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NHK朝ドラ「風、薫る」のW主演に抜擢 若手最注目の俳優・上坂樹里が語る「俳優業への挑戦」

PROFILE: 上坂樹里/俳優・モデル

PROFILE: (こうさか・じゅり)2005年生まれ。神奈川県出身。21年「ミスセブンティーン2021」で「セブンティーン」専属モデルとなり、俳優デビュー。23年、「生理のおじさんとその娘」でヒロインに抜擢、その後ドラマを中心に活躍。主な出演作に、「いちばんすきな花」「となりのナースエイド」「ビリオン×スクール」をはじめ、25年は日曜劇場「御上先生」「いつか、無重力の宙で」でレギュラー出演。また12月12日公開の映画「ロマンティック・キラー」で映画初出演を果たすほか、26年前期連続テレビ小説「風、薫る」でW主演の1人を務める。

2026年度前期のNHK連続テレビ小説「風、薫る」で、見上愛とともにW主演を務めることが発表されている上坂樹里(こうさか・じゅり)。17年に、小学6年生で受けたオーディションをきっかけに現在の事務所に所属し、高校生で「セブンティーン」の専属モデルとなった。25年は夜ドラ「いつか、無重力の宙で」(NHK)で日比野ひかりの高校時代を演じ、大人パートを演じる森田望智との調和の取れた演技に注目が集まった。12月12日には、初の映画出演作となる「ロマンティック・キラー」も公開された。ティーンが憧れる存在から、ドラマや映画ファンにとって気になる俳優へと変貌中の、若手最注目株へのインタビューを試みた。

モデルを経て、俳優業へ

——事務所に所属するきっかけとなったオーディションは、ご自身の意志で受けたのでしょうか。

上坂樹里(以下、上坂):もともとテレビの世界やモデルに憧れがあったのですが、当時は小学6年生で、まだスマートホンなど調べるものを持っていなかったので、憧れているだけでした。そんな時期に、母の友人がこのオーディションを勧めてくださり、「やりたい」「やってみたい」と強く思ったので、受けてみました。

——そして高校生のときに雑誌「セブンティーン」のモデルになりました。その後、俳優業に挑戦していく中で、上坂さんの意識に変化はありますか?

上坂:モデル志望で事務所のオーディションを受けて、所属して、すぐにポージングやお芝居のレッスンを受けるようになったんです。そのレッスンがきっかけでお芝居を好きになって、挑戦したいなと思いました。

——清原果耶さんが憧れの人だとか。

上坂:清原さんが(雑誌の)「ニコラ」のモデルをされていたときからの大ファンです! 清原さんがドラマや映画に出演されるようになって、好きだから「見たい!」と思って見てみると、別人のように見えたんです。モデルをされている姿と、お芝居をされている姿のギャップに、より惹かれましたし、「お芝居ってすごいな」と改めて感動しました。今もずっと憧れです。「セブンティーン」のモデルとしても少しだけ期間が被っているので、先輩でもあり。とても大きな存在です。

——清原さんの出演作で、特に好きな作品はありますか?

上坂:いっぱいあるので難しいですが……。「ファイトソング」(22年・TBS)のキャラクター(木皿花枝)は、お茶目でかわいい部分をたくさん見ることができて、すごく好きでした。清原さんの第一印象は、クールで大人びていて、凛とされているというイメージがあったので。

——上坂さんの俳優業において、最初の大きな出来事は?

上坂:初めての地上波ドラマが、NHKの「生理のおじさんとその娘」(23年)という作品でした。オーディションを受けてヒロインを務めさせてもらうことになったのですが、放送を終えてから、作品へのいろいろな感想や、「応援したいです」というコメントもたくさんいただいて。作品の影響力の大きさを実感した、自分にとっての原点であり大切な作品です。

——お芝居の仕事をするようになってから、ドラマや映画の見方は変わりましたか?

上坂:もともとドラマや映画を見ることは好きで見ていましたが、お芝居を初めてから、より積極的に映像作品を見るようになりました。見方は……確かに、変わったかもしれないです。「今のお芝居すごかったな。どうやってるんだろう」とか、「どんな台本でこういう動きになったんだろう」とか、そういう部分を気にしながら見るようになりました。

——最近の作品で、そういう部分で気になった作品というと?

上坂:映画「宝島」(大友啓史監督)の皆さんのお芝居がとにかくすごすぎて、圧倒されてしまいました。その中でも、広瀬すずさんが涙を流すシーンで、泣いている途中にガッとうずくまるという流れが、ワンカットで撮られていて。その部分は、カメラマンさんと息を合わせないとできないことだなと思って、お芝居も含めて、ゾワッとしました。

初の映画の撮影現場を経験して

——映画「ロマンティック・キラー」は上坂さんにとって初めての映画の現場です。強烈なキャラクターだらけのコメディー作品で、ご自分の役をどう捉えて演じましたか。

上坂:私が演じた高峯咲姫は、主人公の杏子(上白石萌歌)にとって唯一の友人です。キャラクター的にはすごくクールで大人びていて、杏子を優しく見守っているんですけど、心の中では杏子のことを「格好いい」と尊敬する部分もあって。2人の関係性が素敵だなと思います。

——英監督は笑いの表現に関して、キャストのアイデアも活かしながらどんどんブラッシュアップしていったと聞いています。

上坂:はい。1回流れでお芝居をやってみて、「こうやってみたらどう?」とアイデアをいただいていました。そのシーンをより良いものにするために、常に監督とお話しできる環境があったので、演じる上でとてもありがたかったです。

——「ロマンティック・キラー」に参加して学びになったことや、刺激を受けたことはありますか。

上坂:原作のある実写作品に携わることも初めてだったので、漫画やアニメの世界の一員になれることにすごくワクワクしました。事前にアニメを拝見して、撮影現場に臨んでみると、皆さんキャラクターそのもので! 特に上白石さんのお芝居を初めて見た瞬間の、「杏子だ!」と思った感覚が今でもすごく残っています。元々のキャラクターがあって、それを自分の体を使って演じることの面白さと難しさを感じることができて、すごく刺激になりました。

「いつか、無重力の宙で」で
森田望智からのアドバイス

——(NHKの夜ドラ)「いつか、無重力の宙で」についても聞かせてください。天文部の4人(田牧そら、白倉碧空、山下桐里)は仲良くなりましたか?

上坂:はい! 白倉碧空ちゃんはドラマの「御上先生」でご一緒させていただいていたのですが、初めて4人で顔を合わせた日に、そのまま「ファミレスに行こう!」ということになって。4人だけでご飯を食べて、すぐに打ち解けることができました。年齢差は少しありましたが、休憩時間も和気あいあいと、それこそ部活のような青春の時間だったと思います。

——ものすごく反響が大きかったのでは? 私は毎晩おいおい泣かされました……。

上坂:ありがとうございます! びっくりするくらいうれしい言葉やコメントをたくさんいただきました。森田望智さんと同一人物を演じるにあたって、すごく大きなプレッシャーもありましたし、日比野ひかりという役が自分とかけ離れているので、そこに大きな不安もありました。なので「高校生から大人にかけての違和感がない」「ひかりと言う人物がそのまま成長しているように見える。すごい!」といった感想をいただけたことが、すごくうれしかったです。

——私も、上坂さんのしゃべり方が、森田さんにそっくりで驚きました。

上坂:作品に入る前に森田さんとお話しする機会をいただいたんです。お互いの声の出し方や癖が全然違うものではあったので、「それぞれのひかりの、真ん中にあるひかりにしよう」というお話をして、日比野ひかりという人物を一緒に作っていきました。

——上坂さんが森田さんに寄せたと思っていました。

上坂:お互いに、でした。私は以前から、森田さんの声を「素敵だな、可愛らしいな」と思っていたので、改めて森田さんが出ている作品や、お話しされている姿を見て、たくさん研究しました。台詞を言うときは、森田さんが話している姿を頭に思い浮かべることを意識して。森田さんの素敵な声になれるように頑張ろうというのはもちろんあったんですが。本読みのときに、一回、「じゃあ次は私が樹里ちゃんに寄せてやってみるね」とおっしゃってくださって。その表現を聞いたときに、「あ、私だ!」って。「そんな一瞬で切り替えられるものなの?」と驚くくらい、私の声でした。やはりすごいなあと思いました。

——先ほど「ひかりは自分とかけ離れている」とおっしゃいましたが、どのようにひかりという役をつかみましたか?

上坂:つかむまでにすごく時間がかかりました。森田さんに、ひかりを演じるにあたっての不安や悩みを相談させていただいたときに、森田さんが「樹里ちゃんの好きなことは何?」と聞いてくださって。「本を読むことです」と答えたら、「ひかりの宇宙を大好きと思う気持ちを、樹里ちゃんの本が大好きという気持ちに置き換えてみると、近づけるかも」というアドバイスをいただけたことが、大きな一歩になりました。もちろん宇宙についても、本を読んだり、いろいろ調べたりはしましたが、好きなものに真っ直ぐ向かっていく感覚をつかめたことが大きかったです。

——この作品に出演して、自分の中に起きた変化はありますか。

上坂:最初は「できるかな」という不安がありました。プロデューサーの方から、「正直、オーディションで見たときは、ひかりは上坂さん自身のキャラクターと真反対なのかなと思っていた」と言われて、私もそう思っていたので、怖さがあったんです。でも、撮影していくにつれて、お芝居をすることがどんどん楽しくなっていきました。初めて「自由でいいんだ」という感覚を味わえて、とにかく楽しくて。多分それは、普段の自分とかけ離れたキャラクターだから味わえた感覚なのかなと思うんです。改めて、お芝居っていいな、楽しいな、と思いました。

朝ドラ「風、薫る」への意気込み

——「風、薫る」(26年度前朝の連続テレビ小説)で演じる大家直美もオーディションでつかんだ役です。オーディションで落ちた経験はありますか?

上坂:もちろんあります! 何回も!(笑)。

——落ちるとどんな気分になりますか?

上坂:めちゃくちゃちゃんと落ち込みます。すごく悔しいですし、誰が受かったのかもすごく気になります。

——そこから立ち直る方法はありますか?

上坂:一回一回立ち直れているかというと、多分、そうでもなくて。その悔しい気持ちのまま、次に挑んでいるような気がします。いろいろと考えるんですが、「もういいや! 一回何も考えないで思い切りぶつかろう! オーディションだし!」という気持ちで挑んだものが、受かっています(笑)。

——悔しさを忘れない、消化しないというのは一つの正解かもしれないですね。

上坂:正解かどうかは分からないですが、私はそういうタイプなのかもしれないです。

——朝ドラのヒロインは目標だったのでしょうか。

上坂:ずっと一番の夢として掲げていました。

——その夢が叶ったときの気持ちを言葉にすると?

上坂:なんかもう、うれしさとかを飛び越えて、「どういうこと!?」みたいな(笑)。理解ができない、追いつかない、という状態でした。もう撮影に入ってるんですけど、皆さんとの顔合わせや稽古を経て、少しずつ少しずつ実感が湧いてきて、責任感もどんどん生まれてきます。でも、今もまだ、ずっと夢のまま突っ走っている感覚もあります。

——朝ドラのオーディションは、どれくらい選考過程があるんでしょうか。

上坂:書類選考を含めると、4次です。

——どの段階で「いけるかも!」という実感が出てきましたか。

上坂:全くなかったです。朝ドラのオーディションを受けるのは今回で3回目だったのですが、いつも書類選考で落ちていて、対面まで辿り着けたのが初めてだったんです。思うようにいかないこともありましたし、何が正解なのか分からないままでした。

——受かったときに、選考理由は伝えられましたか。

上坂:「お芝居がナチュラルで、内に秘めた強さが見える瞬間が素敵だ」とおっしゃってくださって、うれしかったです。あと、「これから1年間過ごしていく中で、役と共に成長する可能性を感じた」と言われたことも印象に残っています。

——今までで一番出演シーンが多い作品なので、台本での描写も資料も多い。となると、逆に人物を理解しやすくなるものでしょうか。

上坂:今の段階でいうと、今まで演じた役で一番分からないです。本読みやリハーサルで感じたことを日記としてメモしていたんですが、大体「何考えてるの直美」と書いていました(笑)。今も現場で「どうしてそうなるの?」と感じることが多いです。

——彼女もまた、自分からかけ離れた生い立ちであり、人生であり。

上坂:はい。だからこそのやりがいも感じています。その「どうして?」と思わせるところが、大家直美の魅力でもあると思うので。監督とお話しする時間をたくさんいただいて、一つ一つ消化しながら、丁寧に撮っているという段階です。

——「ばけばけ」(25年度後期の連続テレビ小説)ヒロインの髙石あかりさんとは同じ事務所ですよね。二期連続で朝ドラヒロインを輩出する事務所、すごすぎます(笑)。髙石さんから何か言葉はかけられましたか? 

上坂:あかりさんの次に、まさか自分が(朝ドラのヒロインを)できると思っていなかったので、それも含めて夢のようです。あかりさんは、私が何も言っていないのに、そのときに私がほしい言葉をくれる方です。会見の日に「あなたが主人公だから、楽しんできて」と言ってくださいましたし、ご自分の撮影で忙しい中、私のクランクインの前日にメッセージをくださいました。ずっと追いかけ続けたい、大きな存在です。

「いただいた役や作品をしっかり届ける」

——朝ドラの撮影期間中はかなりハードなスケジュールになるそうですが、いかがですか?

上坂:体だけは壊さないように気をつけようと思っているので、ご飯をちゃんと食べています。ちゃんと寝て、適度に体を動かして。基本的なことを大事に生活しています。

——基本的に土日が休みだそうですが、お休みの日の過ごし方は?

上坂:映画館に行ったり、お笑いを見に行ったりしています。

——劇場に行くんですね! 好きな芸人さんがいるんですか?

上坂:かが屋さんとジェラードンさんが好きです。コントが好きです。あとはお母さんとご飯を食べに行ったり。好きなことをして、楽しく過ごしています。

—観客の立場として、映画で好きなジャンルはありますか?

上坂:ジャンルでいうとミステリーが好きです。東野圭吾さんは、小説も、実写化作品も、絶対にチェックします。最近だと「ブラックショーマン」を見ました。

——お仕事をしてみたい監督はいますか?

上坂:今泉力哉監督です。いくつか作品を拝見して、静かな世界観が好きだなと感じました。あの世界の中で動く人物に挑戦してみたいです。

——今泉監督はカットをあまり割らずに、固定カメラでの長回しが特徴です。先ほど挙げてくださった「宝島」の広瀬すずさんのシーンも一連でしたが、演じる側として、長回しは好きですか?

上坂:好きです。途中で失敗できないという緊張感も含めて、好きです。

——今後、どんな活動をしていきたいですか? モデルと演技以外に興味のあることはありますか?

上坂:今はお芝居に夢中です。そのときいただいた役や作品をしっかり届けることを、一番大事にしたいと思っています。

PHOTOS:TAKAHIRO OTSUJI
STYLING:KENSHI KANEDA
HAIR & MAKEUP:AYA SUMIMOTO

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