ファッション

「アークテリクス」体験型イベント開幕 ファンから集めた愛用品108点もエピソードと展示

カナダ発のアウトドアブランド「アークテリクス(ARC’TERYX)」は4月20日、ブランド体験イベント“アークテリクス ミュージアム”を東京・神宮前のキャットストリート沿いでスタートする。5月5日まで。バンクーバーのコースト山脈そばで1989年にスタートした同ブランドの歴史や、代表的な製品であるクライミングハーネスやバックパック、シェルジャケットがどのように作られ、どう進化してきたのかを、映像やアーカイブを織り交ぜて展示。ブランドファンや契約ガイドなどから集めた108点のアイテムも、パーソナルなストーリーと共に展示していて見応えがある。

同ブランドは、89年にクライマーのデイブ・レーンと友人のジェレミー・ガードが自宅のガレージで立ち上げ。当初は「ロックソリッド」の名前でハーネスなどクライミングギアを作っていた。そうした歴史を製品と共に紹介しているほか、コースト山脈の圧倒的な自然の風景や、R&Dチームのメンバーがフィールドテストを繰り返しながら製品開発を進める様子、“アークワン”と呼ばれるバンクーバーの本社そばの工場などを動画で紹介している。

救助された話から馴れ初めまで

ブランドファンなどから集めた108点の製品は、一緒に展示されたQRコードを読み込むと、持ち主によるその製品の思い出のエピソードを読むことができる仕掛けになっている。山岳救助された話から夫婦の馴れ初めまでさまざまな切り口があって面白い。ファッション業界では、木村真ロフトマン代表や、ビームスの土井地博クリエイティブディレクター、元ビームスのアウトドアバイヤー廣沢慶さんなどの愛用品を展示している。「アークテリクス」コレクターの廣沢さんは現在本国との契約で同ブランドの製品開発のコンサルも請け負っており、先立って昨年11月に廣沢さんの私物40点を展示するアーカイブ展も別途行っている。

館内にはワークショップスペースもあり、小さな傷が入るなどして販売することができなかったジャケットのポケット部分を再利用したポーチ作りや、ハギレ生地でのネームタグ作りを常時行っている。ワークショップは、クリエイティブコミュニティーのNewMakeと組んで実施。また、着古した自身の「アークテリクス」のシェルを持ち込み、トートバッグなどにリメークするワークショップも予約制で行う。

「どんな思いで作っているかを伝えたい」

ラグジュアリーブランドによる、ブランドの歴史やモノ作りのこだわりを伝えるイベントはここ5年ほど増えているが、アウトドアブランドが開催するケースは珍しい。「日本のお客さまにアンケートを取ったところ、8割が通勤やファッション用途で製品を購入いただいていたことから、改めてわれわれがどのような場所でどんな製品から始まったブランドなのか、どんな思いで製品を作っているかを伝えたい。また、ブランドファンが集まるコミュニティーのような場を作りたかった」とアメアスポーツ ジャパンの林克洋アークテリクス マーケティングマネージャー。

同様のイベントは本国や、ブランド人気が高まっている中国でも行っておらず、日本独自のものだという。「日本は創業から間もない91、92年ごろには『石井スポーツ』などが製品を仕入れていたため、長く愛用いただいている方も多い」ことで、ファンの愛用品も集めた展示につながった。

本国からアーカイビストも来日

会期中は、ブランドが契約する山岳ガイドのトークイベントや、ポッドキャスト「Too Young To Know」の公開収録、映像の特別上映会、朝ランなど、各種イベントを企画している。詳細は公式サイトやSNSを参照。19日には内覧会を兼ねたレセプションも行い、本国でアーカイブの収集を担当し、3000点を管理しているというダレン・リット アークテリクス アーカイビストや、ブランドと契約する山形・月山のバックカントリーガイド石沢孝浩氏、テレマークスキーヤー石橋仁氏のトークイベントも行った。

■ARC’TERYX MUSEUM
開催期間:4月20日〜5月5日
開催時間:11〜19時
住所:東京都渋谷区神宮前6丁目14-2
※入場無料、予約不要

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