ビューティ

米国で若者に人気の“デュープ(模倣品)”香水ブランド「ドシエ」がNYに初の常設店

米国発のフレグランスブランド「ドシエ(DOSSIER)」は27日、ニューヨークのノリータ地区エリザベス・ストリートに初の常設旗艦店をオープンする。店舗面積は1300平方フィート(約36坪)で、主力の”インプレッションズ”シリーズや独自の香りをそろえる“オリジナルズ”シリーズを取り扱う。同地は香水専門店の「セント バー(SCENT BAR)」やフレグランスブランドの「イソップ(AESOP)」「ル ラボ(LE LABO)」「ザ ナクソス アポセカリー(THE NAXOS APOTHEKARY)」などが軒を連ね、“セント ロウ(Scent Row、香りの通り)”とも呼ばれる。

TikTokで話題に
拡大する“デュープ”市場

高級フレグランスの“デュープ(模倣品)”として知られる「ドシエ」は、2019年にオンラインで販売をスタート。デザイナーやニッチフレグランスブランドからインスパイアされた“インプレッションズ”シリーズがTikTokで話題を集め、人気を確立した。22年には、小売最大手のウォルマート(WALMART)で販売を開始。その翌年、オリジナルライン(各50mL、各39ドル=約5600円)を発売して製品カテゴリーを拡張した。今年初めには、ドラッグストアのCVSファーマシー(CVS PHARMACHY)にも進出している。

「ドシエ」のセルジオ・タッシュ(Sergio Tache)創業者兼最高経営責任者(CEO)は、「人々はこのブティックを長年待ち望んでいた。我々は環境をコントロールしながら製品について伝え、消費者が『ドシエ』を発見する手伝いができる独自のスペースを求めていた。『ドシエ』はブランド立ち上げ時から大成功を収めていた。我々はデートで良い香りをまといたいのに、150ドル(約2万1600円)以上を支払って高級フレグランスを購入しなければならない状況が理解できなかった。これが解決したい問題だった」と述べた。

ベストセラーは
「メゾン フランシス クルジャン」の再現

“インプレッションズ”シリーズのベストセラーは、「メゾン フランシス クルジャン(MAISON FRANCIS KURKDJAN)」の“バカラ ルージュ 540”を模した”アンバリー サフラン(Ambery Saffron)”で、49ドル(約7000円)で販売する。一方、「メゾン フランシス クルジャン」の“バカラ ルージュ 540”の価格は335ドル(約4万8000円)だ。“インプレッションズ”シリーズはそのほか、「ディオール(DIOR)」の“ソヴァージュ”や「シャネル(CHANEL)」の“ココ マドモアゼル”、“ブルー ドゥ シャネル”などをインスピレーション源にした約20種類のフレグランスをラインアップする。

タッシュCEOは、ビューティ業界において“デュープ”トレンドが続き、消費者が香りのレイヤードやフレグランス・ワードローブを充実させる中、「ドシエ」の予算重視のアプローチは市場優位性をさらに高めていると説明する。「人々は新しい香りを発見し、香りのワードローブを築きたいと願っている。高級フレグランスの平均的な価格である150ドル以上ではそれが難しい。『ドシエ』はそれを可能にする」。タッシュCEOは同社の業績についてコメントしなかったが、業界筋は「ドシエ」の年間売上高を約8000万ドル(約115億円)と推定している。

情報サービス企業のチャームIO(CHARM.IO)のデータによると、「ドシエ」の24年のTikTokショップの売り上げは440万ドル(約6億3300万円)を記録し、今年は現在までに240万ドル(約3億4500万円)を売り上げている。タッシュCEOは、「時期によってはTikTokショップがアマゾン(AMAZON)より大きな推進力となっている。TikTokは当社の成長において非常に重要な役割を果たしており、オリジナル商品が花開く場でもある」と述べ、5月のTikTokショップ売り上げの26%を“オリジナルズ”シリーズが占め、オンライン全体では約10%を同シリーズが占めたと付け加えた。

オリジナルの香りで
次のステージへ

「ドシエ」のイネス・グイエン(Ines Guien)最高執行責任者(COO)は、「25年は“オリジナルズ”の年だ」と述べ、新店舗が“オリジナルズ”シリーズの魅力を高める鍵になると強調した。店舗内には“オリジナルズ”シリーズ専用のスペースを設けるほか、フローラル、アロマティック、フレッシュ、スパイシー、フルーティー、ムスキーの6つの香りに分けたセクションで、“インプレッションズ”シリーズと並べて展開する。デュープ製品であることについては、「“インプレッションズ”は常に当社の強みであり恥ずかしく思ったことはない」と述べ、他のデュープブランドとの差別化要因として、既存のフレグランスの処方の再現における精度を挙げた。「多くのブランドはトップノートをうまく再現するが、真の挑戦は数時間経っても同じ品質と香りを維持させることだ。我々はここに全ての努力を注いでいる」と語った。

同ブランドは今夏後半、エルムハーストのクイーンズ センターに2号店となる800平方フィート(約22坪)の店舗をオープンする予定だ。 タッシュCEOは、「都市部とショッピングモールという両方の環境を理解するために選択した。これらの店舗の成功を確認した後、他のブティックを展開していく計画だ。私が常に念頭に置いているビジネスモデルは(アイウエアブランドの)『ワービー パーカー(WARBY PARKER)』だ。彼らはオンラインからスタートした後に実店舗展開へ転換し、現在では実店舗が売上高の60〜70%を占めている」と指摘した。

■「ドシエ」旗艦店
住所:242 エリザベス・ストリート、ニューヨーク、NY 10012

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