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佐藤健 × 町田啓太 × 志尊淳  Netflix「グラスハート」でこだわった映像美とTENBLANKという夢のバンドの在り方

PROFILE: 佐藤健/俳優、町田啓太/俳優、志尊淳/俳優

PROFILE: (さとう・たける)1989年、埼玉県生まれ。2007年にドラマ「仮面ライダー電王」で初主演を務める。映画「るろうに剣心」シリーズ(12、14、21)で幅広い層から人気を獲得。「8年越しの花嫁 奇跡の実話」(17)と「護られなかった者たちへ」(21)で、日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞。主な出演作は、「バクマン。」(15)、「何者」(16)、「亜人」(17)、「億男」(18)、「ひとよ」(19)、「四月になれば彼女は」、「はたらく細胞」(24)、ドラマ「義母と娘のブルース」(18、20、22)、「恋はつづくよどこまでも」(20)、Net flixシリーズ「First Love 初恋」(22)など。 (まちだ・けいた)1990年、群馬県生まれ。近年の主な出演作は、大河ドラマ「青天を衝け」(21)、連続ドラマW「フィクサー」(23)、大河ドラマ「光る君へ」(24)、映画「チェリまほ THE MOVIE~30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい~」(22)、「ミステリと言う勿れ」(23)など。NHK総合ほかで放送の「漫画家イエナガの複雑社会を超定義」に出演中。ドラマ「失踪人捜索班 消えた真実」に主人公の城崎達彦役で出演。25年9月4日から配信のNetflixシリーズ「ポケモンコンシェルジュ」の声優を務める。さらに12月から配信のNetflix映画「10DANCE」にW主演で出演することが決まっている。 (しそん・じゅん)1995年、東京都生まれ。2011年俳優デビュー。14年、スーパー戦隊シリーズ第38作「烈車戦隊トッキュウジャー」でトッキュウ1号/ライト役に抜擢され注目を集める。NHKドラマ10「女子的生活」(18)における演技により、第11回コンフィデンスアワードドラマ賞主演男優賞、文化庁芸術祭テレビ・ドラマ部門放送個人賞を受賞。近年の主な出演作は、NHK連続テレビ小説「らんまん」(23)、「フェルマーの料理」(23)、Net f lixシリーズ「幽☆遊☆白書」(23)、映画「52ヘルツのクジラたち」(24)、ドラマ「恋は闇」(25)など。

所属するバンドをクビになったドラマー・西条朱音(宮﨑優)は突然、孤高の天才ミュージシャン・藤谷直季(佐藤健)に見出され、藤谷が率いるバンドTENBLANK(テンブランク)に加入することに。バンドのメンバーは国内外を渡り歩く凄腕ギタリスト・高岡尚(町田啓太)に、ネット界を騒然とさせる新星キーボーディスト・坂本一至(志尊淳)と天才ぞろい。藤谷が生み出す卓越した楽曲と、メンバーの卓越した演奏でTENBLANKは瞬く間に時代の寵児となるが、さまざまな困難が彼らを待ち受けていた。

若木未生による不朽の名作を破格のスケールで映像化したNetflixシリーズ「グラスハート」が、7月31日から世界独占配信された。原作を愛し映像化を熱望していた佐藤健が、共同エグゼクティブプロデューサーとして自ら企画。さらには主人公の藤谷直季も演じるという圧倒的な熱量で挑んだ渾身の一作である。

RADWIMPSの野田洋次郎をはじめ、日本の音楽界を牽引するアーティストが作詞・作曲やボーカリストとして参加し、大迫力の演奏シーンは本作のために研鑽を積んだ俳優自らがパフォーマンスしたというのだから驚きだ。それを圧倒的な映像美でカメラに収めたのは、映画「恋する寄生虫」などで知られる監督・柿本ケンサク。そこに「全裸監督 シーズン2」の後藤孝太郎も名を連ねる。そんな錚々たる面子でつくり上げられた圧巻のライブシーンに俳優たちはどう挑んだのか。作品に対するこだわりや、困難を極めた楽器の練習、俳優陣の化学反応に至るまで、佐藤健、町田啓太、志尊淳の3人に話を聞いた。

プロデューサーとしての佐藤健

——志尊さんと町田さんのキャスティングは、エグゼクティブプロデューサーでもある佐藤さんが熱望したそうですね。その理由からお伺いできますか?

佐藤健(以下、佐藤):まず華があるというのは大前提。その上で深みのある芝居もできて、かつ人間性、例えば撮影裏での人間としてのありようというところでも信頼できる。それで2人にお願いしました。

——志尊さんと町田さんのお二人は、佐藤さんのプロデューサーとしての仕事ぶりをどのようにご覧になりましたか?

志尊淳(以下、志尊):健がプロデューサーとして作品に入るのを見たのは今回が初めてですし、あまり共演もしてこなかったので、普段主役としてどういう立ち回りで作品に向き合っているかも僕はあまり分かっていなかったんです。でもその熱量にみんな引き寄せられたんですよね。細部に至るまでものすごいこだわりを持って、突き詰めている姿を見て、僕らもできることをやっていこうと思わされました。

町田啓太(以下、町田):僕は初めて共演させてもらったんですが、プロデューサーとしても役者としても本当に妥協のない人だなと思いました。作品に全力投球で取り組んで、やりたいことを形にしていっている様はひたすらにすごいなと。それってなかなかできることじゃないので。主演だけでも大変なのに、プロデュースを含めるとやることも考えることも多いじゃないですか。僕だったら多分毛細血管が燃えてやばいことになっていると思うので(笑)。しかも、大変そうな姿は見せずにけろっとした感じでやっているんですよ。そういう姿を「この佐藤健という人はすごいな」と思いながら見ていました。

——それぞれの役柄について、佐藤さんとどのようなお話をされたのでしょうか?

志尊:役柄について健と話したことはそれほどないんですよね。それぞれがプロの役者として呼ばれている以上、それぞれの役の作り方があると思いますし。ただこのシーンはどういうニュアンスでアプローチした方がいいかという細かいことや、方向性を聞いたりすることはありました。

町田:僕も志尊と同じで、健君から表立って演技のオーダーはありませんでした。ただ要所要所に「こうやりたい」という健君のビジョンが明確にあったので、それに対して「僕らはどうアプローチしていこうか」ということを志尊と結構相談していた気はしますね。呼んでもらっているからにはできることをしたいという気持ちがあったので、そこはすごく考えながらやったつもりです。あと、例えば高岡と藤谷の回想シーンなどは台本にないアイデアも出しながら演じていきました。繋がりを表現するためにガッと近寄って手と手を合わせるようなことを象徴的にやったりだとか。そういうものが柔軟に生まれていく感じも面白かったですね。

——劇中では高岡(町田)が2人のお兄ちゃん的存在で、坂本(志尊)が末っ子のような印象を受けましたが、3人の舞台裏での関係はいかがでしたか?

佐藤:でも舞台裏でもそんな感じでしたよ。結構役柄通りと言いますか。

こだわった美しい映像

——佐藤さんは本作の企画をNetflixに持ち込む前に、すでにワンシーンを撮影されていたと伺いました。

佐藤:ワンシーンというか、一つの映像ですよね。僕はとにかく音楽と映像の化学反応の力をすごく信じていて、本作はそういうドラマにしたいと考えました。ただそういう手法ってアニメではよく使われますが、実写でがっつりカット割を決めて音に合わせてつくっていくというのは恐らくほとんどない。だから僕自身、自分がやろうとしていることが実写でうまくいくのか知りたくて、テスト的な映像をつくったんです。そのおかげて「この方法を突き詰めていけば、自分がやろうとしていることはできそうだな」ということが分かりました。なのでNetflixに持ち込むときには、僕たちが頑張って、美しい映像を撮ってくれるカメラマンがいて、素晴らしい音楽さえあればできると確認していました。

本当ならどのカットもとびきり綺麗だったら嬉しいじゃないですか。でも普通は予算や時間との兼ね合いでそこまで追求できない。でも今回はNetlfixで大きな規模の撮影ができたから多くのことが実現できた。幸せな環境でしたね。

——とりわけライブシーンにおける構図やカメラの動き、見せ方など、臨場感にこだわりを感じました。佐藤さんは映像づくりにおいてどのように参加し、監督・撮影を兼任した柿本ケンサクさんとどういうやりとりをされたのでしょうか?

佐藤:やはり美しい映像というのは絶対条件なので、そこを達成するために柿本さんの力を借りたのが大きいです。やりとりに関してですが、例えば柿本さんに「ここは名シーンにしたい」というようなざっくりした希望を伝えて、「こういう感じで行こうと思う」とつくってもらう。それを見て僕が「めっちゃ良いと思います」と答えるような感じで進めていきました。ほかにも「このシーンにはとびきりの映像があるべき」「逆にここはサラッといって大丈夫」などといった要望を出してどんどんつくってもらった感じです。

俳優として参加したほかの作品でも、基本的には撮った映像を確認させてもらうようにはしているんですが、今回はさらにその責任が強くなりましたね。自分がなにか発言して作品が良くなる余地があるのなら、積極的に発言するようにしていました。

——志尊さんと町田さんは完成した作品や、映像を観てどのように感じましたか?

志尊:演じている本人なので、主観で作品を観てしまうというのはありますよね。ドラマって制作の工程はものすごくあるけど、映し出されているものがすべて。僕がそれを観てどうこうというより、撮影した8カ月の期間に出せるものは出しているから、それがどう切り取られてどう視聴者のみなさんに伝わるかは正直分からない。自分のキャラクターですら主観が入っているからもう分からないんですが、その青春していた時間をできるだけたくさんの人に観てもらいたい、というのが今の率直な感想です。

町田:これだけ健君のやりたいことが詰まっていて、こだわり抜かれているけど、深く考えずとも楽しめる圧倒的な映像美と音楽的な迫力がある。それぞれのキャラクターもとても魅力的ですし「本当に観ていて気持ち良い作品だな」というのが最初の感想でした。あとは野田洋次郎さんをはじめいろんな人を巻き込んでこれだけの楽曲を形にできたこと、それは健君がいなかったらできなかったと思うんですよ。日本を支えているバンドやアーティストたちがこの作品を支えてくれているな、と思いましたね。映像美も柿本さんじゃないと絶対できないクオリティーだなと思いますし、天才だなと。天才が集まる物語なんですが、舞台裏でも柿本さんに健君と天才が集まっていました。

——自分たちのライブや演奏シーンを俯瞰で見ていかがでしたか?

町田:演技よりも演奏を見てしまう部分はあったかもしれない。「ここ甘いな〜」と思ったり(笑)。

志尊:僕らが甘かった部分を、柿本さんや撮影チームがカメラワークで臨場感を補ってくれている部分はすごくあります。プロのアーティストではないけど、役を背負ってどういうパフォーマンスをするかを突き詰めようという感じだったのかなと今観ると思いますね。

TENBLANKという夢のバンド

——TENBLANKという文字の中にしか存在しないバンドを立体化する中で、皆さんでどのようにイメージを共有していったのかを教えてもらえますか?

佐藤:手探りでしたね。ライブシーンを撮るまでは、誰もTENBLANKの全貌が分からなかったので。あてもない中で初めてライブシーンを撮ったときに、みんながやりながら「こういうバンドなんだ」って感じたんです。TENBLANKって夢のバンドじゃなきゃいけないと思うので、特定のアーティストをイメージするというより、いろんなアーティストの良いとこどりをしたバンドになれば良いなと思ってやっていました。

志尊:そうですね。「このバンドの真似をしよう」という気持ちはまったくなく、唯一無二のバンドになればいいと思って打ち込んでいきました。

——ライブや演奏を自らやられていることにとても驚きました。自分たちで演奏するため、どのようなトレーニングをされたんですか?

佐藤:撮影期間ははっきりしないんですが、撮影期間だけでも8カ月あってそのあいだもずっと練習していましたし、みんな1年以上はやってたんじゃないですかね。僕はみんなより早く藤谷になることを決めていたので、もっと前から練習していました。ひたすら家で楽器を弾きまくっていましたね。

町田:その通りで、僕らは1年以上やっていて……。

志尊:僕は1年もやってないと思う。

町田:僕はその年の2月、3月から少しずつ始めてたから。

志尊:マジ? じゃあ1年以上やってるね。僕の場合、本格的な練習は11月から始めて、1月のクランクインで1話の「エリーゼのために」を弾かなきゃいけないと言われたんです。それで音源が送られてきたんですが、それがとんでもなく難しくて……。それで人生で初めて、監督とプロデューサーに「撮影日を変えてください」と直談判したんです。そんなこと本当は言いたくないけど「まあできてはいるよね」というクオリティーにはしたくなかったから。それで3カ月延ばして4月に変えてもらったんですが、それでも本当にギリギリでした。

町田:…………その練習期間でよくできたね! すごいな! しかもその曲だけじゃないじゃん。

志尊:そうなんだよ!

町田:今回の楽曲ってほぼオリジナルじゃないですか。完成曲だけでも結構あるのに、細かい楽曲制作のシーンも含めたら両手じゃ収まらないくらいあるんですよ。しかも演奏のどこを使うか分からないから、丸一曲どこを撮っても良いように練習するんです。でも完成したものを観たらほぼ使われていない(笑)。

志尊:あと一番怖いのは佐藤健って人ね。撮影の2週間前とかに「志尊、この曲はベースの方が格好良いよ」って言ってくる。「それベースをやれってこと? 無理でしょ」って答えても、「お前ならいける」って勝手にベースになってるんですよ。あと本番5日前とかに、「志尊、この曲はハモった方が良いんじゃない」ってコーラスを求めてきて「あのさぁ!」って(笑)。

町田:僕もその曲で「コーラスをした方が……」って言われて、「あのギターをやりながらそれは無理!」とお断りしましたからね。あれが撮影中、唯一「無理です」と言った瞬間でした。でも結構そういうリクエストはあったよね?

志尊:佐藤健に言われたからやることが、もしかすると作品全体としては良くないのかもしれない。でも佐藤健がこんな熱量でつくっている作品で、「志尊にやってほしい」って言ってもらえている……という気持ちが僕は一番強かったので、そう言われたからにはやるしかないなと。

町田:ライブのリハーサルも本当のバンドのようにやっていたんですよ。すると「この曲と曲の間の繋ぎをこうしない? 格好良い感じにやろうよ」と言ってくる。「繋ぎで2小節を伸ばして、僕らはその2小節をマスターできるようになるのに何日かかるの」となることもありました。最終的には「もう分かった、やろう!」となるんですが。

志尊:でもそれが実際格好良かったんですよね。

町田:そう! 挑戦したからこそ、あのライブのシーンが生まれたんだなと思います。

——2人の話を聞いていると、舞台裏の佐藤さんは作中の藤谷とほぼ一緒じゃないですか。

町田:本当に藤谷でした(笑)。

佐藤:いやいや。僕がそれを言いたいわけじゃなくて、世界中にいる2人のファンの声を代弁しているだけなんですよ。

志尊:嘘つけ!

佐藤:だってみんな志尊のベースが見たいでしょ? コーラスも聞きたいんだよ。

志尊:ほぼコーラス聞こえないじゃん!

佐藤:5.1chサラウンドとかヘッドホンなら聞こえるよ。

——無茶振りは佐藤さんではなく、2人のファンの願いということですね(笑)。

佐藤:そうなんですよ。視聴者の代弁者、それもプロデューサーの仕事だと思うので。

志尊&町田:(笑)。

佐藤:ただそういう視点は俳優をやっているときもありますけどね。みんなある程度の自己プロデュースはしているし、作品をより良くしようと思う客観的思考もしていて、それはプロデューサーと同じ。だから今回はたまたま正式にプロデューサーとしてクレジットされているだけなんですよ。良い作品をつくるという気持ちはどんな立場でも変わらないので。

——演奏する上での格好良さは演じながらも意識したんですか?

志尊:ギターとかならあるかもしれないけど、僕はまったく意識していなくて。そこは本当に柿本ケンサクさん頼りでした。「頼むね、ケンサク!」って(笑)。ただたまに柿本さんが「このシーンではこうやってカットを繋げたいから、こういうふうにしてほしい」というイメージを共有してくれるんです。柿本さんって監督として本当に役者を信頼してくれていて、僕らがやっていることを一番近くで見てフレームを決めながら切り取ってくれる。そこにおける信頼はずっと持っていましたね。

町田:この規模で、監督と撮影兼任だよ。意味がわからないくらいすごいよね。一番近くで見てくれていたし、寄り添ってくれていたなと思いますね。本当にめちゃくちゃ撮影したんですよ。えげつないくらいの時間を撮ったので、何を撮っていてどこが使われるかもまったく分かりませんでした。本当にライブをカメラマンさんたちが撮るような感覚だったので、作品を観ても「これ使われたんだ」というより「これが撮られていたんだ」と思うことも多かったですね。映像をチェックするときも演奏が合っているかというようなチェックしかしていなかったので、改めて観ると新鮮でした。

音楽をメインにしつつ
核にある人間ドラマ

——ライブハウスに船の上、巨大野外ステージまでさまざまな場所で演奏されましたが、いろんなステージで大勢の観客の前に立って演奏するという体験はいかがでしたか?

佐藤:現実にいる本物のバンドだと普通はできない経験だと思うから、その辺りがTENBLANKが「夢のバンド」たる部分だと思うんです。本当に贅沢な経験をさせてもらっていますよね。

町田:船の上もすごかったですが、中盤の「離れた場所にいるバンドメンバーが中継してライブをやる」という展開は現実では多分ありえないじゃないですか。そういう特別感はやってて痺れましたね。あのシーンはTENBLANKだけど桐哉(菅田将暉)がいて、藤谷はここにいないけど繋がっているという不思議な感覚があって。藤谷と桐哉が歌っているときではそれぞれテンション感も違うし、場面のスイッチングも良くて、すごく面白かったです。

志尊:ぴあアリーナでライブをやったときは5000人のエキストラさんが来てくれたんですが、やっぱそれだけのお客さんの前に立つと熱量が違うんですよ。それ以外のライブでも1000人とか来てくれて。やっぱりあの熱量を感じると、それがすべてパフォーマンスに出るんですよね。それによってこれだけ熱くなるんだと思ったし、熱くなって変わるものがすごくあったんです。

誰よりもすごかったのが健のボーカルとしての熱量ですよね。目の前であの熱量を見せられると、後ろもやっぱり動きたくなるし、それに応えたいと思わされる。それがライブや音楽を通してのコミュニケーションの醍醐味だなと感じました。でもそれはあれほどたくさんのお客さんがいたから初めて感じられたことだったので、とても印象に残っています。

——セッションする中で思わぬ化学反応が生まれたり、一人じゃ辿り着けなかった場所に辿り着けたり……といった面で芝居も音楽に通じる部分があると思います。今回皆さんで演じる中でそういうものが生まれたと感じる瞬間はありましたか?

志尊&町田:………。

佐藤:(2人に対し)どうせ言うこと分かってるから。一回言ってみ? 絶対それ言うんだろうなってやつが。それがどの口から出るかだけだよ。

志尊:なら健が言った方が良いよ。

佐藤:いいや違う。説得力がない。

志尊:じゃあ啓太しかいないでしょ。

佐藤:そうだね。試しに言ってみ。

町田:なんでだよ!(笑)………(ボソッと)10話のライブシーン。

一同:(笑)。

佐藤:この口から出ましたね。

町田:「出ました」じゃなくて「出さされました」だから! やっぱりそこが集大成なので、どうしたってそうなりますよね。でもそれはだんだん生まれていったなと僕は感じていて。最初は良い意味でも「個々」だったものが、ライブシーンを何度も重ねて、撮る順番的にも後半にいくにつれてだんだん混ざり合っていく感じで、やればやるほど化学反応が生まれる感覚はありました。

志尊:僕はそれはライブシーンだけじゃないと思っていて。例えば藤谷と坂本ってほぼ目が合わないんですよ。基本的に藤谷が好き勝手動いているのを陰で支えるポジションだったのが、後半になって初めて藤谷と相対するようになるので、そこで生まれたものもあると思います。高岡に関しては一緒に芝居することがあまり多いわけじゃないけど、同じ場所にいることは多くて。同じ感情で藤谷や朱音を見ていたりするから、そのアウトプットをマッチーとどうバランスを取っていこうか考えたり。

あと朱音と坂本を客観視する目が必要とマッチーが提案してくれて、それで高岡が2人を温かく見守りながらちょっといじったりという部分が生まれたのは、芝居における化学反応を重ねた上でできたものなのかなと思いますね。

町田:カットされたけどね。

志尊:うん。ほぼカットでした。 悲しい(笑)。

町田:でもカットされても伝わるものはあると思うので。

——本作で着目されるのがまず音楽や演奏、ライブシーンだと思うのですが、それ以外にもいろんな魅力が混ざり合った作品だと感じています。音楽面以外で特に注目してほしい部分を教えてください。

町田:やはり映像美はとても魅力的なので注目してほしいですね。柿本さんが撮影で入られたからこそできた映像美はライブ以外でもたくさん散りばめられているので。世界に発信する作品だから、なるべく斬新なものを目指してすごくチャレンジしたんだろうなということも至る所に見えたのでそこは見どころかなと。

志尊:むしろ僕は一番は音楽ではないと思っていて。やっぱり中心にあるのは人間ドラマですよね。登場人物それぞれが傷を抱えて違う方向を向いているけど、1つの音楽を奏でるところにある成長譚だったり、音楽を通してその人間ドラマをより深いものにしていく部分が一番の見どころかなと。もちろんライブシーンも魅力ではありますが、1話から10話に至るまで、ライブシーンごとに登場人物の関係性も変わってくるし、それぞれの役を通して気持ちを解放する部分や表現も変わってくる。そこがどのように移り変わっていくのか、というところが本作の一番の醍醐味だと考えています。

PHOTOS:TAKAHIRO OTSUJI
STYLING:[TAKERU SATO]HIDERO NAKAGANE、[KEITA MACHIDA & JUN SHISON] KEISUKE YOSHIDA
HAIR & MAKEUP:[TAKERU SATO]TOSHIYUKI OKI (CONTINUE ) 、[KEITA MACHIDA]KOHEY(HAKU)、[JUN SHISON]AKARI ISONO

Netflixシリーズ「グラスハート」

◾️Netflixシリーズ「グラスハート」
7月31日からNetflixにて世界独占配信
出演:佐藤健 _/宮﨑優/町田啓太/志尊淳/菅田将暉 _
唐田えりか/髙石あかり/竹原ピストル/YOU
藤木直人
原作:若木未生/「グラスハート」シリーズ(幻冬舎コミックス刊)
監督・撮影:柿本ケンサク
監督:後藤孝太郎
音楽プロデューサー:山田勝也
脚本:岡田麿里 阿久津朋子 小坂志宝
エグゼクティブプロデューサー:岡野真紀子
共同エグゼクティブプロデューサー:佐藤健
制作プロダクション:ROBOT
製作:Netflix
https://www.netflix.com/jp/title/81517368

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