ファッション
特集 メンズ・コレクション2025-26年秋冬

「エルメス」が彩る冬の都市生活 上質な素材と絶妙な色合わせが際立つ現代男性のためのワードローブ

クリエイティブ・ディレクターやアーティスティック・ディレクターの任期が短くなり、交代のニュースや噂が飛び交う昨今、35年以上にわたり「エルメス(HERMES)」のメンズ・コレクションを手掛けているヴェロニク・ニシャニアン(Veronique Nichanian)の存在はレアなケースと言える。それが成り立っているのは、「エルメス」が一貫性や継続性を大切にしていること、そしてニシャニアンが常に現代性と向き合い、感性をアップデートし続けているからだろう。2025-26年秋冬も、遊び心を加えながら今を生きる男性に必要なアイテムをそろえる安定感のあるクリエイションが光った。

騎手のユニホームに着想したグラフィカルなデザイン

「時を宿す(Inhabiting Time)」と題した今季は、ゆるやかなシルエットを描くコートやブルゾンに暖かみのあるセーターやシャツとカーディガン、そして細身あるいはワイドなパンツを合わせるクリーンなカジュアルスタイルが中心。ビジネスシーンに対応するスーツは、カシミヤフランネルやピンストライプ地のウールで仕立てた。イブニングシーンには滑らかなベルベットのスーツを提案。カレ(正方形のスカーフ)を細く織り畳んで、そこにリングに通し首に巻き着けたスタイリングがポイントになる。

今季のコレクションに「力強さとエネルギー」を加えるため、ニシャニアンが取り入れたのはホースレースで騎手が着るカラフルなユニホーム(カザック、勝負服)から着想したラインやグラフィカルなパターン。例えば、ニットの編み地や色の変化で表現したり、異なる色のシアリングをはぎ合わせて描いたり。ラインで遊ぶデザインは、「エルメス」の今年の年間テーマである「ドローイング-描く-」に通じるものだ。

着こなしの幅を広げるアイデアが充実

もう一つのポイントは、複数の着方を楽しめる提案が充実していること。バルマカーンコートやスタンドカラーのショートコートには、馬用のブランケットから着想を得たライニングが付き、それぞれ単体でも着用できる。一方、ディアスキンのオーバーシャツやブルゾンはベビーラムのカラーを取り外すことができ、ラムスキンのブルゾンはフードパーツがデタッチャブル。カザックのパターンを描いたナイロンブルゾンは、リバーシブルになっている。さらに、セーターと同じ素材と色で編んだファスナー付きのバラクラバやリバーシブル仕様のベルト、ポケットが付いたパーツを取り外せるデザインのアイコンバッグ“オータクロア”など、アクセサリーにもコーディネートの幅を広げるアイデアが見られる。

素材は、「エルメス」ならではのさまざまなレザーに加え、アルパカとウールをミックスしたテディーモヘアやカシミヤ、ブークレ、ベルベット、シルク、コットンからワックスコーティングを施したジャージーやシワ加工を施したリップストップ地までを合わせ、質感のコントラストを強調。カラーパレットもブラウン系や黒、グレー、紺などダークトーンを軸に、淡いブルーやクリーム、ブラッドオレンジ、黄緑などでアクセントを効かせる。そんな上質な素材と絶妙な色合わせを生かし、暖かで洗練された都会的ワードローブを作り上げた。

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