ち、P&Gが事業展開するほぼ全地域でリーダー職を歴任。中国ではスキンケアやパーソナルケア事業を率い、北米およびアジアではヘアケア事業を担当した。同氏は、「アレックスを筆頭に組織全体が情熱を持って築いてきた財産を、さらに発展させる機会をもらい、大変光栄だ」と語った。
このほかの人事として、アルトゥール・リター・リタロヴィチ(Artur Litar Litarowicz)=ビューティ部門ヨーロッパ担当シニア バイス プレジデントがグローバルおよび北米のパーソナルケア事業を統括するプレジデントに就任。スーキョン・リー(Sue Kyung Lee)氏は引き続き「SK-II」を含むグローバルスキンケア事業を率いる。
なお、P&Gの25年度第4四半期(4〜6月)の売上高は前年同期比2%増の209億ドル(約3兆932億円)で、為替やM&Aの影響を除いたオーガニック売上高も2%増加。カテゴリー別の通期決算では、ビューティ事業のオーガニック売上高が前期比1%増だった。
本文中の円換算レート:1ドル=148円