SNSの浸透を背景に美容の低年齢化が進む中、化粧品メーカーは正しいスキンケア知識の普及と次世代との接点づくりを並行して進めている。その中でコーセーは2022年から掲げる「3G」政策を背景に、各事業部がそれぞれの強みを生かし、美容の「習慣化」をテーマに多彩な取り組みを実施している。「3G」とは、グローバル(Global)・ジェンダー(Gender)・ジェネレーション(Generation)。性別や世代、国境を超えた「お客さまづくり」を推進する。
大谷翔平と広げるUVケア習慣
代表的な取り組みが、スキンケアブランド「雪肌精(SEKKISEI)」による紫外線啓発プロジェクト「サン ブロッカーズ(SUN BLOCKERS)」だ。23年に小学校から高校生までのスポーツチームを対象にスタートし、参加メンバーには「雪肌精」の日焼け止めや、アンバサダーである大谷翔平選手のサイン入りメッセージカードなどを配布。練習前に日焼け止めを塗る習慣を促すとともに、ブランド認知の拡大につなげている。
25年は対象年齢を拡大し、立教大学女子ラクロス部など21団体、約1000人を支援したほか、大谷選手の母校・花巻東高等学校に日焼け止めを差し入れ。活動開始から3年間で、100団体以上に累計3000個以上の日焼け止めを配布した。
さらに今年は支援内容を拡充。全国のスポーツ選手1000人に日焼け止めと、大谷選手が高校時代に活用した行動計画シート「マンダラチャート」に着想を得た“雪肌精パフォーマンスチャート”を提供。目標達成に向けた心身のコンディショニングまでサポートする。同社の研究では、屋外で運動する際に日焼け止めを使用すると疲労感が軽減する可能性を確認しており、スポーツパフォーマンスを支える価値も訴求している。
こうした発信を受け、屋外スポーツに取り組む438人を対象にした調査では、98.1%が「日焼け止めはスポーツを楽しむために必要」と回答。大谷選手の求心力を掛け合わせながら、日焼け止めへの関心を高めている。
「くまぴん」「ぬりぬりダンス」でスキンケアを習慣化
もう一つが、24年に立ち上げた新規事業「ディア チャイルド スキン(Dear Child Skin)」だ。新生児から使える乳液“ぬるミルク”【医薬部外品】で小児科や子育て支援施設などで啓発活動を実施する。歯磨きや手洗いのように、スキンケアを生活習慣の一部として根付かせるのが目的だ。他方で、「子どもの頃からコーセーを知り、親しみを持ってもらうことで、将来のお客さまとの接点につなげたい」(広報担当者)という狙いもある。
立ち上げの背景には、共働き世帯の増加に伴い、保護者が子どものスキンケアに十分な時間を割けないという課題があった。そこで同社は、未就学児を対象に、楽しみながら保湿を続けられる仕組みを構築。くまのキャラクター「くまぴん」をはじめ、肌の構造や正しいケアを学べるアニメーション、「ぬりぬりダンス」などのコンテンツを用意し、子どもが自発的にスキンケアへ取り組める工夫を盛り込んだ。
事業化に先立ち、幼保施設と小児アレルギーの専門医療チームの協力の下、0〜5歳児240人を対象に実証実験を実施。スキンケア教材や絵本を活用したプログラムを1カ月間行った結果、2歳児では「大方、一人でできる」と回答した割合が29%から40%へ増加するなどの成果が確認された。保護者からは、「絵本を気に入り、自分で(乳液を)塗ってくれるようになった」「(商品は)一人でも使いやすく、『自分でやる!』を後押ししてくれる」といった声も寄せられている。
25年度は、同社の第3生産拠点「南アルプス工場」が立地する山梨県南アルプス市との連携や、ベビー用品専門店「アカチャンホンポ」のスキンケア教室などを通じ、約100人の親子に啓発活動を実施。現在、商品の取り扱いは直営店「メゾン コーセー(MAISON KOSE)」や高島屋4店舗、アマゾン(Amazon)、産後ケア施設、小児科クリニックなど。公式ECサイトでは初回購入キャンペーンや定期便を用意し、継続利用を支える。
今後は学童期への展開も見据える。広報担当者は「全社を巻き込みながら活動の幅を広げ、より多くの子どもたちにスキンケアの習慣を根付かせていきたい。それが将来のお客さまとの接点にもつながる」と展望を語った。