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特集 原宿・新時代 第3回 / 全17回

「小杉湯原宿」の若手リーダーが語る 商業施設内に「街の銭湯」の可能性

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PROFILE: 関根江里子/小杉湯副社長

関根江里子/小杉湯副社長
PROFILE: (せきね・えりこ)1995年中国・上海生まれ。東京・池袋で幼少期を過ごす。慶應大学経済学部卒業。2020年にフィンテックベンチャー企業に入社し、事業責任者を勤めた後、同年末に取締役COOに就任。22年に銭湯経営を目指し独立。同年小杉湯に入社し、「小杉湯原宿」の事業責任者を担当する PHOTO:SHUHEI SHINE

商業施設「ハラカド」の目玉の1つが、地下1階にオープンした銭湯「小杉湯原宿」だ。小杉湯は1933年に高円寺で創業。初代のホスピタリティー精神が現在まで受け継がれ、地元の人々に長く愛されてきた老舗銭湯だ。名物はほのかに甘い香りと柔らかな肌触りが特徴のミルク風呂。また、熱い風呂と水風呂を行き来する温冷交互浴の名所としても知られる。(この記事は「WWDJAPAN」2024年4月22日号からの抜粋です)

原宿の中心で
街の銭湯文化を作る

関根江里子/小杉湯副社長

「小杉湯が大切にしている優しさと温もり、誰に対しても閉じない街の銭湯文化を原宿で作りたい」と熱を込めて語るのは、小杉湯副社長で「小杉湯原宿」の事業責任者を務める関根江里子さん。関根さんは大学卒業後、フィンテックのベンチャー企業でキャリアをスタートさせた後、2年後に退社。「本当に社会に必要な場所を残すために人生をささげたい」と思い付いたのが銭湯経営だった。関根さんは池袋で育ち、幼少期には父親と銭湯に行くのが日課だった。「私は父が60歳のときに生まれた子ども。学歴がなく苦労してきた両親は、私を塾に行かせるため清掃の仕事で一生懸命お金を稼いでくれた。小学生の頃、日能研のバッグを背負った私と父が並んで歩いていると誘拐だと間違われることがあった。私のために頑張ってくれているかっこいい父が、見た目や年齢で評価される社会が嫌で仕方なかった」。関根さんにとって、そんな周りの視線を気にしなくていい唯一の場所が銭湯だった。「仕事から汗だくで帰宅した父が、黄色のケロリン桶に折れそうなせっけんとタオルを入れて、私の手を引きながら銭湯に行く。そこでは近所のおじいちゃんが遊んでくれたり、牛乳をおごってくれたりした。肩書なんか気にせず、どんな人もお互いに気を配りながらただ一緒に時間を過ごせるのが私の街の銭湯の思い出だ」。

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