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気になるフェムテック売り場の販売戦略と売れ筋【セレクトショップ編】

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 フェムテック市場が広がりを見せている今、多くの商品やサービスが誕生しており、実際に手に取れる場所や相談できる販売員が増えている。そこで、いち早くフェムテックに着目していた百貨店・ショッピングセンター・専門店に売り場づくりから接客のポイント、売れ筋ほか、フェムテック市場の課題を聞いた。ここでは、セレクトショップの女性のウエルネス課題の解決や支援事業を行うフェルマータ(fermata)と、フェムテック専門会社のアジュマが運営する、女性向けのセックストイや生理用品などを扱う専門店「ラブピースクラブ(LOVE PIECE CLUB)」の事例を紹介する。(この記事はWWDジャパン2022年10月24日号からの抜粋に加筆をしています)

最新ソリューションに出合える
フェルマータストア イン ニュー・スタンド・トーキョー

近藤佳奈/最高執行責任者
 フェムテック商品の輸入代理店やコンサルティング事業などを手掛けるフェルマータは、国内外から厳選したフェムテックアイテムを販売する。強みは、「市場へのインパクト」を重視した商品セレクトだ。近藤佳奈最高執行責任者(COO)は「この商品は日本にとって新しいソリューションかどうか」を常にシビアに判断しているという。

 東京・乃木坂のセレクトショップ、ニュー・スタンド・トーキョー内で運営するフェルマータストアではオープン当初から引き続き、吸水ショーツや月経カップが人気を集める。同社が特に力を入れるのは、消費者教育だ。「吸水ショーツを試したいけど、自分に合った商品が分からない」といった声に寄り添うため、今年7月には「吸水ショーツラボ」と題した消費者向けの吸水ショーツの展示会を開催し、吸水の仕組みの解説や手入れ方法など、「一歩踏み込んだ提案」を実践した。近藤COOは、「商品への愛着や信頼度が増し、お客さまのエンゲージメントが高まることに加えて、ブランド側のより質の高い商品開発にもつながるはず」と話す。店頭では消費者の健康課題に耳を傾け、必要があれば医療機関への相談も促すなど「売ることだけをゴールにしない」接客を心掛けている。「その商品の意義や使い方をきちんと伝えられなければ、新しい選択肢を提供したことにはならないと思う。販売スタッフがきちんと商品の魅力をお客さまに伝えることがまず大事。何か困った時には、立ち寄って相談ができるような場所を目指している」。

 小売だけでなく、市場全体の啓蒙に取り組むフェルマータは10月14〜16日に、3回目となる合同展示会「フェムテックフェス2022」を開催した。海外プレーヤーも多数招致し、市場の盛り上がりを感じさせる内容となった。近藤COOは「吸水ショーツなど日本で流通している商材だけをマーケットのポテンシャルと捉えてしまうと誤解がある。世界のプレイヤーたちはグローバル進出を見据え、自国の医療や司法の現場で実際に使えるようなエビデンス取得を着々と進め、その成果が見え始めている。日本のフェムテック企業も研究機関やエンジニアと連携し次の一手につながる商品開発を期待したい」と話す。

売れ筋TOP3


選択肢の多さが細かいニーズにマッチ
「ラブピースクラブ」ラフォーレ原宿店

木村美樹/アジュマ店舗マネージャー
 ラフォーレ原宿という立地から、20代の女性を中心に70代まで幅広い来店客を呼び込むラプピースクラブ。来店客の中には、同店を通してフェムテックの存在を知った人も多いという。アイテムは、女性のために作られた商品であること、身体に安心・安全な素材や成分を使っていること、動物実験をしないもの、持続可能な社会を意識しているメーカーであることを考慮して選定。

 全体の売れ筋は、サニタリーアイテム、デリケートゾーンケア商品、ウォーターベース系のローション、プレジャートイ、書籍など。2021年は主に吸水ショーツを中心にサニタリーアイテムが動いた。22年になり、骨盤底筋トレーニングの必要性が雑誌やメディアを通してかなり広がったため、関連アイテムがよく動いている。多くの骨盤底筋アイテムを取りそろえていることで、多様なニーズ(形状やトレーニングする時間帯、生活習慣など)に合わせた購入につながった。

 「本当に必要としている人に、どうすれば届くのか」を考え、23年はさらに女性たちとの連携を強めていく。婦人科医や女性の更年期ケアに精通する美容家の吉川千明らを招き、女性の体や、更年期、プレジャーのことなどを発信し、「フェムテック=意識の高い人」という捉え方ではなく、「フェムテック=私の体、私の人生」という意識づけに取り組む。

売れ筋アイテム3選

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