ファッション

ハローキティ、ポムポムプリンにザシキブタ 「サンリオキャラクター大賞」歴代1位から読む、ファッショントレンドとの関係

昨今の世界的なキャラクターブームは、ファッション業界に恵みの雨をもたらしている。猛暑や暖冬などの天候不順、ビッグトレンドの不在に悩まされる今、国境や世代、ジェンダーを越えて売れるキャラクターコラボはまるで福音のようだ。

ただ、あやかってきたのはファッションだけだろうか。歴代の人気キャラクターもまた、その時代のトレンドを追い風にしてきたのではないか。近年、盛り上がりを増す「サンリオキャラクター大賞」の1位をたどると、その可能性が見えてくる。

サンリオ最初期のキャラクター
パティ&ジミー

「サンリオキャラクター大賞」が始まったのは1986年だが、本稿ではその少し前まで遡って考察してみたい。元々は「山梨シルクセンター」として絹製品の販売を祖業としていたサンリオだが、73年にグリーティングカードを扱うサンリオグリーティングを吸収合併し、社名をサンリオに改称。キャラクタービジネスに本格的に舵を切っていくことになる。そしてサンリオ初期のキャラクター、パティ&ジミーが74年に産声をあげた。ハローキティと同期にあたる、自社オリジナルキャラクター第1弾の1組だ。

当時の日本社会は、戦後の復興の中で豊かさのモデルとしてアメリカに熱中していた。60年代からのアイビー(アメリカ東海岸の名門大学の学生のファッションスタイル)ブームの流れを受けて、70年代にはアメリカ西海岸の学生部屋をイメージしたセレクトショップ「ビームス(BEAMS)」がオープンし、雑誌「ポパイ(POPEYE)」も創刊するなど、日本はアメリカに夢中だった。

パティ&ジミーにも、そんなアメリカへの憧れが投影されている。2人はデザイナーのアメリカ視察の体験をもとに生まれたキャラクターで、カンザスシティ出身という設定。オーバーオールやキャップ、スニーカーなど、アメリカの子どもを思わせるファッションを着ている。雑貨のデザインにも、英文を取り入れたものが多かった。当時は今のようにSNSやデジタルメディアがなかった時代。文房具やグッズといった「持ち物」がサンリオキャラクターと消費者の出合いの場だった。

「サンリオキャラクター大賞」初代1位
ザシキブタ

80年代に入ると、好景気を背景に豊かな暮らしの象徴であるヨーロッパへの憧れが高まっていく。「エル・ジャポン(ELLE JAPON)」(82年)「マリ・クレール(MARIE CLAIRE)」(82年)「フィガロジャポン(MADAME FIGARO JAPON)」(90年)など、パリで生まれた雑誌の日本版が相次いで発行されたのもこの頃である。84年には、パリの日常着を提案する「アニエスベー(AGNES B.)」が上陸。アイビースタイルはフランスのエッセンスを加えた“フレンチアイビー”に変化した。

やはりこういった当時の世相は人気キャラクターにも反映されている。86年に開催した第1回の「サンリオキャラクター大賞」ではザシキブタ、87年の第2回ではマロンクリームが1位を獲得した。ザシキブタとマロンクリームの共通点は、ともに「フランス生まれ」であること。キャラクターデザインもカントリー調で、やや大人向けのデザインだった。ハローキティ(74年デビュー)やマイメロディ(75年)、リトルツインスターズ(77年)など、人気キャラクターを押さえてのランクインは、この時代を知らない人の目には意外に映ることだろう。

史上最多の12連覇
ハローキティ

そしてハローキティが12連覇を果たした1998年から2009年は、ギャルファッションの全盛の時代だ。1990年代後半には、ハローキティの熱狂的なファンを示す“キティラー”という言葉も生まれた。ハローキティがギャルに受け入れられた理由の1つは、そのシンプルなデザインにあるのだろう。線が少なく表情を限定しないハローキティは、派手なギャルファッションに取り入れても自然と馴染む。持ち物をラインストーンでデコるときも、デザインや配色がシンプルなため初心者でも印象を崩さない。一方、ハローキティ自身も、96年にはリボンの代わりにハイビスカスを飾ったデザインを投入し、日焼け風の肌を取り入れるなど、自らギャル文化に近付いていった。

今最も勢いに乗る
ポムポムプリン

第41回を迎えた今年は、歴代最多となる7064万7379票を集め、キャラクターブームの盛り上がりを裏付けた。その中で2年連続、通算5度目の1位に輝いたのがポムポムプリンである。ネコのキティがギャルを味方につけた時代から一転、イヌのポムポムプリンの人気もどこかでファッショントレンドと結びついているのだろうか。

ここで、ポムポムプリンの体の色に注目してみよう。いわゆるイエローよりまろやかで、淡いクリームに近い色。肌なじみがよく、ここ数年でファッション誌がトレンドカラーとして取り上げることも増えた、「バターイエロー」である。

もちろん、デビュー30周年という節目が重なったこともある。効率重視の時代に、ポムポムプリンのマイペースな性格が人々の癒しになっていることもあるだろう。ただ、マスコットキーホルダーやチャーム、前髪クリップなど、お気に入りのキャラクターをファッションとして身につけることが浸透している昨今。ポムポムプリンの「バターイエロー」も、潜在的に人々の気分とリンクしており、その人気ぶりと無関係とは言い切れないのではないだろうか。

© 2026 SANRIO CO., LTD.  著作 株式会社サンリオ

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