
マツキヨココカラ&カンパニーがプライベートブランド(PB)の領域で攻勢を強めている。9月11日に、ビューティ企業のカラーズと協業したスキンケアとオーラルケアの2ブランドを新たに投入する。PB導入から10周年という節目にあたり、「PBの常識を変える」姿勢を鮮明にしている。
スキンケアブランド「インジェスク(INJESK)」は美容医療の発想を取り入れた処方設計が特徴。エイジングケアで注目のNMN、肌のトーンアップを狙うグルタチオン、ハリをもたらすPDRN、角質ケアのPHAといった話題の美容成分にフォーカスし、機能別に特化した4品をそろえる。価格帯は3190〜4290円。
オーラルケアの「ヒッツディファレント(HITS DIFFERENT)」は、着色汚れ、歯垢、ヤニ、美白といった目的別ケアの5品をラインアップ。価格帯は1628~1980円で、審美性にこだわるユーザーを狙う。
同社はこれまで、「成分と中身で勝負するPB」を多数展開してきた。直近では、アミノ酸の高濃度配合を実現したヘアケアブランド「コンクレッド(CONCRED)」を4月に立ち上げ、発売初日に社内シェア1位を獲得。発売から3カ月で累計販売本数は97万本を突破(同社調べ)した。現在では同社内ヘアケア第3位の売り上げを誇るまでに成長している。
成功の要因は、独自の“逆マーケティング”にある。一般的には認知から購買へと至る段階的アプローチが主流だが、同社は店頭施策に資源を集中させ、購買を起点にSNSなどで自然な話題拡散を図った。結果として、実需を起点に自然発生的なバイラルを生み出すことに成功している。広告費や流通マージンを抑えられる分、製品原価に投じて中身の充実を図る手法も、他社との差別化に貢献している。
マツキヨココカラが掲げるミッションは、「ドラッグストアを超えるPBの価値」「PBに新しい常識を」「脱・ドラッグストア」の3点を軸に、PB戦略を強化する。製品の品質を一段と高めるとともに、マーケティング手法を見直しながら“選ばれるブランド”としての地位確立を目指す。「日本の美容を盛り上げる存在になる」として、業界の枠組みにとらわれない挑戦を続ける。