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真鍋大度が描く新フェス「Future Frequencies Festival」の未来 「音楽、アート、テクノロジーが交わる新たなカルチャーが生まれる場所」

PROFILE: 真鍋大度/アーティスト・プログラマー・作曲家

PROFILE: (まなべ・だいと)1976年東京生まれ。東京理科大学で数学を学び、作曲家イアニス・クセナキスの思想に影響を受け、アルゴリズムや生成システムを用いた音楽制作に関心を持つようになる。 2006年にRhizomatiksを設立。テクノロジー、音楽、映像、身体表現を融合した作品を制作し、坂本龍一やビョーク(Björk)などのアーティストと協働。作品は「Sónar」や「MUTEK」などの国際フェスティバルで発表されている。またシナン・ボケソイ(Sinan Bokesoy)と共にロンドンでSonic Planet LTD.を設立し、実験的オーディオソフトウェアを開発。現在はStudio Daito Manabeを率い、人間の専門家とAIを組み合わせた制作体制による研究と作品制作を進めている。

音楽/アート/テクノロジーを横断する新しいフェスティバル「Future Frequencies Festival(フューチャー・フリークエンシー・フェスティバル)」(以下、「FFF」)が、7月11、12日の2日間、高輪ゲートウェイに誕生した実験的ミュージアム「MoN Takanawa」内の「Box1000」「Box300」で開催される。出演するのは、ジョイ・オービソン(Joy Orbison)、セイバーズ・オブ・パラダイス(The Sabres of Paradise)、ノウワー(Knower)、カッサ・オーヴァーオール(Kassa Overall)、長谷川白紙など、国内外の豪華アーティストたち。そのほか、トークや作品展示、コラボレーションパフォーマンスなど、多層的なプログラムを展開する。

この注目のイベントを「ビートインク(beatink)」とのタッグで主宰するのが、世界的なメディアアーティスト/音楽家の真鍋大度だ。真鍋はどのようなビジョンを抱き、この音楽とアートとテクノロジーの祭典を立ち上げたのか。構想の原点から、ライブ表現におけるテクノロジーの可能性、さらには「FFF」を通じて新たな文化やムーブメントを生み出そうとする展望まで、幅広く話を訊いた。

「Future Frequencies Festival」のきっかけは?

——まずは、この「FFF」という新しいフェスティバルを始めようと思ったきっかけから教えてください。

真鍋大度(以下、真鍋):2009年から「Flying Tokyo」というイベントを不定期でやっていたんです。それは「FFF」より全然小規模なものでした。海外からアーティストが来日しているときに、「ちょっとご飯を食べようよ」「遊ぼうよ」みたいな誘いをよく受けるので、せっかくだから同じコミュニティーにいる人たちを集めて、トークイベントなどを開催して交流を持ってもらいたいなと。そんなふうに、東京のクリエイターと海外のクリエイターの架け橋になるようなイベントをやってきたんです。例えばこれまでに呼んだアーティストを挙げると、Kode 9、Strangeloop、OK GoのDamian Kulash、Aaron Koblin、Marco Tempest、Zachary Lieberman、404.zeroやNONOTAKなどなどプライベートでも仲の良い友人を呼んでいました。ミュージシャンも呼んでいましたが、主にインタラクションデザイナーやメディアアーティスト、オーディオビジュアルのアーティストを招いていました。

「Flying Tokyo」はこれまで30回ほどやってきたのですが、2024年にその大型版として、経産省のサポートを受けて「Flying Tokyo 2024」を開催しました。招聘した海外のクリエイターや僕がメンターとなり、これから海外で活躍していくであろう若手クリエイター5人を選出して指導し、作品を発表してもらうというプロジェクトです。そして、その次のステップとして、若い日本のアーティストが東京で作品を発表できる機会を作りたいと考えていました。それが今回の「FFF」を構想した最初のきっかけですね。海外のアーティストを招聘しつつ、日本のクリエイターも紹介するような場所にしたいと考えたんです。

——「Flying Tokyo」は15年以上にわたって30回も開催されてきたとのことですが、それほど長くイベントを続けるのは簡単なことではないと思います。国内外のクリエイターの交流の場を作ることの重要性を、強く意識されていたのでしょうか?

真鍋:以前の東京には、西麻布の「SuperDeluxe(スーパー・デラックス)のように、音楽、アート、デザイン、テクノロジーなど、分野を越えた人たちが自然と集まり、新しいコラボレーションが生まれる場所がありました。でも今はイベントが細分化され、異なる分野の人が交わる機会は減っているように感じます。

一方、海外ではそうしたコミュニティーは今でも活発です。例えばLAに4月に行った際には、ラスベガスの「Sphere(ソフィア)」というイマーシブ施設を作ったエンジニアの家にアーティストやエンジニア、デザイナーが集まり、未完成のプロジェクトを発表し合い、その後に交流するような場が当たり前にありました。完成した作品を見るだけではなく、お互いに刺激を与え合うことに価値があるんです。

僕自身、海外のアーティストやキュレーターとのつながりがあり、日本を訪れる人も増えています。「FFF」では、そうした海外のクリエイターと日本のクリエイターが自然に出会い、新しいアイデアやコラボレーションが生まれる場を作りたいと考えています。

ライブだけでなく
交流の場としての「FFF」

——「フジロックフェスティバル(Fuji Rock Festival)」は「グラストンベリーフェスティバル(Glastonbury Festival)」、「サマーソニック(SUMMER SONIC)」は「レディング&リーズフェスティバル(Reading and Leeds Festival)」をロールモデルとして始まりました。「FFF」にとって、ロールモデルとなったフェスやイベントはありますか?

真鍋:僕が一番大きな影響を受けているフェスティバルは、バルセロナの「ソナー(Sónar)」です。基本的に音楽イベントは、ライブがたくさんあって、それを体験しに行くというものですよね。しかしソナーの場合は、昼の部である「ソナー・バイ・デイ(Sónar by Day)」で、「ソナー・プラス・ディー(Sónar+D)」というものが開催されています。そこではライブのほかにも、ワークショップやトークイベントや展示をやっていて、しかもそこで交流ができて、いろんなアーティストとつながったりできるんです。いわゆるオフステージの部分と言っていいのかもしれませんが、そこがすごく充実しています。ただアーティストのライブを見るだけではなく、彼らがどういうことを考えてライブをやっているか、その背景まで知る機会を作っているのは、すごくいいと思います。僕自身、今年も「ソナー」に行って、ライブとトークをやりました。やっぱりライブでパフォーマンスするだけじゃなくて、オーディエンスと近い距離で喋って交流したり、他のアーティストと交流したりする場所があるのは刺激的です。なので、「ソナー」は大きなロールモデルの一つです。

——確かに日本では、「ソナー」のようなイベントはあまり見当たらないですね。

真鍋:ほとんどありませんね。日本でいうと、昼にワークショップやレクチャーをやって、夜にパーティーやオーディオビジュアルのライブイベントをやっている「ミューテック・ジェーピー(MUTEK.JP)」が唯一、それに近いイベントだと思います。ヨーロッパだと、オーストリアの「アルス・エレクトロニカ(Ars Electronica)」や、オランダの「トゥデイズアート(TodaysArt)」など、メディアアート関連のフェスティバルがたくさんあります。「ソナー」や「アルス・エレクトロニカ」が作り上げたフォーマットなのですが、そういったところでは、日中は学び、夜はパーティーやライブパフォーマンスを楽しむという形が多いんです。でも日本だと本当にそういうものが少ない。「日本にもあればいいな」とずっと思っていたのですが、もう思っているだけではなく、自分で作ってしまおうと。そして、これから世界に羽ばたいていく日本のクリエイターにその機会を上手く利用してもらおう——それが「FFF」を始めたモチベーションなんです。

——「FFF」は「音楽/アート/テクノロジーの最前線が交差するイベント」と銘打っていますが、これらを統合してオーディエンスへとプレゼンテーションすることの意義、あるいはこれらの相互作用の重要性についてはどのようにお考えですか?

真鍋: 僕は音楽を作るときに、テクノロジーが新しいか古いかはあまり意識しません。必要であれば、マイクで机を擦る音を録音して使うこともあります。大切なのは作品そのものであって、使った機材や技術は本質ではないと思っています。

ただ、ライブでは話が変わります。技術の進化によって、音楽だけでなく、映像や照明、空間全体を一つの作品として設計する、同期することが昔よりも一般化されました。今は「ライブを見せる」だけではなく、「ショーそのものを作る」時代になっています。

「FFF」はテクノロジーを見せるイベントではありません。新しい技術によって音楽やアートの表現がどう拡張されているのか、その最前線を体験できる場にしたいと考えています。

ライブならではの音楽体験ができるラインアップ

——「FFF」は「ビートインク」との協業になります。彼らをパートナーに選んだ理由は?

真鍋:小規模なイベントなら自分たちだけでもできますが、数千人規模のフェスティバルになると、信頼できるパートナーが欠かせません。「ビートインク」は長年にわたって海外の優れた音楽を日本に紹介し続けてきた存在で、僕自身も彼らが紹介する音楽やイベントから大きな影響を受けてきました。長い付き合いの中で、その活動と姿勢をよく知っているからこそ、このフェスティバルを一緒に実現するパートナーとして最適だと思いました。

——会場は、高輪ゲートウェイに新しくできた「MoN Takanawa」ですね。

真鍋:特に東京だと、自分の構想が実現できる会場はかなり限られます。そのような中で「MoN Takanawa」は、ライブ会場があり、トークや展示のスペースもあります。施設として、さまざまな設備が充実しているんです。会場の1つとなる「Box1000」には、ステージ全面にLEDが常設されています。そういう会場は、そんなに多くありません。サウンドシステムも空間オーディオに対応できる、かなり質の高いものが導入されています。すごくいい環境だと思いますね。今の東京で、この規模で、この内容でやるのであれば、ベストな会場の1つだと思って選びました。

——非常に充実したライブやDJのラインナップが発表されていますが、出演アーティストの人選についてはどのようなことを意識されていましたか?

真鍋:ラインナップのベースは、プロフェッショナルである「ビートインク」に作ってもらい、僕も議論に参加する形で選んでいきました。ただ東京の若手アーティストに関しては、僕もかなりセレクションとキュレーションをしています。「このジャンルのアーティスト」という考え方ではなく、「ソナー」や、オランダの「デクマンテル・フェスティバル(Dekmantel Festival)」など、世界のフェスティバルに今どういう人たちが出ているのか、今どういう人たちが面白いのか、ということをリサーチした上で選んでいます。僕自身、音源では聴いたことがあっても、ライブは観たことがないアーティストもいるので、すごく楽しみにしています。

——ちなみに個人的には、一日目にジョイ・オービソン、セイバーズ・オブ・パラダイス、ロレイン・ジェイムス(Loraine James)が集結していることにかなり興奮しました。

真鍋:ジョイ・オービソンが出てくれるのは本当にすごいことですよね。彼は先日の「ソナー」にも出演していたのですが、1万5000人を収容できる最大ステージの「ソナークラブ(SonarClub)」でオーディエンスを沸かせていたんです。そんな超ビッグアーティストがこのフェスティバルに出てくれるのも東京ならでは、という感じがします。

——真鍋さんが、個人的に観るのを楽しみにしているアーティストはいますか?

真鍋:今回は本当にみんな楽しみですね。先ほども少し触れましたが、今は音源を作ることとライブセットを作ることは、まったく違う作業なんです。どのアーティストも音源とは別にライブの演出をしっかり考えています。音源を聴いていても、ライブではまったく違う体験になるので、本当に全アーティストが楽しみですし、「ビートインク」のおかげでこれだけのラインナップが揃ったのはすごいことだと思っています。

——「FFF」ではライブパフォーマンスだけではなく、トークや作品展示なども行われるとのことです。現時点で詳細は発表されていませんが、どのようなテーマや出演者を考えていらっしゃるのでしょうか?

真鍋:今のシーンについて幅広く議論できるラインナップにしたいと考えています。音楽カルチャーやクリエイティブ・カルチャー全般について、いろんな話が聞けるような場にしたいですね。

タイムテーブル

「FFF」は両日とも15:30開場となり、メインステージとなる「BOX1000」、音楽パフォーマンス以外にもオーディオ・ビジュアル・ライブ、ビジュアル・インスタレーションといったプログラムが展開する「BOX300」、トークや映像上映などが行われる「TATAMI」の3ステージで構成される。6月30日には「BOX1000」と「BOX300」で開催されるアクトのタイムテーブルが発表された。※「TATAMI」のプログラムは後日発表。

DAY1

DAY2

会場マップ

本イベントは、再入場可能であり、「BOX1000」「BOX300」「TATAMI」の各ステージ間の移動は自由。「FFF」オフィシャル・バーに加えて、施設内の「MoN Park Cafe」や「MoN Kitchen」でもフード・ドリンクが楽しめる他、話題の人気ドーナツ店「SON OF A TOM」の出店も予定されている。その他、イベント開催中には、足湯テラスやMoNファームといった施設内エリアへのアクセスも可能。

イベント概要

◾️「FUTURE FREQUENCIES FESTIVAL」
日程:2026年7月11、12日
会場:MoN Takanawa「Box1000」「Box300」
住所:東京都港区三田3-16-1

■出演者
DAY1
・Joy Orbison
・The Sabres Of Paradise
・Nosaj Thing × 真鍋大度
・Loraine James
・原 摩利彦
・Mount XLR
・Keigo Yoshida ※NEW
・Sogen Handa ※NEW
・Alminium ※NEW
and more

DAY2
・KNOWER
・Kassa Overall
・長谷川白紙
・YPY
・松丸契
・中田拓馬 ※NEW
and more

◾️チケット料金
1日券
DAY1(Standing):1万2000円
DAY2(Standing):1万4000円
2日通し券
Standing:2万3000円
一般発売中
https://linktr.ee/fff_tokyo

主催・企画制作:Studio Daito Manabe / Beatink / FIL
共催:MoN Takanawa: The Museum of Narratives
協力:Arts Council Tokyo
https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=15808

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