LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)は、傘下のブランド「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」を米ブランドマネジメント会社のWHPグローバル(WHP GLOBAL)に売却することで最終合意に達した。取引の完了後、WHPはG-IIIアパレル・グループ(G-III APPAREL GROUP)と双方が半分ずつ出資する新会社を立ち上げて「マーク ジェイコブス」ブランドを保有。G-IIIはその合弁会社から「マーク ジェイコブス」のグローバル事業を買収し、ブランドを運営する長期契約を締結する。一方のWHPは専門知識を活かし、ライセンス事業を担う。
WHPグローバルは、2019年設立。24年には「ヴェラ・ウォン(VERA WANG)」のIP(知的財産)を買収した。現在は「アン・クライン(ANNE KLEIN)」や「アイザック ミズラヒ(ISAAC MIZRAHI)」「ジースター ロゥ(G-STAR RAW)」「ボノボス(BONOBOS)」「エクスプレス(EXPRESS)」「ラグ & ボーン(RAG & BONE)」などのブランドを保有している。また16年にはLVMHから「ダナ キャラン(DONNA KARAN)」や「DKNY」などのブランドを買収しており、「カール・ラガーフェルド(KARL LAGERFELD)」ブランドも保有している。取引全体の詳細は明らかにされていないが、G-IIIは自社負担分として約5億ドル(約790億円)を拠出する予定だ。
マーク・ジェイコブスは
「LVMHのベルナール・アルノーに感謝」
ブランドは1984年、マーク・ジェイコブスとビジネスパートナーのロバート・ダフィー(Robert Duffy)が設立した。マークは引き続きクリエイティブ・ディレクターとしてクリエイションを担う。ランウエイショーも継続するようだ。マークは声明の中で、「過去30年間、私を支え、信じてくれたLVMHのベルナール・アルノー(Bernard Arnault)LVMH会長兼最高経営責任者(CEO)に心から感謝している。アルノー家とLVMHと共に仕事ができたことは、大変光栄なこと。引き続きマーク・ジェイコブス・インターナショナルのクリエイティブ・ディレクターとしての役割に尽力し、新たなチャプターを楽しみたい」と話した。LVMHは1997年、マークを「ルイ・ヴィトン」の初代クリエイティブ・ディレクターに任命し、ブランドは大きく飛躍した。
一方のLVMHのアルノー会長兼CEOは、「マーク・ジェイコブスは、創造性と独自のビジョンを持つデザイナー。ファッション界における功績は疑いようがなく、過去30年にわたりメゾンとLVMHグループの成功に貢献してくれたことに心から感謝している。今回の契約がマークに新たな可能性をもたらし、ブランドとデザイナーが世界中の顧客やクリエイターにインスピレーションを与え続けると確信している」と話した。
WHPグローバルのイェフダ・シュミッドマン(Yehuda Shmidman)創業者兼会長兼CEOは、「今回の買収は、我が社にとって決定的な瞬間。LVMHは過去30年間、『マーク ジェイコブス』を卓越した形で支えてきた。G-III、そしてチームと共にブランドのグローバル展開を拡大し、確固たる伝統をさらに発展させていくことを楽しみにしている」と述べている。
オーセンティック・ブランズ・グループ
への売却は、価格とマークの関与をめぐり破談
「マーク ジェイコブス」の売却はしばらく噂があったが、最有力候補とされていたWHPの競合企業オーセンティック・ブランズ・グループ(AUTHENTIC BRANDS GROUP)への売却は、価格とマークの関与を巡り破談となっていた。
一方のWHPでは、「マーク ジェイコブス」はプレミアムファッション部門の中核を担い、「ヴェラ・ウォン」や「ジースター ロゥ」「ラグ & ボーン」といったブランドと肩を並べる。「マーク ジェイコブス」の買収により、WHPのグローバル小売売上高は95億ドル(約1兆5000億円)を超える見込みだ。
マークは2013年にはIPO(新規株式公開)の準備を進めていたが実現しなかった。LVMHがマーク・ジェイコブスの事業を10億ドル(約1580億円)で売却しようとしているとの噂が流れたのは昨年。マークのコレクションは高い評価こそ得ているものの、現在の事業の中核はバッグなどだ。