阪急阪神百貨店は、2023年度に新設した社内報奨制度「カスタマーサクセスアワード」の第2回表彰式を24日に開催した。同賞は「お客さまの喜びは、私たちの喜び」というバリューに基づく行動で成果を出した社員を称え、顧客基点で働く企業文化の醸成につなげることを目的に創設。前年度の1.5倍、全社員の6割強にあたる2493人が応募し、選考を経て受賞した12人の順位が発表された。
一人の顧客の期待に徹底的に応える
今年度は2点を変更した。一人の顧客の興味・関心事・課題を解決した取り組みを対象とした「バリューアクション大賞」と、複数の顧客に対しても再現性のある取り組みを対象とした「ビジネスインパクト大賞」に分類した。それぞれの営業部門とスタッフ部門ごとにグランプリ1人と準グランプリ2人が選出された。さらに自薦による個人応募のため、前年度は取り組みが完遂できず、最終的に応募できなかった社員もいたことから今年度は本来の業務と一体化。年度をまたいでも取り組みをやり切ることを重視した。
全役員による最終選考と社員投票の結果、バリューアクション大賞・営業部門のグランプリは、趣味でつながるコミュニティを提案したお得意様外商部の伊藤竜彦さん、準グランプリには骨格診断イベントを実施した阪急本店婦人服飾品営業統括部の的場なるみさんと、ギフトをきっかけに次世代の新規顧客を獲得した西宮阪急子供ライフスタイル営業部の西浦麻絵さんが選ばれた。グランプリの伊藤さんは「お得意様外商部は非常に働きやすい風土があり、受賞はそのおかげ。これからも自身のアップデートと長くやっているからこそ気付くことに一つずつ答えを出していくよう心がけていきたい」と喜びを語った。
バリューアクション大賞・スタッフ部門のグランプリは、生成AI(アシスタ)を活用した事務センターの問い合わせ業務の自動化に取り組んだ業務改革運営推進室の小竹和代さん、準グランプリには新作発表会の時期に合わせてスイスウォッチツアーを開催したラグジュアリー商品統括部の村田竜一さんと、クローバースタッフの不安要素を取り除く要素を入れたレジ教習の実施とクローバースタッフとの関係性の構築に取り組んだ阪神本店婦人服飾品・リビング営業統括部の陣在京子さんが受賞した。グランプリの小竹さんは「途中諦めそうになったが、部内メンバーやシステム部門の方のサポートによって形にすることができた。これからも営業部門のお役に立てるようアシスタを育てていきたい」と、感謝と抱負を述べた。
顧客満足の新しい仕組みを作る
ビジネスインパクト大賞・営業部門のグランプリは、パフォーマンス型のリペア・メンテナンスコーナーの新設に取り組んだ阪急メンズ大阪紳士洋品雑貨営業部の岩橋和大さん、準グランプリには売り場ビジョン『未来の阪急うめだ本店の顧客を創造する』を実現させる期間限定ショップを展開した阪急本店婦人ファッション営業統括部の山藤未来さんと、富裕層ニーズの高いお酒のカテゴリーで体験型イベントを企画したお得意様外商部の半田潤一郎さんが受賞した。グランプリの岩橋さんは「競合の多いメガネ業界だが、お客さまの思いとその思いに応えたいというわれわれの思いが合致してこの環境とサービスを作ることができた。まだ認知度は低く、課題も多いが、メガネのメンテナンス・リペアが一般化していくよう取り組んでいきたい」と喜びを伝えた。
ビジネスインパクト大賞・スタッフ部門のグランプリは、ファッション好き富裕層に向け、クローゼット整理サポートサービスを提案したファッションワールドコンテンツ開発部の山田祥生さん、準グランプリには顧客と生産者の新しい関係性作り「トモniツクル」を企画した第1店舗グループフードマーケティング部の細見圭祐さんと、日本酒の新たなプレミアムカテゴリーの確立に取り組む第1店舗グループフード商品統括部の大塚秀和さんが受賞した。グランプリの山田さんは「今回の取り組みを通じて、課題解決自体がお客さまの喜びだったり、最終的には全然違うありたい姿につなげていくことができることを感じることができた。実際にご自宅に伺うなどお客さまと向き合うことで結果、新しい商品の購入にもつながった。目の前の課題の解決だけではなく、お客様のありたい姿を一緒に考えていけるよう努めていきたい」と語った。
大切なのは「感じる力」「考える力」「行動する力」
表彰式で阪急阪神百貨店の山口俊比古社長は「お客さまの価値観が変化していくなか、私たちにとって最も大切なことは、向き合うお客さまや共に働く仲間が困っていることを気づき、そこに対して全力で取り組むこと。結果としてその方たちの喜びが生み出されることが大切と思う。そのためには、向き合った方に対して感じる力と考える力、行動する力が必要。喜びの花を目いっぱい咲かせてほしい」とあいさつした。
同アワード自体については「応募者数が昨年の1.5倍に増えたことで一歩成長した」と評価。「今回の受賞者も組織のリーダーというより、自身の仕事に真摯に取り組み、結果を出せた人たちだ。アワードが人材育成と人材発掘にもつながっている」と、着実な成果をアピールした。