一大商機となった吉日・一粒万倍日。かつての「種まきに適した日」は現在、「財布の新調に最適の日」として広く認知を獲得している。数年前には、「通常時の約3倍」という売り上げも聞かれた。現在はやや減速しているものの、売り場にとって重要な商機には変わりない。今回新たに、財布以外の商材に可能性を見いだす声も挙がった。(この記事は「WWDJAPAN」2025年6月9日号からの抜粋です)
用語説明
① 一粒万倍日
「一粒の籾(もみ)が万倍もの稲穂に実る日」を意味し、この日に始めたことは何倍もの成果となって返ってくると言われている。一方、ネガティブなことも広がってしまうため、常にポジティブな言動を心がけることが大切。
② 天赦日
「全ての神が天に登り、あらゆる罪を赦す(ゆるす)日」を意味し、日本の暦における最上の吉日とされる。さまざまな障害が取り除かれることから、新しいことを始めるのに最適な日と言われる。
③ 寅の日
寅(とら)は千里を行っても無事に帰ってくることから、「出て行ったものが戻ってくる日」とされる。さらに寅の黄金色のしま模様は金運の象徴とみなされており、特に財布の新調などに適した金運招来日とされる。
④ 甲子の日
十干と十二支を組み合わせた六十干支(ろくじっかんし)の最初の日。物事の始まりの日として重宝され、「この日に始めたことは、良い運気と流れを保ちながら発展していく」とされる。60日に一度の周期で訪れる。
⑤ 天恩日
「天の恩恵を万人が受けられる日」を意味し、何をするにも縁起がよい日とされる。5日間連続するため、吉凶日と重なりやすいのも特徴。
マス化で何が変わる?
一粒万倍日(①)は、「一粒の籾(もみ)が万倍もの稲穂に実る日」を意味する。「事始めに最適な日」から「投資に最適の日」「財布の新調に最適の日」と解釈され、2010年代後半から国内のバッグメーカーが中心となって新作財布を打ち出してきた。日本にはもともと福財布の文化があり、財布と運気を結び付ける土壌が備わっていたことも大きい。天赦日(②)や寅の日(③)、甲子の日(④)、天恩日(⑤)など、他の吉日と重なる最強開運日には、通常の3倍を売り上げる事例も出てくるようになった。
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