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「日本一」化粧品を売るマツキヨココカラの新PBは“非常識” ヘアケア新風なるか、1980円のシャンプー 

マツキヨココカラ&カンパニーがビューティ企業のカラーズと協業し、PBでビューティブランド「コンクレッド(CONCRED)」を立ち上げる。第1弾として、アミノ酸の濃度に着目したヘアケアシリーズを4月1日に発売する。2種のシャンプーとトリートメントを展開し、価格は各1980円。同ブランドは「ドラッグストアに新しい常識をもたらす」存在として、化粧品販売のトップシェアを誇るマツキヨココカラの地位をより強固なものにする。

「私たちのドラッグストアは、他のドラッグストアと一線を画してきた自信がある」と、松本貴志マツキヨココカラ&カンパニー代表取締役専務は胸を張る。

同社のルーツであるマツモトキヨシは、「体調が悪い人が行く場所」と見なされていた日本の薬局のイメージを覆した。1987年にオープンした上野アメ横店では、明るく開放的な売り場を展開。90年代後半にはテレビCMの影響もあり、若年層の支持を獲得した。「マツキヨで買い物をする」ことを指す「マツキヨする」という言葉が女子高生の間で流行するなど、同社はドラッグストアの新たなスタイルを確立した。

現在、グループ全体で全国に3464店舗を展開。東京では業界最多の703店舗を構え、都内の売上高は2番手のウエルシアホールディングスを1.7倍上回る。

業界全体ではウエルシアが売上高トップを走るが、化粧品販売においてはマツキヨココカラが圧倒的な強さを誇る。化粧品売上高は3313億円(24年3月期)と、ウエルシアの1910億円(24年2月期)を大きく上回る。さらに、百貨店を含む全小売業の中で化粧品販売シェアは21%を占め(インテージSCI化粧品販売市場24年1〜12月調べ)、「日本一化粧品を売る企業」となっている。

名実ともに影響力のある同社は、「私たちは、日本の美容市場に大きく貢献できる立場にある」と、「コンクレッド」はその使命を果たすブランドとして誕生する。

新ブランドは「Jビューティ」の誇りをかけた挑戦

「コンクレッド」は、マツキヨココカラのPBをこれまで数多く手掛けてきたカラーズと共同開発した。カラーズは「ルンタ(LUNG TA)」(2008年誕生)をはじめ、「アルジェラン(ARGELAN)」(12年)「マツキヨ ウィズ メソッド トリプルA(MATSUKIYO W/M AAA)」(19年)を開発してきた。

特に「アルジェラン」では、オーガニックコスメを一般市場に浸透させ、日本産コスメの価値向上に貢献した。しかし、カラーズの橋本宗樹代表は「Jビューティ」の存在感が次第に薄れていることに危機感を抱いていた。

「韓国コスメはスピーディーな開発力とユニークなアイディア、優れたマーケティングで世界を席巻している。最近ではCビューティ(チャイナビューティ)も台頭し、“世界のコスメ”の勢力が拡大する一方で、Jビューティは存在感が希薄になっている」という。

この状況を打開するため、「日本一化粧品を売る」マツキヨココカラと「マスマーケットに革新をもたらしてきた」カラーズがタッグを組んだ。「Jビューティの新たな価値を創造する責任がある」とし、情緒的価値と機能的価値をかけ合わせた「洗練されたおしゃれで、確かな効果を持つ」ことをJビューティとして再定義し、新ブランド「コンクレッド」で市場に一石を投じる構えだ。

「コンクレッド」は「非常識」

ブランド名「コンクレッド」は、濃度を意味する“CONC”とレッドゾーンを意味する“RED”を掛け合わせた造語だ。最新のエビデンスに基づく濃度設計にこだわり、機能性を追求する。

第1弾となるヘアケアシリーズでは、ヘアダメージの種類ごとに流出するアミノ酸の種類・比率を特定し、流出したアミノ酸以上の量を配合する。橋本代表は、「アミノ酸を限界に挑む濃度で注入した。まさに高濃度で常識を覆す、非常識なシャンプーといえる」と話す。

さらに、アミノ酸の効果を高める工夫を施すほか、洗浄剤の組み合わせにもこだわり、ダメージレベルに応じた処方を採用した。香りは清潔感のあるフローラルノートが特徴だ。

今後、ラインアップの拡充を進め、ブランドの存在感を高めていく。

マツキヨココカラは価格よりも価値を重視

現在、ドラッグストアのヘアケア市場では、1500円前後の価格帯が主流となっているが、「コンクレッド」のシャンプー・トリートメントは1980円と高価格帯に位置する。しかし、櫻井壱典MCCマネジメント商品統括本部次長は「価格を意識して開発していない」とし、「価値に見合う製品を提供することが重要」と強調する。

同社が高価格帯のヘアケア商品を投入したのは今に始まったことではない。08年に誕生した「ルンタ」の価格帯は2500円、12年に誕生した「アルジェラン」は1580円(税別)と、いずれも当時の市場においては高価格帯だった。「当時、1000円を超えるヘアケア製品は珍しかったが、価値と価格のバランスを重視した結果、受け入れられてきた」と振り返る。

同社の顧客データによると、美容感度の高い消費者は「自分が納得するものであればお金を惜しまない」傾向があるという。「いま、ヘアケアは2極化が進んでおり、従来のナショナルブランドのシェアは減少している」という。

ドラッグストアのヘアケア市場では、ノンシリコンや植物由来成分を特徴とする製品、情緒的価値を訴求するブランドが市場をけん引してきた。「コンクレッド」も新たな潮流を生み出す存在として注目されそうだ。

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