PROFILE: 関水渚/俳優
7月1日にスタートするカンテレ・フジテレビ系の新連続ドラマ枠「水ドラ★イレブン」の第1弾「今夜もシリアルキラーと待ち合わせ」。人気漫画を実写化した本作は、婚約者を奪われた刑事・磯貝史郎(横山裕)と、犯人に触れると“殺した人数”が視覚化される特殊能力を持つ女性・黒井ヒナタが、それぞれの復讐のために秘密裏にバディを組み、日常に潜む猟奇殺人鬼(シリアルキラー)と対峙していく怒涛のサスペンスだ。
このヒロイン・ヒナタという、かつてないほどにヒリヒリとした危うさを抱えた難役に挑むのが、若手実力派として躍進を続ける関水渚。劇中では、シリアルキラーを誘い出すオトリとなるため、変幻自在にコスチュームを変える“命がけの七変化”も大きな見どころとなっている。原作の持つ圧倒的なスピード感に魅了されたと語る彼女に、役作りの苦悩や横山裕の印象、ファッションへのこだわり、そしてこれまでのキャリアの変遷についてじっくりと話を聞いた。
殺人鬼に自ら接近する設定の妙
——本作のオファーを受け、タイトルを最初に知った時の印象や台本を読んだ感想を教えてください。
関水渚(以下、関水):台本をいただく前に原作の漫画を読ませていただいたのですが、これが本当にものすごくおもしろくて! 展開がいつも読めず、「え、そうなるんだ!」という驚きに満ちていました。まだ連載途中なので、私自身も続きがすごく気になっているファンの一人なんです。台本は原作と少し違う部分もあるのですが、やはりものすごく魅力的。これは私たちがうまく表現できたら、間違いなく素晴らしい作品になると確信しています。
——物語の中で、最も緊張感のある部分はどこですか?
関水:やっぱり、いくら目的があるとはいえ「殺人鬼に自ら接近していく」という設定そのものですね。これまでの作品だと、すでに捕まっているシリアルキラーと対峙するものはありましたが、今回は生身の殺人鬼に自分からついていく。ものすごい勇気ですし、その瞬間のヒナタの覚悟の決め方はとても新鮮に映りました。
——今回の役作りで最も大変だと感じることは何でしょうか?
関水:どんなに頑張っても、ヒナタが持つ特殊な能力(触れた相手の殺人数が分かる能力)が実際に私自身の手に入るわけではないという点です。その能力があるからこそのリアクションや、それが見えることによる葛藤を100%理解するのはどうしても難しい。だからこそ、「どこまで深く想像力を働かせられるか」が今回の勝負なのかなと思っています。
横山裕は「頭の回転が早く、器の大きい人」
——今回、横山裕さんとは初共演となります。お会いする前後の印象はいかがですか?
関水:テレビで拝見していてもツッコミがめちゃくちゃ早くて、頭の回転が素晴らしいなと思っていましたが、実際にお会いしても「よくそんなツッコミを瞬時に思いつくな」と驚かされてばかりです。ずっとおもしろいことを言って現場を和ませてくださるので、すごく元気をいただいています。
以前、横山さんが出演されていた「アナザースカイ」でご家族やご兄弟とのエピソードを拝見して、お兄ちゃんとして本当に最高で優しい方だなと感じていました。温かいお人柄は実際の撮影現場でもそのままです。私がカメラ前に立つのが少し遅れてしまい「すみません!」と焦っていたら、横山さんは「いいよ、いいよ」と優しく声をかけてくださったんです。その細やかな気遣いや器の大きさに、日々救われています。
——劇中では歳の差バディとなりますが、どのようなバディにしていきたいですか?
関水:作中ではジェネレーションギャップを感じさせるような掛け合いもあります。横山さんは全然おじさんではないのに、、劇中では私が演じるヒナタは「おじさん」と言わなきゃいけないんです(笑)。本当にそんなことないのに……と思いつつも、そこは割り切ってしっかり言えるように頑張ります。
撮影で回を重ねるごとに、本当に心から信頼し合える関係性を築いていきたいですね。横山さん演じる磯貝さんはきっとヒナタを裏切らない人物だと思うので、その包容力に私自身も乗っかっていこうと思います。ヒナタは不器用ですが根は「いい子」なので、そこがブレないように演じきりたいです。
「なりたい自分」に合わせて服を選ぶ
——ビジュアルや衣装面での注目ポイントを教えてください。
関水:原作のイメージに近づけるために、髪の毛の先端をピンクに染めて姫カットにしました。この髪型はきっと今しかできない挑戦だなと思っています。衣装も、原作にあるヘソピアスのシーン(※関水さんは実際には開けていない)をはじめ、コスプレのようなものも含めてバリエーションがたくさんあるので、とても楽しみです。
——ヒナタはターゲットに合わせて外見を変化させていきますが、関水さんご自身もプライベートで「なりたい自分」に合わせて服を選ぶことはありますか?
関水:すごくあります! 特に気持ちが下がっている時などは、あえて自分が一番かわいいと思う服、大好きな服を着るようにしています。そうすると本当に元気が湧いてくるんです。
ヒナタにとっても、ファッションは自分の身を守るための「戦闘服」であり「鎧」のようなもの。どんなに辛いことがあっても身だしなみを適当にしないのは、服を妥協すると気分がマイナスの方へ沈んでしまうから。その感覚は、私自身も全く同じです。
気持ちが沈んでいる時は、「サカイ(SACAI)」のような作り手の強い意思が込められたデザイナーズブランドの服をよく着ますね。めちゃくちゃかわいくて自分のテンションも上がりますし、機能性も高くて本当に重宝しています。きちんとした服を着ていると、不思議とその自分になれる気がしますし、自分自身も「この服にふさわしい綺麗で適切な行いをしよう」と自然に意識が高まります。
友人の家で起こった
プライベートでの恐怖体験
——本作は「生活圏ホラー」と銘打たれていますが、実生活で「ゾワッとした恐怖」を感じた経験はありますか?
関水:実は、グロテスクな映像やホラー、お化けはめちゃくちゃ苦手で、普段は全く観ないんです(笑)。現場で血のりを見ている分には大丈夫なのですが、完成した映像になると怖くて観られなくなっちゃう。でも、今回のドラマはホラーが苦手な私でも「大丈夫」と思えるサスペンスフルなおもしろさなので安心してください。
ただ、実生活での恐怖体験で言うと、昔、都内なのにバス・トイレ別で家賃が2万5000円という女の子の友人の家に遊びに行ったのですが、家の前に着いた瞬間に、それまで感じたこともないような「ここに入りたくないかも……」という不気味な感覚に襲われたんです。それでも中に入り、夜に2人で床に座って喋っていたら、当時まだホームボタンがあった時代のiPhoneのSiriが、触れてもいないのに突然勝手に起動して、遠くの方で喋り出したんです。あれは本当にゾワッとしたし、めちゃくちゃ怖かったです。破格の家賃には理由があったのかも、と今では思っています(笑)。
——作中のように、日常生活で「この人はどんな生活をしているんだろう」と周囲の人に想像を巡らせたり、探偵気分になったりすることはありますか?
関水:原作を読んでからというもの、作中で「え、この人が!?」という意外な人物が殺人鬼として登場するので、最近ちょっと日常生活でも「もしかしたらこの人も……?」なんて疑い深く周りを見てしまう自分はいます(笑)。どこに潜んでいるか分からないのが、リアルな恐怖ですよね。
ただ、普段の私は相手によります。「この人と友達になりたいな」と思ったら、興味が湧いて自然と普段の生活について想像したり、自分から質問しちゃいますね。仕事の現場でも、何も知らない状態よりも少しでも相手のことを知っている方が絶対に愛着が湧くので、積極的にコミュニケーションを取るようにしています。
——もし、相手の状況が「数字」として見える特殊能力を持てるとしたら、どんな数字を読み取りたいですか?
関水:「今イライラしている度合いが何パーセントか」とか「お腹の空き具合が何パーセントか」という数字が見えたら便利だなと思います。女性同士でご飯に行く時って、お互いに気を遣い合って「何でもいいよ」となりがちじゃないですか。相手の本当の空腹度や食べたいものがパッと数字で分かれば、無駄に気を遣わせずに済むので楽ですよね……。でも、やっぱり正解が分からないからこそ会話が弾んでおもしろいのかもしれません。
映画の撮影現場で長澤まさみがかけてくれた言葉
——作中では「つらい時には笑え」という姉の言葉がヒナタの軸にありますが、関水さんがご家族から言われて大切に守っている言葉はありますか?
関水:両親からずっと言われている「仕事に対してとにかく一生懸命頑張りなさい」「周りの人への感謝を忘れずに頑張りなさい」という言葉です。当たり前のことのように思えますが、一人で仕事をしていていっぱいいっぱいになると、つい視野が狭くなって優先順位がブレてしまう瞬間があります。それを両親がいまだに常日頃から言ってくれるので、ハッと我に返るリマインドになっていて、今でも一番大切にしています。
もともとは普通に大学を卒業して就職することを想定していた両親なので、私が突然「芸能界に入りたい」と言い出した時は驚かれましたし、最初は反対されていました。でも、私があまりにも熱心に情熱を訴え続けたので、根気に負けて、折れてくれて。初めての映画「町田くんの世界」への出演が決まった時から、徐々に反応が変わりました。そこから活動を3年ほど継続したあたりで、私がこれまでの人生で見たことがないほど仕事にのめり込んでいる姿を見て、本気度を認めて完全に全力で応援してくれるようになりました。演じることも、この業界で働く熱量のあるスタッフやキャストの皆さんとモノづくりに向き合う空間も、本当に大好きなんです。
——近年はスケバンや家政婦、婚活女子などキャラクターの強い役柄から、今作のような内面が複雑な役まで幅広く演じられています。役作りへのアプローチに変化はありますか?
関水:これまでの集大成であり、同時に新しいアプローチだなと感じています。特に「婚活1000本ノック」でのコメディーの役は、それまで経験がなくて「自分はなんてつまらない人間なんだろう」ともの凄く悩み苦しんだ大きな挑戦でした。映画「コンフィデンスマンJP」でもご一緒した田中亮監督が、撮影前の早朝から私のためにリハーサルの時間を割いて支えてくださり、チーム一丸となって乗り越えられた思い出深い作品です。
キャラが強い作品の時は「こう見せたらおもしろいかな」と俯瞰の視点で役に近づいていきますが、今回のような役は「なぜこのセリフが出るんだろう」と四六時中彼女のことばかり考えて、自分自身の過去の似た経験とごっちゃにしながら、役を自分に引き寄せていく感覚です。カロリーの消費量は今回の方が圧倒的に高いですね(笑)。最初の数年間は先輩方と同じ空間にいるだけで圧倒されて何も喋れませんでしたが、徐々に現場の空気に慣れて、自分が監督に質問したいことをしっかりと言語化してコミュニケーションが取れるようになってきました。最近は現場に年下の共演者の方々が増えてきて、先輩としての楽しさも少しずつ感じています。
——これまでの俳優人生の中で、決定的な影響を受けた言葉や先輩の態度はありますか?
関水:「コンフィデンスマンJP プリンセス編」の撮影の際、長澤まさみさんが「私もまだまだ上を目指してやれると思っているから、渚ちゃんも一緒に頑張ろうね」と言ってくださったんです。トップを走るあの方が「まだ上に行く」と本気で言っている姿を見て、「私はもっと死に物狂いで頑張らなきゃいけない」と強く魂を揺さぶられました。いつか私も、後輩たちにそういう言葉を背中で示せるような俳優になりたいです。
——最後に、長丁場の過酷な連ドラ撮影を乗り切るためにしていることや、終わった後にやりたいことを教えてください。
関水:クランクイン直前は、無駄に出歩かないようにしています。友達と遊びに行ったりすると注意力が散漫になってしまう気がするので、大好きなディズニーランドに行くのも、撮影がすべて終わってからのご褒美にしようと決めています。撮影中はしっかり睡眠をとってストイックに駆け抜けたいです。撮影期間中は、一回スイッチを切ってしまうと再び役の感情を入れるのに時間がかかってしまうので、あえてオンのまま、孤独や役の重みと真正面から向き合って駆け抜けると決めています。だからこそ、すべてやり遂げたら、実家に帰ってひたすら“ぐーたら”に過ごしたいです(笑)。世界で一番かわいい、実家の愛犬の匂いを思いっきり吸って安心したいですね。
PHOTOS:TAKAHIRO OTSUJI
「今夜もシリアルキラーと待ち合わせ」
◾️【水ドラ★イレブン】「今夜もシリアルキラーと待ち合わせ」
毎週水曜日23時放送
7月1日23時初回放送開始
キャスト:横山裕、関水渚、奥野壮、米倉れいあ、戸田昌宏、山崎紘菜
原作:「今夜もシリアルキラーと待ち合わせ」(原作)伊口紺 (漫画)中村優児
脚本:兒玉宣勝、枝常コウタ
音楽:Licaxxx
主題歌:SUPER EIGHT「再咲」
チーフプロデューサー:萩原崇
プロデューサー:中林佳苗(カンテレ)、黒澤優介・鈴木伊織(AOI Pro.)
演出:坂本栄隆、井上博貴、飯塚俊光
制作協力:AOI Pro.
制作著作:カンテレ、テレビ西日本
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