ファッション

「タロウ ホリウチ」再始動の理由 編集者・大平かりんをアートディレクターに

 2019年に休止した堀内太郎のウィメンズブランド「タロウ ホリウチ(TARO HORIUCHI)」が、2023年春夏シーズンに再始動する。編集者の大平かりんをアートディレクターに迎え、新体制で運営する。

 23年春夏シーズンのテーマは“EXTRA ORDINARY MOMENTS”。堀内デザイナーが手掛けるメンズブランド「ティーエイチ プロダクツ(TH PRODUCTS)」でも扱う、ハリのあるウール素材を使ったジャケットやシャツ、ブルゾンなどを、大胆なカットアウトやシースルー素材との切り替えなどでアレンジしたウエア全77型をそろえる。価格はドレスが3万7400〜8万6900円(税込、以下同)ジャケットが6万500円〜8万3600円、パンツやスカートが3万5200〜6万4900円、コートが10万1200〜10万5600円の予定だ。大平アート・ディレクターは「そのまま着れば官能的に、レイヤードすればアクティブな印象になるなど、着方によってイメージが変わるアイテムばかり。着こなしに余白を残しています」と語る。米ニューヨークを拠点とするアーティスト、ライアン・カール(Ryan Carl)とコラボレーションしたグラフィックを落とし込んだワンピースやカットソーも制作。東京・千駄ヶ谷の「ティーエイチプロダクツ」旗艦店と直営ECに加えて、国内約20、海外約10アカウントでの扱いも決まった。

 「タロウ ホリウチ」は、アントワープ王立美術アカデミーを卒業した堀内デザイナーが2009年に設立。その後、約10年に渡ってコレクションを発表していたが、同氏が19年に始動したメンズウエア「ティーエイチプロダクツ」に専念するため、20-21年秋冬シーズンを最後にブランドを休止していた。

ブランド復活の背景には、堀内デザイナーの服作りに対する心境の変化がある。「ティーエイチ プロダクツ」は、普遍的な美しさを求める堀内デザイナーの姿勢を反映したブランド。名前の通り、プロダクトとしてのデザインを追求し、ディテールを削ぎ落とした高品質な素材使いが特徴で、国内約30、海外約10アカウントに卸している。その一方で、「特定の時代ならではの美しさや装いも、たしかに存在する。長い人生を彩る要素として、時代性のある美しさを提案する意義も、やはり大きいのではないかと思うようになった」と堀内デザイナー。そこで、「ティーエイチ プロダクト」で培った素材やシルエットのこだわりを継続しつつ、“流動的な美しさ”を加えたウィメンズウエアとして「タロウ ホリウチ」の再スタートを決めた。

 長年ウィメンズを手掛けてきた堀内デザイナーだが、「自分は男性で、完全に女性心はつかめない。それも面白さの一つだが、今は、よりリアリティーのあるウィメンズウエアを作ってみたい」との思いから、アートディレクターとして大平かりんを招いた。同氏はマガジンハウスの「ギンザ(GINZA)」をはじめ、さまざまな媒体で活躍してきた編集者だ。個性的な着こなしで業界人から一般ユーザーまで多くのファンを持つ。「彼女は僕以上に広くファッションに興味を持っている。お互いの違う解釈が加わることで、『タロウ ホリウチ』がもっと面白くなるのではないかと考えた」(堀内デザイナー)。大平アート・ディレクターは「洋服は着る人の個性を引き出すもの。今っぽさを盛り込みながらも、“なりたい自分”を補完するような洋服を目指す」と語る。

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