
アーティスト草野絵美による没入型個展「エゴ イン ザ シェル:ゴースト インテロゲイション(EGO in the Shell: Ghost Interrogation)」が10月8〜29日、ニューヨークのギャラリー「オフライン(OFFLINE)」で開催される。
同展は、ギャラリー空間を「攻殻機動隊」の世界観に着想を得て、記憶、監視、アイデンティティーとして交差する「場」に変容。 AIによる虚構の幼少期を描く映像作品群、「攻殻機動隊」の世界が加速し続けた未来像を探る作品群、そしてCRTモニター彫刻やホログラム取調室体験といった没入型インスタレーションの3つの軸で構成する。
草野はサイバーパンク哲学と仏教思想における「空」、「縁起」の東洋的な概念を融合し、自身の顔や、身体をAIに学習させたカスタムモデルを構築。「架空の幼少期」を生成することから制作を始めた。 生成AIの時代に「自我」が再構築され、不安定化していくのかが問われる内容になっている。
同展の開催にあたり、草野は「このプロジェクトは、記憶の脆さと自我の不安定さをめぐる儀式。AIによる再構築と私自身の過去の断片を組み合わせることで、観客に“永続”と“無常”の両義性を体験してほしいと思っている。『攻殻機動隊』は、これまでの私の創作に大きな影響を与え続けてきた作品。いまの世界は情報があふれ、アルゴリズムが分断を加速させている。だからこそ、記憶すること、感じること、そして現実を生きることの意味を、あらためて考えていただければと思う。」とコメントした。
草野は、1990年、東京都生まれ。AIなどの新技術を取り入れ、ノスタルジア、ポップカルチャー、集合的記憶を主題に作品を制作。作品は、香港・エムプラス(M +)、ロンドン・サーチ・ギャラリー、パリ・グラン・パレ・イマーシフ、リンツ・フランシスコ・カロリヌム美術館、金沢21世紀美術館など、世界20カ国以上の美術館やギャラリーで展示されているほか、フライズ 案タイトル アート マイアミ、キアフといった国際的なアートフェアにも参加している。2023年にはクリスティーズと「グッチ(GUCCI)」のコラボレーションオークションに参加し、「WWDJAPAN」2023年6月19日号の表紙をAIアートで飾っている。24年にはクリスティーズとユーエヌエイチシーアール(UNHCR)によるチャリティーオークションにも出品。25年、世界経済フォーラムにより「ヤング・グローバル・リーダーズ」に選出された。