ファッション

関西で人気のバッグ「イアクッチ」 好調を支える“地道な”PR戦略

 「WWDジャパン」2月22日号では、「2020年秋冬に売れたものは何だった?」をテーマに特集を組み、定期購読者向けの別冊付録「20年秋冬ビジネスリポート」では、全国41店舗の百貨店に20年8~12月の商況をアンケート調査した(「ビジネスリポート」は単品でも販売中)。婦人バッグは、コロナ禍のリモートワークの推進で需要が減少し、全体的に苦戦ムードだった。しかしそんな中でも、関西の百貨店3店舗(高島屋大阪店、あべのハルカス近鉄本店、大丸神戸店)で前年同期の売り上げと比較した伸長率ランキングで突如1位に躍り出たブランドが、イタリア発のバッグブランド「イアクッチ(IACUCCI)」だ。

 「イアクッチ」は、パオロ・イアクッチ(Paolo Iacucci)と妻ナルー(Nalu Iacucci)によって1976年に創業。素材の調達から生産までの全工程をイタリアで行い、 高品質なものづくりとミニマルなデザインが特徴だ。日本ではパルが2019年春夏から独占販売権を取得し、現在は東京と関西圏に計7店舗の直営店を構える。主な価格帯は、3万円台後半〜5万円台前半。「ロンシャン(LONGCHAMP)」や「フルラ(FURLA)」「ヴァジック(VASIC)」「ジャンニ キアリーニ(GIANNI CHIARINI)」などが競合ブランドといえる。

 主要顧客層は30~40代女性。アイテムの売れ筋1位は、中央にブランドのイニシャル“I”を大胆に配した“ソルベット”のキャンバスシリーズだ。アイコニックなデザインに加え、キャンバス地には弱撥水加工を施すなど機能性にも優れる。「購入客の中心は有職者の女性で、通勤用バッグとして購入する人が多い。A4書類が入るMサイズのトートバッグが一番人気」(高島屋大阪店)、「シンプルかつ粋なデザインでアイコンバッグとして定着。季節ごとに発売されるカラーや素材違いも、顧客からの支持が高い」(あべのハルカス近鉄本店)との声が上がっている。“ソルベット”シリーズに次ぐ売れ筋は、上質な仔牛のレザーを使用したトートバッグ“ジブリ”、ワンショルダーバッグの“テア”。「“ソルベット”シリーズ以外のデザインバリエーションの増加が売り上げを後押しした」(大丸神戸店)と、“ソルベット”シリーズ以外の人気も上がっている。

 「イアクッチ」の前年8~12月の既存店売り上げは前年比17%増と堅調だが、前述の高島屋大阪店では150%増、あべのハルカス近鉄本店は50%増、大丸神戸店は31%増と大幅伸長しており、関西での注目度の高さが伺える。順調に推移してきたかと思えば、「初年度は厳しかった」と、岩井一馬パル第9事業部「イアクッチ」ブランド長。「当初はイタリア本国の企画をそのまま販売していたが、日本のマーケットに響かなかった。そこで20年からは、日本のディレクターが中心となって日本向けのデザインに手直ししたところ奏功した」と、好調に転じた理由を語る。

 売り上げを伸ばした具体的な施策については、「店舗数が少ない分、立ち上げ当初からウェブ広告や雑誌掲載を中心にPRしてきた。コロナ期間中はSNSでの発信をさらに強化した。ブランドの公式アカウントだけでなく、店舗や個人アカウント、パルグループの公式アプリ『パルクローゼット』でも発信した結果、店頭に目的買いの顧客が増加した」と、“地道な”取り組みが結果につながったのだという。前述の3店舗からも、好調の理由に「地道に、徐々に」といったコメントが目立った。

 2月下旬にはジェイアール京都伊勢丹に新店舗をオープン。「クオリティーと価格の好バランスがわれわれの強み」という実直なものづくりと地道にコツコツ積み重ねるPRがどこまでビジネス拡大につながるのか。今後の動向に注目したい。

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広まるSDGs、DXへの挑戦 眼鏡のフォームチェンジが起きている

「WWDJAPAN」4月12日号は、眼鏡特集です。旧態依然と言われる眼鏡業界ですが、コロナ禍で眼鏡や眼鏡店は時代に応じたさまざまな変化(フォームチェンジ)を見せています。アパレル業界でスタンダードになっているサステナブルなモノ作りに眼鏡も取り組みはじめ、年間のビジネスの大きな山場である4月は多くの展示会がオンライン商談に挑戦しました。テレワークやオンライン授業が一般化し、向き合う時間が増えたパソコ…

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