多くのラグジュアリー・ブランドがデザイナーを入れ替えることで新陳代謝を図っているように、ファッション&ビューティ業界は常にリブランディングしたり、志向したりすることでアップデートしています。
例えば最近では、「アーカー(AHKAH)」。華奢だったロゴを(一般的なサンセリフ体とは異なりますが)大胆にしながら、“シャンデリア”などのアイコンラインにも流動的な曲線を大胆に加え、赤や黒を背景としたモデルシューティングでイメージを発信します。
「アーカー」のリブランディングは、ビューティ業界における「シロ(SHIRO)」のそれに近い印象を受けます。「繊細」で「華奢」、ゆえにファンも大勢いましたが、世界を目指すために「繊細」は残しつつ「華奢」を「大胆」に刷新したのでしょう。賛否両論はあるでしょう。特に「華奢」なカンジに共感していた人は、だからこそ「私のブランド」と思っていたかもしれません。でも「シロ」がこれだけメジャーになったことを考えると、私は「アーカー」のリブランディングも世界を目指すなら正しい方向性だと思っています。
ビューティ業界では、「イプサ(IPSA)」がリブランディングの真っ最中です。肌と心の研究を続ける資生堂は、傘下の「イプサ」に一連の研究成果を盛り込み、肌同様に心も気にする若い世代にリーチしようとしています。
若い世代が肌同様、心も気にしているのは、納得です。ファッション業界では、「ケイト・スペード ニューヨーク(KATE SPADE NEW YORK)」や「コーチ(COACH)」など、先進国の中で唯一Z世代が増えているアメリカ出身のブランドがメンタルヘルスや、自己表現による自己肯定などの価値観を発信しています。特に社会を牽引しようとする心意気や覚悟を持つ若い世代は、早くからメンタルヘルスを意識することこそ、自身の能力を生涯にわたって最大限に引き出すことと信じている印象があります。
そのため「イプサ」は、商品はもちろん、パッケージや接客も感性価値を高める方向に舵を切ります。例えばパッケージは、サステナビリティの観点からも使用するプラスチックを削減。基幹製品「ME」のパッケージは、握ると“プニプニ”で、感情に訴えかけます。「ME」の前に発表した製品では、精油を配合。香りで心にアプローチします。
「イプサ」はこれまで、無機的なカンジというか、“余計な混ぜ物をしていない”がゆえに支持していた人も一定数存在していた印象です。そんな方々に“プニプニ”のパッケージや、配合した精油はどのように映るのでしょうか?こちらも賛否両論ありそうですが、自分も、心も、満たされることを目指した新しいタグラインは、時には疲れることもある、若い世代の、素直な気持ちを、澄んだ世界観で表現しようとしたものと受け止めました。
「アーカー」も「イプサ」も、私は昔から知っているし、業界の潮流やブランドが向かいたい先を知っているから、ポジティブです。では私以外の人は、どう受け止めていくのか?注目したいと思っています。
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