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「シュプリーム」売却を親会社VFCが検討か 傘下ブランド見直しの一環として

情報筋によれば、「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」「ヴァンズ(VANS)」「ティンバーランド(TIMBERLAND)」などを擁するVFコーポレーション(VF CORPORATION以下、VFC)が、やはり傘下に持つ「シュプリーム(SUPREME)」の売却を検討しているようだ。アドバイザリーとして米投資銀行ゴールドマン・サックス(GOLDMAN SACHS)を選定し、ブランドポートフォリオ戦略の見直しを行っているという。

同社は2月に2023年10〜12月期(第3四半期)決算を発表した際、傘下ブランドの見直しを開始したことを公表しているが、対象となるブランドや、アドバイザリーの選定については明らかにしていなかった。

VFCの広報担当者は本件に関し、「当社は市場のうわさや憶測にはコメントしない方針だ」と声明を発表。ゴールドマン・サックスからのコメントは得られなかった。

「シュプリーム」は、1994年にジェームス・ジェビア(James Jebbia)がスケートショップおよびオリジナルブランドとしてニューヨークで創業。世界中に熱狂的なファンがいるストリートブランドとして成長を続け、2017年には巨大投資ファンドのカーライル・グループ(CARLYLE GROUP)に株式の51%を5億ドル(約775億円)で売却した。当時の企業価値は10億ドル(約1550億円)程度と見積もられている。20年11月、VFCが21億ドル(約3255億円)で買収した。その後、コロナ禍の影響によるサプライチェーンの混乱などのため売り上げが鈍化。22年度に、VFCは「シュプリーム」の日本市場におけるビジネスなどに関して、「金利の上昇や為替レートなど営業外要因のため」に7億3500万ドル(約1139億円)相当の減損費用を計上した。

また、22年2月にトレマイン・エモリー(Tremaine Emory)をクリエイティブ・ディレクターに起用したものの、同氏は「『シュプリーム』内に構造的な人種差別問題がある」として、23年9月に退任。「シュプリーム」は、「本件で挙げられている懸念について真摯に受け止めつつも、異議を唱える」とこれに反論している。

23年10月には、“物言う株主”として知られる米投資会社エンゲージド・キャピタル(ENGAGED CAPITAL)がVFCの株式を取得。「ヴァンズ」と「ザ・ノース・フェイス」以外の傘下ブランドの見直しに加えて、3億ドル(約465億円)以上の経費削減、「ヴァンズ」と「ザ・ノース・フェイス」に対するテコ入れ策として1億ドル(約155億円)程度の投資、経営陣の刷新などを要求したと複数の海外メディアが報じた。なお、エンゲージド・キャピタルは当時、ほかの投資家に向けたプレゼンテーションで「VFCによる『シュプリーム』の買収は、リスクマネジメントが崩壊したとしか思えない案件だ」と説明したという。

VFCの23年10~12月期決算は、売上高が前年同期比16.1%減の29億6030万ドル(約4588億円)、営業損益は前年同期の5億1603万ドル(約799億円)の黒字から3223万ドル(約49億円)の赤字に、純損益は同じく5億786万ドル(約787億円)の黒字から4245万ドル(約65億円)の赤字となっている。

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