ニューヨーク州立ファッション工科大学(FIT)は9月9日(現地時間)、ファッションデザイン修士課程(Fashion Design Master Of Fine Arts)の卒業制作コレクションのランウエイショーを開催した。18人の新進デザイナーが、それぞれのテーマで制作したコレクションから各5ルックを披露し、米「WWD」はその中から注目の6作品をピックアップした。
ファッションデザイン修士課程はFIT大学院7プログラムの中で最も新しく、2019年に設立した。学生は最終的に、8ルックのコレクション、修士論文とプレゼンテーション、ムービー、ルックブック、ブランド事業計画書、ポートフォリオを制作する。
キャスリーン・シーハン(Cathleen Shehan)同プログラム教授によると、「学生は独自の研究に基づいた卒業制作コレクションをデザインしている。家族について研究した者もいれば、宇宙をテーマにした者も。未来的な作品もあれば、母性をテーマにした作品もあった」という。
ショーでは、ディテール、質感、色彩、クラフツマンシップを強調したルックや、自然、アップサイクル素材、フューチャリズム、実用性、ビンテージを押し出したルックが披露された。
「ポルトガルのタイルに着想を得た」と語るローソン・パク(Lawson Park)は、芸術家の両親に育てられ、色彩とクラフツマンシップへの愛を育んだという。彼女のコレクションでは、伝統工芸や文化に自身の育ちから受けた影響を織り込み、スモッキングと呼ばれる刺しゅう技法やキルティングといったアメリカ南部の技術とポルトガルのモチーフを融合した。パクは、「プログラムを通して、枠に捉われない思考ができるようになった。商業的な考え方をしがちな私に、創造的に考える方法を教えてくれた」と語った。
マチルダ・トンイン・リャン(Matilda Tongying Liang)は、インスピレーションを与えてくれる母親に捧げるコレクションを制作した。母性だけでなく、自然や女性性、創造という行為にある母性的な強さにも敬意を表したという。
ペン・ハン・ベッカム・リン(Peng Han Beckham Lin)は、子供を寝かしつけるために読み聞かせる物語が伝承されていく感覚を表現しようとした。読み聞かせの物語と記憶、覚醒から睡眠へ移行する状態の交差点を模索し、そして、現実と夢、伝統と革新、過去と未来の間にぼんやりと存在する境界線を反映し、身につけられる形へと昇華した。
ファッションコンサルタントのファーン・マリス(Fern Mallis)はショーについて、「美しかった。クリエイティビティーとアイデアが溢れていたと思う。これがパリのランウエイなら絶賛されるだろう。テキスタイルの扱いと技術が素晴らしかった。ショーは年々良くなっている」とコメント。また、ジョイス・F・ブラウン(Joyce F. Brown)学長は、「ニューヨークの著名なファッションウイークの一環としてコレクションを発表することは、業界のビッグネームの前で才能を披露する絶好の機会だ」と述べた。