PROFILE: 中塚亘/サンリオ専務

サンリオが5期連続の増収増益を果たした。かつて「ハローキティ頼り」とささやかれることもあったが、今では各キャラクターに引き合いがあり、グローバルで現地キャラクターと渡り合っている。ハローキティではなく、サンリオとして存在感が高まっているのだ。なぜサンリオのキャラクターは万人に愛されるのか。中塚亘専務は、“余白”という言葉で説明する。
WWD:直近の業績を教えてほしい。
中塚亘専務(以下、中塚):ここ5年ほど増収増益を続けており、2026年3月期の売上高は1940億円(前期比33.9%増)、営業利益は778億円(同50.3%増)だった。今はハローキティを中心としたキャラクターのライセンス事業が中心で、相手先の企業はBtoBかBtoCかを問わない。現在130以上の国や地域に展開している。ハローキティの人気に頼っていたときもあったが、各キャラクターが育ってきた。
WWD:コロナ禍中から、売上高・営業利益共にレコードを更新している。
中塚:創業者の孫に当たる辻朋邦が2020年に社長に就任し、「第二の創業」の号令をかけた。経営体制を刷新するこのタイミングで、私はサンリオに入社した。より多くの人に知ってもらえるような営業をしたり、ヒットの確率を高められるようなマーケティングをしたり、少しずつ変えていった。サンリオの強みや価値観を変えたわけではない。
WWD:サンリオの強みや価値観とは?
中塚:かわいい雑貨があれば、自然と会話が生まれるのではないか。コミュニケーションがうまくいけば、平和な社会を作れるのではないか。そんな思いを企業理念「みんなでなかよく」に込め、60年以上大切にしてきた。先人が作った“サンリオ”が偉大だから、それをいかに伝えやすくしていくか。そこが焦点だった。
60年以上大切にしてきた
価値の作り方と生かし方
WWD:サンリオのビジネスモデルを教えてほしい。
中塚:私たちのビジネスは、150店舗ほどあるサンリオショップとサンリオピューロランドを含む2カ所のテーマパークから始まる。自社で運営している、会社のメッセージを発信する場所だ。まずは求められていなくても発信する。ここにメインとなるライセンス事業が乗っかる。サンリオショップやテーマパークで発信するメッセージを見て、共感した企業が声をかけてくれる。
WWD:そのサイクルがうまく回っていると?
中塚:サンリオショップやテーマパークは、決して利益率が高いわけではない。その分ライセンス事業で稼ぐ。だからライセンスのニーズを保つ必要がある。そのために、土台となるサンリオらしいメッセージを発信し続ける。「まず価値を作る。その価値をもとにビジネスをする」。サンリオは、このビジネスの基礎ができている。
WWD:しばらくはこのビジネスモデルを続けるのか。
中塚:長い目で見れば、物販よりも映像やゲームのビジネスチャンスが大きい。動画配信サービスが普及したり、それを受けてリアルな体験のニーズが上がっているからだ。そのような考えのもと、私たちも作品を制作したり巡回型のショーを催したりしている。これらの事業では、静止画だったキャラクターが動き出し、キャラクター同士の掛け合いが生まれる。すると個々のキャラクターの個性が見えてくる。これがまたファンを引き付ける。
例えば、男の子6キャラクターの「はぴだんぶい」、うさぎ4キャラクターの「チアリステイルズ」など、ユニットを組むこともある。これもキャラクター同士の掛け合いを生む。同じ「カワイイ」でも「ピュアでカワイイ」と「カッコカワイイ」「キモカワイイ」は異なる。違いが見えてくることで、キャラクターごとの「カワイイ」を深く理解できる。きっともっと好きになってもらえる。
不安定な時代に
求められるキャラクター
WWD:キャラクタービジネスが盛り上がる中、存在感をさらに高めている。他のキャラクターとの違いをどう考えるか。
中塚:サンリオが本領を発揮するのは、家に帰ってから。キャラクターの置物をキッチンに置けば、1日5分は目に留まる。バッグにマスコットチャームを垂らせば、外出時も一緒にいられる。日常を共に過ごせるキャラクターだ。
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