ファッション

「アミ パリス」が見せた圧巻のランウエイ 世界初、中国・蘇州の相門古城壁でファッションショー 

アミ パリス,AMI PARIS

「アミ パリス」は4月10日、1月にパリで披露した2024-25年秋冬コレクションのリピートショーを開催した。舞台となったのは9つの庭園がユネスコ世界遺産に登録され、「中国のベネツィア」とも呼ばれる中国の蘇州にある、歴史的建造物の相門古城壁。同所でのファッションショーの開催はこれが世界で初の試み。今回のランウエイでは、メンズ、ウィメンズウエアとアクセサリーの中からアイテムをセレクトし直し、新たなスタイリングで発表した。

さまざまなムードを組み合わせ
クラシックとモダンを融合

ランウエイは、メンズ、ウィメンズ共にリッチな質感の素材やテキスタイルを採用し、ジャケット、コートを中心としたクラシカルなテーラリングのクリエイションが際立った。特にダブルブレストのジャケットはピークドラペルでシャープな印象ながらもショールカラーのような柔らかな曲線など、さまざまなシルエットを描く。一方で、後半にはゴールドのボタンや袖をファーに切り替えたコート、きらびやかなキャミソールドレス、抜け感のあるチェックのトップスなども登場。優美なムードも盛り込み、ステレオタイプなクラシックを更新した。

会場に選ばれた相門古城壁は、呉の時代に蘇州旧城の外郭に建てられた8つの城門のうちの1つで悠久の歴史を有する古城だ。同所で開催されるのが世界初のファッションショーは、荘厳さとミニマルな演出、暮れていく夕日とが幻想的にクロスオーバーした特別な時間だった。

アレクサンドル・マテュッシ創設者兼クリエイティブ・ディレクターが大切にしてきた創業当初から変わらないブランドの哲学と共に、ジェンダーや国を超えて多くの共感を生み、コミュニティーを広げて愛されることが「アミ パリス」の重要な要素なのだと再認識したショーとなった。

ブランドの哲学と
アジア文化へのリスペクトが
共鳴したショー

「1月に発表したコレクションはテーラリングを軸としたアイテムが中心だが、華やかなウエアもあるので、今回のショーではあらゆる要素をミックスした。例えば、ウィメンズのコートやダブルブレストのテーラードジャケットにバミューダパンツやロング丈のショーツを合わせたように、クラシックとモダン、エレガンスとクールさというバランスをとることが重要だ。自分にとってテーラリングはクリエイションの本質であり、美しいジャケットやコートを作ることは本当に難しいことと考えている。

そして、蘇州の相門古城壁でファッションショーを開催するのは世界で初めての試みだ。今年はフランスと中国の国交樹立60周年でもあり、「アミ パリス」のフレンドシップというテーマから、このショーも一つのメタファーになっていて、全てが循環している。ブランド設立当初から日本や中国を含めたアジアの国々と素晴らしい関係を築けていることは幸運で、この関係性がブランドの成功と密接に結びついている」

アジアのトップアーティストが
フロントローに

フロントローには、シンガーソングライターのMIKAをはじめ、俳優のジェリー・イェン、カラ・ワイ、アーティストのヘンリー・ラウらアジアのトップアーティストが集結。MIKAは「特にジャケットやコートのシェイプ、スーツのロングショーツといった絶妙な丈感のアイテムが秀逸だった」とショーを振り返り、「『アミ パリス』のクリエイションからはシンプルなメッセージが伝わる。自分もストレートな表現をすることが多く、モノづくりの方向性にはシンパシーを感じる。自分のステージでも着用したい」と自身のクリエイションとの共通点を語った。

ラグジュアリーで親しみやすい
ブランドイメージが
次代のアジア市場を握る

「『アミパリス』が堅実な成長を続けている理由は、これまで日本と中国に現地法人を設立し人的資源に投資を行ってきたことが身を結んだこと。現在、中国での高級品の消費減速による影響はない。これは、昨年11月に北京・三里屯で行ったポップアップ・カフェのようなイベントに投資を強化した結果だ。この経験から今回、蘇州でのリピートショーの開催を決定した。アジアの次世代は、ラグジュアリークラスの品質やサービスを保持しながらも親しみやすく、ポジティブで包括的な雰囲気を求めている。ブランドの価値観とアジアの文化や伝統に対するリスペクトが、この市場で確固たる地位を築くのに役立っているだろう。 

また、日本は売り上げが2年連続最速で成長している国だが、まだ多くの可能性を秘めている。現在のインバウンド需要の復活は、未曽有の円安に後押しされているとはいえ、実績を伸ばす余地がある。特に“パリ パリ バッグ”や“ヴーレ ヴー”といったレザーバッグを中心としたアクセサリーの売り上げが顕著なので、時間をかけてさらにブランディングを推し進めながら、今後は東京だけでなく各都市のショッピングモールへの出店やポップアップの開催も計画している」

問い合わせ先
アミ パリス ジャパン
03-3470-0505