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リシュモン、傘下EC企業の過半数株式をファーフェッチとドバイの投資会社に売却 パートナーシップを強化

 「カルティエ(CARTIER)」「ヴァン クリーフ&アーペル(VAN CLEEF & ARPELS)」「クロエ(CHLOE)」などを擁するコンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT以下、リシュモン)は8月24日、傘下に持つラグジュアリーEC大手のユークス ネッタポルテ グループ(YOOX NET-A-PORTER GROUP以下、YNAP)の株式の47.5%を高級ECのファーフェッチ(FARFETCH)に、3.2%をドバイの投資会社シンフォニー・グローバル(SYMPHONY GLOBAL)に売却すると発表した。

 YNAPは、リシュモンの子会社だったネッタポルテが2015年にユークス グループと合併して誕生。リシュモンは株式の49%を保有していたが、18年に残りの株式を買い付けて完全子会社化した。高級ブランドECの「ユークス」「ネッタポルテ」「ミスターポーター(MR. PORTER)」などを運営している。

 リシュモンのヨハン・ルパート(Johann Rupert)会長は、アマゾン(AMAZON)や中国最大手EC企業のアリババ(ALIBABA)の躍進ぶりから小売りのデジタル化がさらに加速すると予測し、15年ごろから“ラグジュアリーブランド向けの中立的なECプラットフォーム”を築きたいと発言していた。この構想は、数年前にファーフェッチのジョゼ・ネヴェス(Jose Neves)会長兼最高経営責任者(CEO)と親交を深めたことで前進。20年11月、リシュモン、ファーフェッチ、アリババの3社はグローバルな戦略的パートナーシップ契約を締結した。22年1月には、YNAPとファーフェッチを合併させるべく「協議が進んでいる」ことを明らかにしていた。

 取り引きの完了は23年度中の見込み。これによってYNAPの過半数株式を保有する支配株主はいなくなるため、“中立的なECプラットフォーム”が実現することになるが、将来的に一定の条件の下でファーフェッチがリシュモンからYNAPの株式を全て取得できるオプションが契約に含まれている。なお、今回の取り引きの完了後、リシュモンはファーフェッチのクラスA株式を一定数受け取るという。YNAPの経営陣も刷新される予定で、新たなCEOを任命するほか、取締役会はリシュモンから代表者を3人、ファーフェッチから3人、シンフォニー・グローバルから1人の7人構成にする。

 また、リシュモンとYNAPは、ファーフェッチの企業向けECプラットフォームであるファーフェッチ・プラットフォーム・ソリューション(Farfetch Platform Solutions以下、FPS)を導入する。これにより、リシュモンの傘下ブランドはファーフェッチの技術や知見を取り入れてオムニチャネル化を推進できるようになる。これに加えて、ファーフェッチのマーケットプレイスにも出店する。

 ルパート会長は、「以前から構想していた、ラグジュアリー業界向けの中立的なオンラインプラットフォームを築くという夢の実現に向けた大きな一歩だ。デジタル化が進む中、ラグジュアリーブランドの魅力を守り、その運命をわれわれの手で管理するという重いタスクは一社で担えるものではない。こうして互いに協力することが肝要だ」と語った。

 ネヴェス=ファーフェッチ会長兼CEOは、「YNAPの株式の47.5%を取得し、リシュモンのパートナーとしてYNAPをハイブリッド型のビジネスモデルへと変革していけることをうれしく思う。これによってさらに力強く成長し、利益率も向上すると確信している。今回の取り引きやFPSの導入などにより、いっそう幅広い顧客層、価格帯、地域にアピールできるラグジュアリー向けのECプラットフォームとなるだろう」と述べた。

 シンフォニー・グローバルは、ドバイの実業家モハメド・アラバール(Mohamed Alabbar)が創設。同氏はアラブ首長国連邦の政府系不動産開発会社エマール・プロパティーズ(EMAAR PROPERTIES)創設者兼会長として知られている。同社はドバイの超高層ビルとして有名なブルジュ・ハリファ(Burj Khalifa)や、世界最大級のショッピングモールであるドバイ・モール(The Dubal Mall)などを開発した。

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