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2025年ヘビロテ私物ベスト3

アユニ・Dが選ぶ、2025年本当に使い倒した私物ベスト3

PROFILE: アユニ・D/アーティスト

PROFILE: (あゆに・でぃー)10月12日生まれ、北海道出身。ガールズグループBiSH(ビッシュ)の元メンバーで、現在はバンドプロジェクトPEDRO(ペドロ)のベースボーカルを務めている。9月にミニアルバム「ちっぽけな夜明け」をリリースし、10月〜12月にかけて全国18都市19公演を回るライブツアー「I am PEDRO TOUR」を開催した。来年4月から対バンツアーPEDRO TOUR 2026「ROCK STEP JUMP TOUR」の開催が決定している。

ファッション&ビューティの現場で活躍する注目の“あの人”に、2025年をリアルに支えた使い倒したアイテムベスト3を聞く年末の特別連載。その選択には、今の価値観とムードがはっきりと表れる。

連載第4回は、メッセージ性のある歌詞とパワフルなサウンドで聴く人を魅了し続ける歌手のアユニ・Dが登場。ステージとは少し違う彼女の“現在地”がにじみ出る、25年使い倒してきた3品を語る。

アユニ・Dが選んだベスト3

BEST1:
歌になる前の「本音」を閉じ込めた日記帳

——今年、いちばん使い倒したアイテムは?

アユニ・D:今年の9月末頃から書き始めた日記帳です。仕事のときもプライベートのときも、肌身離さず持ち歩いています。

——日記を始めようと思ったきっかけを教えてください。

アユニ・D:作曲・作詞のために、頭を動かしながら書き留めようと思ったのがきっかけです。忘れっぽいので、参考資料として残しておきたかったんです。

——楽曲制作のアイデアにつながっているのですね。

アユニ・D:はい、かなり活用しています。あとで歌詞を書くときに読み返して、「この言葉いいな」って拾うことが多いかな。思い出を振り返るというより、完全に“仕事用”ですね(笑)。

——気になったのが、A4サイズのキャンパスノート。かわいい手帳でないところが、アユニさんらしいチョイスだと思いました。

アユニ・D:たまたま家にあったから使っているだけなんです(笑)。でも、わざわざおしゃれなものを買うと「せっかく買ったから書かなきゃ」って思ってしまいそうで。義務になるのが嫌なので、書けるときに書く、というスタンスでいます。A4サイズのノートなのですが、楽しくなって気づいたら2〜3ページ書いていることもあります。

——具体的に、どんなことを書いているのでしょうか。

アユニ・D:日々の気づきや出来事、うれしかったこと、「次はこうしよう」と反省したことなどなど。特別なことじゃなくて、自分の感情に嘘をつかずに、そのまま思ったことを書いています。歌詞のヒントになりそうな言葉もしっかりメモするようにしていますね。

——ふっと降りてきた言葉が意外と大事だったりしますよね。印象に残っているページはありますか?

アユニ・D:たくさんありますけど、最近だとプライベートで動物園に行った日のページですね。来場記念のスタンプなんか押しちゃったりして。珍しい動物を知ることができて、新しい発見がたくさんあって楽しかったです。

——その反対に、だらけて1日が終わる日もあると思います。

アユニ・D:もちろんあります。でも、人間って無意識のうちに何かを感じたり、選択したりしているじゃないですか。だから、本当は「何もない日」なんて1日もない。些細なことでもちゃんとできたことを書き留めておくと、小さな達成感が生まれるのでおすすめです。

例えば、1日寝て終わる日。後悔してしまう人が多いと思いますが、日記に「しっかり寝て体力が回復した」とか「できたこと」を書くだけで、いいことしたなって気持ちになりませんか?

みんな他人と比べて頑張りすぎだと思うので、小さなことから自分を褒めてあげてください。

——すてきな考えですね。日記を書き始めて、心境に変化はありましたか?

アユニ・D:一番大きな変化は、人に自分の気持ちを伝えやすくなったことです。昔は自分の感情が分からなくて、聞かれても「分からない」って逃げてばかりでした。日記で感情を言語化するようになってからは、「悩みも不安も、意外とシンプルだったんだな」って気づけるようになって。生きるのがすごく楽になりました。

日記を始めてから、自分にとってメリットばかりなんです。来年もゆる〜っと、書き続けたいと思います。

BEST2:
気分を替える、小さな鎧のリメイク帽子

——2つ目のアイテムを教えてください。

アユニ・D:帽子です。髪型をあまり変えないので、帽子を被れば簡単に気分転換できるから好き。1点もののリメイクアイテムがお気に入りで、ほぼ毎日被っています。ラフォーレ原宿の1階にあるセレクトショップ「シープ(SHEEP)」でよく購入しています。

——中でもお気に入りは?

アユニ・D:最近は寒くなってきたので、ニット帽かな。楽さとかわいさ、どちらも欲張れるところが好きです。

——全て個性的なデザインですが、帽子選びの基準は?

アユニ・D:一目惚れが多いですが、サイズ感と丈夫さは絶対条件!どんなにかわいくても、サイズやシルエットが自分に合わなかったら買いません。

——リメイクだと、それなりにいいお値段なのではないでしょうか。

アユニ・D:2万円前後のアイテムが多いですね。でも、高くても妥協はしたくない。本当にほしいものを長く大切に使いたいし、手作業で作られていると思うと愛着が湧きます。もう同じものには出合えない、1点ものという希少性に心惹かれますね。

——来年ほしい帽子があれば、教えてください。

アユニ・D:編み物が趣味なのですが、自分でニット帽を作れるようになりたいです。音楽活動が一息ついたら時間ができそうなので、トライしてみようかなと思います。

BEST3:
失敗した日に手を差し伸べてくれた“歪”なリング

——最後の3つ目は?

アユニ・D:「ヒデカ カナマル(HIDEKA KANAMARU)」のシルバーリングです。「I LOVE YOU」と刻まれている文字が手彫りのようなデザインになっていたり、形がちょっと歪だったり。そんな手作り感が愛くるしくてたまらないんです。

——出合いを教えてください。

アユニ・D:ライブツアー中に気に入っていた「ハルタ(HARUTA)」のローファーをなくしてしまって……落ち込んで大阪の百貨店を歩いていたときに、ふらっと入ったセレクトショップで一目惚れしたんです。靴をなくした罪悪感を帳消しにしてくれた、救世主的な存在でした。

——リメイク帽子もそうですが、店舗で購入することが多いのですね。

アユニ・D:BiSH時代はあまり外出できなかったのでネットショッピングが多かったのですが、今は実店舗派。実際に見て、試して、ビビッときたものを手に取るようにしています。買い物で失敗したくないというのもあるのですが、予期せぬ出合いもすてきだし、友だちと一緒に悩めるのも楽しい。

——リングをはじめ、アクセサリーには特別な思いが宿る気がしませんか?

アユニ・D:あまり意識したことがなかったのですが、言われてみればそうかも。今日のリングは友だちからもらったものと、ファンの方からもらったものをつけています。くれた人が近くにいてくれるような気がして、パワーをもらえますね。

このリングも、買った日を思い出すと「失敗した日もいいことあるかも」なんて思えます。

——来年狙っているアイテムがあれば教えてください。

アユニ・D:リングは結構集まったので、今はピアスがほしいです。毎日付けていられるような普遍的なデザインのもの。でも、ピアスホールのお手入れが面倒くさいな……じっくり悩みたいと思います(笑)。

「素直」「勇気」「自覚」を学んだ2025年

——今年はどんな1年でしたか?

アユニ・D:ライブと曲作りにどっぷり浸かった1年でした。今年はライブツアー2回、ミニアルバム「ちっぽけな夜明け」のリリース、ワンマンライブと……毎年そんな感じではあるんですけど、改めて振り返るとありがたい環境で音楽に集中させてもらっているなと思います。

——そんな25年を、言葉で表すとしたら?

アユニ・D:「素直」「勇気」「自覚」の3つの言葉がしっくりくる1年でした。私は昔から自分の気持ちを人に伝えるのがすごく苦手で、そのまま大人になってしまった感覚があったんです。曲作りをしていたときに、どこか不完全というか、自分の思いを出し切れていない感覚がずっとあって。「まだ自分に嘘をついているな」という後ろめたさがありました。

そんな中で人と話しているうちに、「自分で自分を殺しているかも」って気づかせてもらって。そこから、素直さや勇気、そして自覚が足りなかったんだなって思うようになりました。

——どんな変化があったのでしょうか。

アユニ・D:自分の気持ちや状況を、素直に伝えられるようになりました。今までちゃんと人とコミュニケーションを取れていなかったんだなって、ようやくハッとしたんです。手を伸ばすと、みんなちゃんと手を握り返してくれるんですよね。こんなにも真剣に人って向き合ってくれるんだって、初めて実感しました。

——きっかけになった出来事は?

アユニ・D:プロデューサーから「いきなり、明日変わってもいいんじゃない?」って言われた言葉は大きな衝撃でした。急に変わるのって怖いし、恥ずかしいじゃないですか。

でも、大人になったからって変わるのをためらうのも違うなと思って。そこから急にマネージャーに長文ラインを送ったり、ずっと受け身だった私が友だちを遊びに誘うようになったり、そういうことを意識し始めて、気づいたら変われていたんです。

——いい意味で、「人間らしくなってきた」ということでしょうか。

アユニ・D:面白いくらい(笑)。基本待ちの姿勢だったんですけど、この1年は自分から声を掛けるようになりました。あとはファンの方との距離感。「パフォーマーと観客」というより、「今を一緒に生きている仲間」だと感じることが増えました。「救われました」って言ってもらうこともあるけれど、私自身も本当にファンの方々に救われているんです。

——忙しいと思いますので、立ち止まりたいと思ったこともあるはず。

アユニ・D:ないですね。自分はマグロだと思っているので、止まったら死ぬんじゃないかな(笑)。ずっと走らせてもらえる環境が本当にありがたいし、そうじゃないと生きていけないタイプなんだと思います。

その原動力は、間違いなく仲間の存在。昔は何も言わずに全部一人でやろうとして、誰も付いてきてくれなかったんです。でも、ちゃんと「こうしたい」って言葉にするようになってから、周囲に仲間が増えて。やっぱり言葉にして伝えるって、大事なんだなと考えさせられた1年でした。

2026年の目標は「人と仲良くなる」!?

——では、2026年に向けて抱負を教えてください。

アユニ・D:勇気を出して動いてきたことを、来年は頑張らなくても自然にできるようになりたいです。1回できたから終わり、じゃなくて、ちゃんと身に付けられるまで続けたい。

それと、もっともっといい曲を作りたいですね。「ちっぽけな夜明け」の曲を制作したときに、今まで以上に時間も熱量もかけた分、ちゃんと数字や反応として返ってきて。丁寧に作れば作るほどちゃんと届くんだと学んだので、それを続けていきたいです。あとは、たくさんの人と仲良くなりたいですね。

——「人と仲良くなる」というのは、アユニさんにとって大きなテーマになりそう。

アユニ・D:そうですね。今までは自分のことに精一杯で、人との関係に時間を割くのが億劫になっていたところがあって。来年はそれを打破したい。遅すぎるかもしれないけれど(笑)、最近は打ち上げにもちゃんと行くようになって、PEDROの絆が深まってきた感覚があります。

——BiSH時代を振り返って、今の自分と違うなと感じるところはありますか?

アユニ・D:前より自然体になれたと思います。BiSH時代はキャラクターをかなり意識していて、人前では明るく振る舞ったり、ちょっと斜に構えた態度を取ったり。今振り返ると、あれは素直な自分ではなかったのかもしれないし、正直少し反省しています。

今はPEDROのフロントマンとして、人を引っ張らなきゃいけない、チームをまとめなきゃいけない。だからこそ、自分の本音をちゃんと知り、それを言葉でアウトプットすることが大事だと思っています。

——26年も忙しくなりそうですね。

アユニ・D:はい、うれしいことに。絶賛新曲も作っていますし、来年、再来年のライブの計画も少しずつ動き始めています。私と一緒に走ってくれている方々への恩返しを形にしていきたい。25年は「気づいた年」だったので、26年はそれを「ちゃんと生かす年」にしたいです。


CREDIT
PHOTOS:TAMEKI OSHIRO

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