PROFILE: ニック・ウェイクマン/「スタジオニコルソン」創業者兼クリエイティブ・ディレクター

WWD:吉田カバンとは個人的な思い出があるとか。
ニック・ウェイクマン「スタジオニコルソン」創業者兼クリエイティブ・ディレクター(以下、ウェイクマン):1999年に初めて東京を訪れた際、街ですれ違う吉田カバンのバッグを持つ人たちに目が釘付けだったことを覚えている。自然と足先が東急ハンズに向き、代表作“タンカー”シリーズのヘルメットバッグを買っていた。その後も熱は冷めず、何度か購入している。
WWD:どのようにしてコラボが実現した?
ウェイクマン:「スタジオニコルソン」のコラボ担当者が、「POTR」を提案してきた。正直胸が高鳴った。前述した通り、私は吉田カバンのファンだから。加えて、吉田カバンと「スタジオニコルソン」のモノ作りには共通点が多い。これまでさまざまなブランドとコラボしてきたが、特別なものになると確認があった。
WWD:共通点とは?
ウェイクマン:機能性の追求や素材へのこだわり、汎用性あるデザインなど、枚挙にいとまがない。しかもお互い、それらに同じ熱量で取り組んでいる。(コラボとなるとブランドのこだわりがぶつかることもあるが、)スムーズに発売までもっていけた。
出来は「完璧」
WWD:コラボアイテムを初めて見たときの感想は?
ウェイクマン:ただ一言、「完璧」だと思った。
WWD:コラボコレクションを改めて説明してほしい。
ウェイクマン:“ボンサック”、ショルダーバッグ、キーウォレットの3型を用意した。中でもお気に入りは、“ボンサック”。数年前にこの型を「ポーター(PORTER)」の表参道店で購入して以来、平面に置いたときと実際に身に付けたときで変わるシルエットに夢中だ。
どのバッグも、マットな質感の100%リサイクルナイロン生地を使い、「スタジオニコルソン」のシグネチャーカラー“ダーケスト ネイビー”で染めた。ステッチを表に出さないようにしたのも、この色合いを存分に楽しんでもらうため。
「スタジオニコルソン」らしさは随所に散りばめた。例えば、ファスナーは、「スタジオニコルソン」のパンツのサイドファスナーを模したもの。ナイロンテープや付属のレザー部分には、通常の“四角バッテン”の代わりに、「スタジオニコルソン」のイニシャル“N”をあしらった。
WWD:一緒に働いたからこそ気付いた吉田カバンの一面はあるか?
ウェイクマン:さまざまな装飾をあしらっても、ごちゃごちゃ感が一切ないこと。私も昨年からバッグコレクションを発表しており、作り手として学びが多かった。