ファッション

EU、使用済み繊維製品の輸出量が20年間で3倍 受け入れ国では多くの場合が廃棄に

 欧州環境機関(European Environment Agency)はこのほど、衣類やフットウエアを含む使用済み繊維製品の輸出量が、20年間で3倍に増加したことを報告した。2000年にはEU加盟国の27カ国で55万トンだった輸出量は、19年に170万トンに増加した。

 輸出量を一人当たりに換算すると、年間8.4ポンド(約3.8kg)の廃棄に相当する。EUでは一人当たり年間約15ポンド(約6.8kg)の繊維製品が消費されており、その半分以上が廃棄物として輸出されていることになる。

 主な輸出先はアジアとアフリカだ。一部は中古市場で再販されるが、多くの場合は埋立地に埋め立てられるなどの廃棄処理に回されているという。報告書は「寄付した古着がそうした地域で有効活用されているという一般的な認識は事実とは異なる」と強調する。

 輸入量が6位のガーナでは中古市場が栄えているものの、超低価格の「ウルトラ・ファストファッション」の台頭で「修繕不可能なものや、状態が良くないために再販ができないものが届いている」。その結果、埋立地や川、海などに廃棄された製品が大気や土壌、水質の汚染を引き起こしている。

 アジア最大の輸入国はパキスタンで、約半分は産業用のウエスなどにダウンサイクルされ、残りはアフリカやほかの発展途上国に再輸出されている。加えて、繊維製品はガスや石炭よりも安価なため、ほかの産業の燃料として燃やされることも多い。

 EUでは25年までに、衣類の分別回収を義務付ける予定だ。また発展途上国への使用済み繊維製品の輸出を規制する方針を示しており、「ヨーロッパは自国で排出されるゴミをどのように処理していくかという課題に直面している」と報告書は結論付けた。

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

原宿・新時代 ファッション&カルチャーをつなぐ人たち【WWDJAPAN BEAUTY付録:中価格帯コスメ攻略法】

「WWDJAPAN」4月22日号の特集は「原宿・新時代」です。ファッションの街・原宿が転換期を迎えています。訪日客が急回復し、裏通りまで人であふれるようになりました。新しい店舗も次々にオープンし、4月17日には神宮前交差点に大型商業施設「ハラカド」が開業しました。目まぐるしく更新され、世界への発信力を高める原宿。この街の担い手たちは、時代の変化をどう読み取り、何をしようとしているのか。この特集では…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。

メルマガ会員の登録が完了しました。