マッシュグループの2025年8月期は、売上高が前期比13%増の1363億円となった。前期に続いて2ケタの伸びを維持し、過去最高を更新した。営業利益は非開示としたが、100億円を超えた。
3本柱が「300億円」のメルクマール目前
近年の注力分野である「メンズ」「ライセンス」「キッズ&ベビー」の3カテゴリー合計売上高は、前期比70%増の282億円に拡大。奥村健太マッシュホールディングスCFOは「当初は中長期計画として売上高100億円を目標としていたが、大きく上回る成長となった。将来的に見据えていた300億円にもすでに届きつつある」と手応えを語る。
ライセンス事業では、「バブアー(BARBOUR)」が前期比66%増の69億円と急成長。さらに「レスポートサック(LESPORTSAC)」を取り込んだことで、合計売上高は前期比2.7倍の156億円に達した。両ブランドともに「ゆくゆくは売上高100億円ブランドを目指す」。また、「ジェラート ピケ オム(GELATO PIQUE HOMME)」や「アウール(AOURE)」などのメンズ事業が同10%増の71億円、「ジェイミー ケイ(JAMIE KAY)」を新たに加えたキッズ&ベビー事業が同28%増の55億円と好調に推移した。
「ジェラピケ」「セルフォード」好調
ファッション事業全体の売上高は前期比14%増。主力ブランド「ジェラート ピケ(GELATO PIQUE)」は同8%増の355億円と堅調に伸びた。そのうちコラボレーション企画だけで売上高が60億円を超え、「ドラえもん」「スーパーマリオ」「ミッフィー」 などのIPとの協業が話題を集めた。「キッズ&ベビー」「スリープ」「キャット&ドッグ」などのサブカテゴリーも好調だ。
「スナイデル(SNIDEL)」は単体では横ばいだったが、派生ブランドが好調。「スナイデル ホーム(SNIDEL HOME)」は前期比28%増の25億円超、「スナイデル ビューティー(SNIDEL BEAUTY)」は同26%増の17億円となり、これらを含めた「スナイデル」ブランド全体で約250億円規模に達した。
そのほか、オケージョン需要に強い「セルフォード(CELFORD)」は既存店ベースで前期比16%増。「フレイ アイディー(FRAY I.D)」や「リリー ブラウン(LILY BROWN)」、「エミ(EMMI)」などの既存中堅ブランドもコラボやポップアップ展開により、一定の成果を上げた。
ビューティは構造改革が奏功 「コスメキッチン」21%増収
ビューティーのリテール事業は前期比13%増収。主力セレクトショップ「コスメキッチン(COSME KITCHEN)」が同21%増と大きく伸ばした。オンラインとリアルを連動させたECイベント「オーガニック・デイズ」が成果を上げ、売り上げが大幅に伸長した。
PBブランドでは「ビープル(BIOPLE)」が同8%増、「トーン(TO/ONE) 」が同16%増と復調基調にある。豊山YAMU陽子氏が23年にマッシュビューティーラボ社長に就任して以降進めてきた部門間連携強化、PB開発・販促・VMDの一体化といった構造改革が実を結び始めた。近藤広幸マッシュホールディングス社長は「MDの刷新や取り扱いブランドの拡大などはこれからが本腰。今期はPB強化も加速させる」と語る。
近藤社長は25年8月期を総括し、「増収は達成できたが、もう少し伸ばせたはず」と前を向く。「海外事業は飛躍の準備が整い、ビューティーも構造改革が形になりつつある。ここからが本当の第二次成長フェーズだ」。上場に向けた体制整備については「焦って実施する考えはなく、順調に準備を進めている」と述べるにとどめた。