古田泰子デザイナーが手掛ける「トーガ(TOGA)」は、2026-27年秋冬コレクションを英国現地時間の2月21日に発表した。今季は、引く・しわを寄せる・押すの3つの動詞をテーマに挙げ、生地の表情やシルエットを実験しながらベーシックなワードローブの変化を探求した。
シャツの襟は、片側だけ大きく誇張して引き伸ばし、左右対称であるはずの定型を崩す。スカートの裾は、片側を引き上げて折り返し、裏地の配色と生地の重なりをあえて露出させた。腰には、ニットを幾重にも巻き付けたような「ニットウエアベルト」。ボタンで引きつれ、ゆがんだ形で留められている。
布を引き、折り、重ね、制作過程で生まれる偶然の形に留めていく。それは、日常に潜む小さな偶然を拾い上げ、その愛おしさを見る人に共有する試みのよう。
天然と人工、硬さと柔らかさ
対比で映す日常
異なる素材の対比もまた、日常を映す。起毛感のあるニットドレスには、スパンコールのパネルやプラスチックの花のアクセサリーを添え、温かな触感に人工的な硬さを差し込んだ。毛足の長いファーパンツにも、グリーンやブルー、オレンジの宝石のようなパーツを散りばめ、ふわりとした表面に、硬さのある光沢を点在させた。古田デザイナーは、「生身の身体が人工物に囲まれて生きる、現代の生活を重ね合わせた」と説明する。
世の中が急速に変化する中で、「トーガ」は服の輪郭を動かしたり、重ねたり、崩したりして、予期せぬ変化を受け入れようと試みる。あくまで着る人の身体や日常に寄り添いながら、変化の速い時代をしなやかに乗りこなすためのワードローブを提示した。