世界最大級のメンズファッション展示会「ピッティ・イマージネ・ウオモ(Pitti Immagine Uomo 109 以下、ピッティ)」が、来年1月13〜16日に伊フィレンツェで開催される。ゲストデザイナーとして2025年のLVMHプライズを獲得した「ソウシオオツキ(SOSHIOTSUKI)」に加えて「ヘド メイナー(HED MAYNER)」、スペシャルイベント枠で「シンヤコヅカ(SHINYAKOZUKA)」が参加する。テーラードスーツに身を包んだ人々が闊歩する日本発のイベント「背広散歩」もピッティで初開催する。
17日に都内で行われた会見には、ピッティのスペシャルイベント・コーディネーターであるフランチェスカ・タッコーニ(Francesca Tacconi)が登壇。タッコーニは冒頭で昨年の出展・来場実績が好調だった点に触れた上で、今年は国際バイヤーの登録がさらに増加していると説明した。「具体的な数字はまだ公表できないが、昨年の水準を確実に上回る勢いがある。ピッティは依然として“買い付けの現場”として世界の中で特別な役割を果たしている」と強調した。
来年の開催全体を貫くテーマ「MOTION(モーション)」の意図については、「移動、変化、前進、呼吸、感情の揺らぎなど、あらゆる“動き”を内包する概念。ファッションの根底にあるダイナミズムをもう一度言語化する試みだ」と述べた。キャンペーンビジュアルはフィンランドのファッション誌「SSAW」のクリス・ヴィダル編集長とファッションディレクターのトゥオマス・ライティネン(Tuomas Laitinen)が手がけ、「ソウシオオツキ」がスタイリングを手掛けた。
会場には「ソウシオオツキ」の大月壮士デザイナーが来場し、「フィレンツェという街が育んできた創造性の核に、自分の作品を接続できることが大きな挑戦になる」と参加への意気込みを語った。タッコーニは「ソウシオオツキ」について、「千年以上続く日本の伝統的対話性を基盤にしながら、現代テーラリングの鋭い感性を重ねる稀有な存在」と述べる。
「シンヤコヅカ」については、タッコーニは同ブランドの東京スタジオを昨秋訪れ、小塚信哉デザイナーの独特な色彩感覚に満たされた空間、手仕事の痕跡、余白の残し方に強く感銘を受けたと話す。「彼の作品は非常に高い技術と強い個性を併せ持ち、クラフツマンシップと都市のムードを現代にふさわしい形で結びつけている」と語り、そのバランス感覚を評価した。「日本のデザイナーはそれぞれ異なる言語で戦っている。クリエイションの背景もアプローチも全く異なるが、その多様性こそが最も重要な創造性だ」。ピッティでは初開催の第9回「背広散歩」については、「街を歩くことで、まさにファッションの“動き”を体現する」とし、ピッティのテーマ“モーション”との親和性を強調した。