ビジネス

三陽商会、米投資会社の人事案を否決 株主総会で

 三陽商会は26日、2020年2月期の定時株主総会を東京・四谷の本社で開いた。焦点だった米投資会社RMBキャピタルによる経営陣の刷新を求める株主提案は否決され、三陽商会側の新しい人事案が承認された。異例の株主提案に発展した主導権争いに三陽商会は勝利したものの、新経営陣は「再生プラン」(4月14日発表)で掲げた来期(22年2月期)の営業黒字の実現に株主から厳しい目が向けられることになる。

 三陽商会の約6%の株式を保有するRMBの株主提案は、中山雅之現社長の社長および取締役退任、元クラシエホールディングス社長の小森哲郎氏の社長就任やRMBの細水政和パートナーの社外取締役就任などを求めていた。一方、三陽商会の会社提案は中山氏を取締役に再任した上で副社長に異動させ、3月に入社した大江伸治副社長を新社長に昇格させる案だった。ゴールドウインを再建した実績のある大江氏は、RMBの株主提案でも取締役候補に名を連ねていた。RMBは三陽商会側の再生プランでは生ぬるいとして、中山氏の退任だけでなく、さらなるリストラも求めていた。

 株主総会では三陽商会の会社提案が「数字はまだ公表できないが、圧倒的多数で承認された」(大江副社長)。RMBの株主提案に約5%を持つ投資会社のひびき・パース・アドバイザーズも賛同を表明していたものの、三陽商会はそれ以外の主要株主である三井物産や八木通商などの賛成を取り付けて優位に立ったようだ。RMB側からの質疑もなく、株主総会は45分ほどで終了した。

 三陽商会は15年6月に屋台骨だった「バーバリー」事業を契約終了で失って以来、業績低迷に歯止めがかかっていない。この間、人員削減や店舗縮小などの構造改革や、穴埋めのための新規ブランド投入などの成長戦略を実行してきたが、軌道には乗らず、昨年末には岩田功社長(当時)が4期連続営業赤字の責任をとって辞任に追い込まれた。中山氏はその後任で1月1日に社長に就いたばかりだった。RMBは業績回復の兆しがみえない同社に業を煮やして、経営体制の刷新を求めたという経緯がある。

 株主総会後に会見に応じて大江副社長は「これまで株主を裏切り続けてきたわけで、RMBからの株主提案は真摯に受け止めている。再生プランを確実に実現し、本当の信頼を得ていきたい」と話した。大江副社長は株主総会後の取締役会を経て社長に就任する。

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